
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
筋緊張検査の練習って、学校で友達とやっても感覚をつかむのは難しいですよね。
実際、初めて患者さんを動かした時に、手応えの違いに戸惑う人も少なくありません。

実習中は怖くなって、
動かせなかった。

初めての感覚に驚くよね。
そこで今日は、実習に不安を感じている学生さんに向けて、筋緊張検査(被動性検査)の進め方と、実習で困らないための記録について整理していきます。
被動性検査のやり方
被動性(ひどうせい)検査は、患者さんの四肢を検査者が他動的に動かした時に、“手で感じる抵抗”を評価する検査です。

この検査では、筋が安静時にどの程度の張力をもっているかを確認します。
では、確認する方法を紹介していきます。
被検者に脱力をさせる
この検査では、被検者が完全に脱力していることが前提になります。
上手に脱力させるには、ただ「力を抜いてください」と声をかけるだけではなく、
・枕やクッションで安定させる
・一度、大きく動かしてみる
・関係のない会話を始める
など、工夫の合わせ技で対応しましょう。脱力が不十分だと、筋活動が邪魔をして抵抗が強く感じることになります。
全可動域動かす
抵抗を感じ取る検査なので、関節は必ず全可動域を動かしましょう。
検査をする筋肉の起始と停止を、一度、しっかり近づけてから


最後、エンドフィールまで、完全に引き離すように動かすのがコツです。
一部の区間だけ動かしたり、途中で止めたりすると、正確な検査ができませんので、必ず全可動域動かしましょう。
関連記事 エンドフィールの種類と特徴!この最終域感って何だっけ?
両方向に動かす
上腕二頭筋だけ…、ハムストリングスだけ…、など個別で検査するよりも、膝関節の屈伸はどうなの?といった感じで進めます。
よって、

屈曲 ⇔ 伸展 内転 ⇔ 外転 底屈 ⇔ 背屈
といったように、拮抗する両方向の運動をさせ、筋緊張の特徴を調べます。
動かす速度を変える
最初は怖いかもしれませんが、被動性検査での他動運動では、ゆっくり動かす・素早く動かす、どっちもやってみてください。

なんで素早く動かすの?

早く動かすと隠れた異常が
でてきやすいからだよ。
患者さんには、ちょっと速く動かしますよ、力抜いててくださいね、と伝えてチャレンジしてみてね。
被動性検査の記録方法
被動性検査で分かることは、硬いとか柔らかいといった、大まかな情報だけではありません。
検査後に記録して欲しい項目は4つです!
抵抗感の異常(亢進 or 低下)
この検査で感じる筋緊張は2種類です。
【抵抗感の異常】
① 抵抗感が強い(筋緊張亢進)
② 抵抗感が弱い(筋緊張低下)
抵抗が強い・抵抗が弱いは、完全に主観です。多くの患者さんを経験することで、強い or 弱いが判断できるようになります。

慣れるまでは
アシュワーススケールを
使うといいかも。
これは、被動性検査で感じとった抵抗を、6段階に分けて評価するスケールです。
【Modifide Ashwors Scale】
| グレード | 判定基準 |
| 0 | 筋緊張の増加はなし |
| 1 | 筋緊張は軽度の増加。わずかな引っ掛かりが断続的に出現。最終域付近で抵抗感が増加する。 |
| 1+ | 筋緊張は軽度増加。抵抗感が強くなっている範囲はその関節が動く範囲の半分以下である。 |
| 2 | ほとんどの範囲で筋緊張の増加がある。しかし関節の他動運動は簡単に行える。 |
| 3 | 抵抗感は著名に増加し、他動で関節運動をするのは大変なレベルである。 |
| 4 | 筋緊張の亢進により、他動で関節運動をするのは無理である。 |
※分かりやすいよう表は改変してます
よって、「筋緊張亢進」だけでなく「MASで1+」など、客観的な数値を添えて記録しておくと、後々で役に立つと思います。
痙縮か筋強剛(固縮)か
そして2つ目は、抵抗感の種類です。
【3種類の抵抗感】
① ずっと持続する抵抗感
⇒ 鉛管様固縮
② カクカクと断続する抵抗感
⇒ 歯車様固縮
③ 途中で変化する抵抗感
⇒ 痙 縮
固縮は錐体外路系の障害で、痙縮は錐体路の障害で出現する異常筋緊張です。
特に痙縮の特徴は、関節の角度によって抵抗感が変化する特徴があります。

ジャックナイフ現象?

そうそう、それ!
よく分からない場合は、動かすスピードを上げてみましょう。速く動かして抵抗が強くなるのが痙縮で、変化しないのが筋強剛です。

痙縮が隠れている場合、速い他動運動で「ひっかかり感」が出現することがありますよ。
どのような種類の筋緊張異常なのか、しっかり記録に残しておきましょう。
左右差があるのか
被動性検査では、片麻痺だけではなく、対麻痺や四肢麻痺も対象となります。
よって、患者さんの訴えがなくても、左右で比較して、その違いをカルテに記録しておきましょう。
治療効果の確認
被動性検査を一回だけやっても、それは筋緊張の状態を確認するだけです。
運動療法介入の前後で実施すると、この運動は筋緊張にどう影響があったのか?を確認することができます。

・ストレッチをする前後
・物理療法をする前後
・ステロイド治療の前後
これらを比較すれば、その人の“筋緊張の特徴”が理解できるし、記録によって経過が追いやすくなりますね。

被動性検査の上達は、
経験の回数で決まるよ!

了解、やってみるよ!
被動性検査のまとめ
さて、今回は実習を控える学生さんに向けて、被動性検査のやり方と記録方法について解説をしてみました。
今まで、「筋緊張亢進」とか、プラスやマイナスの表記だけで終わっていた人も、筋緊張検査の引き出しが増えたのではないでしょうか。
それでは、最後におさらいです。
<被動性検査のやり方>
・必ず脱力させろ!
・全可動域動を動かせ!
・両方向で動かせ!
・動かす速度を変化させろ!
・抵抗感の異常を書こう!
・筋緊張異常の種類を書こう!
・左右差を書こう!
・治療効果を書こう!
筋緊張検査は、センスよりも経験です。
だから、暇さえあれば患者さんの身体を触り、とにかく多くの経験を積みましょう。

それでは、筋緊張検査と記録が
上手にできますように。
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