こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
最近のリハビリ実習では、記録にSOAPを使わなくなっている気がします。
理由はよく分からないけど、現役セラピストが使いこなせないのかも?
SOAPって授業でやったけど、
全然意味が分からなかったよ。
ん~、そっか…。
別に難しくないんだけどな。
教科書を見たけど分からなかった、
サイトで調べたけど理解できなかった、
実習で教わったけど使いこなせなかった、
こんな話を山ほど耳にするので、実際の使い方を紹介していきます。もし、イメージできたら実習で使ってみて下さい。
SOAPとは
SOAPの呼び方はソープです。
Subject、Object、Assessment、Plan、の頭文字を取ったものです。臨床では、主に看護師さんが記録に使用していますね。
あ、看護カルテで見たかも。
実はリハビリでも使えるんだ。
では、その概要から解説していきますね。
S:主観的データ
主観的とは、個人の見方や感じ方のこと。
今日の調子はどうですか?
う~ん、あまり良くないな。
こんなやりとりだったり、
冷やした後の痛みはどうですか?
さっきよりは良いと思うわ。
でも歩くと膝が痛いわね。
このように、ちょっとした問診から得られるコメントが、主観的データとなります。
O:客観的データ
反対に客観的データは、誰が見ても同じ内容になる情報のことです。
う~ん、血圧は158/96か…。
このように、血圧計から得られた情報などは、誰がやっても必ず同じ結果になるため、客観的データとなります。
その他にも、ROMの角度や10m歩行のスコアなども該当しますね。
A:考察(アセスメント)
考察(アセスメント)とは、
なぜ、このような結果になったのか
なぜ、そのような判断に至ったのか
これらを論理的に述べることです。
なぜ血圧が上がっているのかを推察し、どのような対応をするべきか、判断をするまでの過程が考察になります。
考察は後で解説するね!
P:計画(プラン)
計画では、考察で判断したことを基に、どのように進めるのかを提示していきます。
【考察】
熱がある ⇒ 運動はしない方がいい
【計画】
リハビリを中止してDr.に報告する
患者さんが熱発した場合、軽めのメニューに変更することもあれば、ベッドサイドでリハビリを実施することもあります。
よってSOAPで進めることで、必要なデータや情報をまとめ、最終決定に至るまでの経緯を整理することができます。
それがSOAPの特徴なんですね!
SOAPの書き方
SOAPを難しくさせている原因は順番です。
SOAPは石鹸のソープに寄せるため、無理やりにこの順番にしたんだと思うのですが、どう考えたってPAOSにするべきです。
要するに、順番が逆ってこと。
その根拠を示すので、このあとのSVと実習生のやりとりを見て下さい。
例1:先輩PTからの質問
ある患者さんのリハプログラムについて、実習生がSVに問いかけました。
Aさんの歩行訓練って
今後どうするつもりなの?
はい、しばらくこのままで
継続するつもりです。
そっか、なんで続けるの?
訓練を続けたことで、速度と
耐久性が向上したからです。
う~ん、それを裏付ける
データは何かあるのかな?
先週は300m歩行に8分掛かり
終了後の血圧は 145/92 で
Borgスケールは14でした。
うん、そうだったね。
今週は、6分30秒で歩けて
終了後の血圧は132/88。
Borgスケールは12でした。
ほう、それはすごいね。
患者さんは何て言っているの?
最初は辛かったけど、体力が
ついたって喜んでました。
そっか分かった。
じゃぁ、続けて様子をみよう。
このやりとりは、PAOSで構成されているので、SOAPに変換しながら記載してみます。
【リハビリ記録】
S:徐々に体力がついてきた
O:300mの歩行データ
時間 | 血圧 | Borg | |
先週 | 8分 | 145/92 | 14 |
今週 | 6分半 | 132/88 | 12 |
A:リハビリの歩行訓練が歩行速度と耐久性向上につながっている
P:歩行訓練の継続
会話の内容は濃くても、SOAPにまとめれば、たったこれだけで終了します。
さらに、実習指導者からの質問にも、根拠を持って答えることができました。
うん、これなら整合性もバッチリ!
例2:先輩PTへの相談
続いては、こちらから相談を持ち掛けるタイプの例になります。
先生、Bさんの運動負荷を
下げようと思います…。
あれ、何かあったの?
運動負荷を上げた翌日に、
疲労が残っちゃいまして…。
本当に運動負荷が原因なの?
腹筋の回数と重錘負荷を
増やした直後なので多分…。
患者さんはどんな感じなの?
はい、昨日の疲れが残っている
とおっしゃってました…。
そっか、わかった。
じゃ運動負荷下げてあげよう。
はい、そうします。
さっそく、SOAPで振り返ってみましょう。
【リハビリ記録】
S:昨日の疲れが残っている
O:倦怠感の訴えあり
本日、朝食全量摂取とならず
昨日より筋力増強訓練の負荷増強
[追加メニュー]
腹筋×10回×3set
[変更メニュー]
重錘訓練1kg → 2kgへ
A:翌日まで疲労が蓄積しているため、運動負荷を上げるには早すぎると考える
P:メニューを戻し運動負荷を軽減する
AOSPの会話だったけど、SOAPに変換しても違和感がありませんね。
SVに相談する内容も丸投げではなく、ちゃんとデータに基づいているから、アドバイスがしやすくて好印象なんじゃないでしょうか。
例3:患者さんとのやりとり
最後は患者さんとのやり取りを、SOAPにまとめるまでを紹介します。
Cさん、今日は足に装具を
付けて歩いてみましょうか。
この前言ってたやつだね。
よし、やってみよう!
【装着して歩行を観察】
お、こりゃ良さそうだ!
歩いてみてどうですか?
使いやすそうでしたが…。
こりゃいい、安心して歩ける。
退院後もぜひ使いたいな!
そうですか、分かりました。
こちらも、SOAPで記載してみましょう。
【リハビリ記録】
S:着けていると安心感がある
是非、退院後も使いたい
O:アンクルソフト装着での歩行
[歩行観察]ICでは踵接地となりLRでのヒールロッカーが出現、反対側の遊脚期での振り出しが大きくなっている
A:足関節の固定性を補助することは歩幅の拡大につながり、歩行パフォーマンスが向上していると考えられる
P:下肢装具の購入を進めていく
患者さんの感想と歩行分析により、下肢装具を購入する方向性が決まりました。
このようにSOAPでまとめると、患者さんのメリットとデメリットが明確になります。
迷った時はPAOSで考えましょう!
P:今後のプランはどうする?
A:なぜそのような判断をしたの?
O:客観的な判断材料はなに?
S:主観的な判断材料はなに?
最後に順番をひっくり返せば、それはそれは素敵なSOAPの記載が完成しますとな。
なるほどね。これなら
な使えそうな気がしてきた!
実習で使ってみてね!
おわりに
さて、書き方がイマイチ分からない方に向け、会話形式でSOAPの内容を解説してみました。
SOAPが理解できなかった人も、PAOSにすると分かりやすかったと思います。
まぁ語呂としては、「パオス」より「ソープ」の方が格好いいのかもしれませんね。
頭の中で変換しながら使ってみて下さい。
それでは、上手にSOAPで
記載ができますように!