こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、筋出力と歩行の関係です。
中殿筋の筋力低下で起こる、トレンデレンブルグ歩行は有名ですよね。
うん、僕でも知ってる。
実は、筋力低下じゃない
場合が多いんだよ。
本当に筋力低下なら、改善に数ヶ月は必要なのですが、原因によっては即時的に歩行を改善させることが可能です。
そこで今日は、トレンデレンブルグ歩行が改善した、治療アプローチの一例を紹介してみたいと思います。
トレンデレンブルグ歩行の原因
中殿筋が弱いから、重さに耐えられずに骨盤が傾いてしまう…。
まぁ、運動学的に誰もが納得ができる理論ですよね。ただし、本当に筋力だけの問題なのでしょうか?
その他にも、こんな考えはどうでしょう。
このように、何らかの理由で筋出力や筋発揮が低下し、影響を与えていることも…。
ちなみに、筋力と筋出力の違いが分からない人は、こちらの記事で確認して下さい。
原因が違えば、アプローチも違います。
色々な考えができるにも関わらず、評価もしないで筋トレだけ進めてしまっていませんか?
トレンデレンブルグ歩行の治療
それでは、トレンデレンブルグ歩行に対する、評価から改善までの流れを解説します。
1⃣ 中殿筋の評価
まずは、ターゲットである中殿筋の筋力を、MMTを使って数値化します。
ここでは、段階3〜4になることが多いです。
う〜ん、耐えられず抵抗に負けてしまい、なんだか弱々しい感じがするはずです。
じゃ筋力低下なんじゃないの?
イヤ、ここで筋力低下と
決めつけるのはダメ!
先ほど言った通り、他の可能性を潰していかなくては評価とは言えません。
この時、私が優先的に考えるのは、中殿筋の筋スパズムです。
たとえ患者さんの主訴になくても、トレンデレンブルグ徴候が出ている人は、中殿筋に隠れた痛みを抱えている場合がほとんどです。
というか、全員だったような…。
2⃣ 中殿筋の治療
では、中殿筋に隠れた痛みを取りましょう。
私の場合は、中殿筋に対する横断マッサージで、痛みを根こそぎ取ります。
治療中、患者さんは痛みにビックリします。
なんせ今まで痛いと思ったことがないお尻に、こんな痛みが隠れていると気づくからです。
徒手療法でも物理療法でも、とにかくドクターと相談しながら、中殿筋の筋スパズムを改善させてみましょう。
3⃣ 中殿筋の再評価
痛みが改善したら、すぐにMMTです。即時的に筋力が変化したのかを確認します。
大抵の場合、段階がUpして4→5になるか、4は4でもかなり耐えられるようになるかのどちらかです。
抵抗を掛けた時に変化があれば、そのまま中殿筋のトレーニングをしてみましょう。
軽めの抵抗運動を、10回ほどで十分です。これで筋収縮を中殿筋に学習させます。
4⃣ 歩行のチェック
オープン状態での中殿筋の筋発揮は上がりました。ではクローズの状態でも効果が出るか、歩行をチェックしてみましょう。
ちなみに担当症例の方は、アプローチ後にトレンデレンブルグ歩行が完全に消滅しました。
そして、ドュシェンヌ歩行も一緒です。同じ手順で、何症例も治療した経験があります。
このアプローチの考察
この流れで分かったことは、中殿筋の痛みにより筋出力が低下していたことです。そして、その痛みは改善できること!
よって、この2つを問題点に絞り、プログラムを立案してアプローチをすれば、トレンデレンブルグ歩行は改善できると考えられます。
この経過が根拠になるんだよ。
エビデンスってやつね。
痛みを取って動作を確認!この治療的診断方法は、動作分析や歩行分析に役に立ちます。
このような変化も与えず、歩行を観察しただけで問題点を決めつけていては、いつまでたっても評価なんてできませんよ!
おわりに
ということで、本日はトレンデレンブルグ歩行の治療経験を紹介してみました。
痛みが取れるようになりたい人向けに、評価と治療方法をこちらの記事にまとめてます。
時間もお金も掛かるけど、変化を与えられる理学療法士を目指しましょう!
それでは、患者さんの歩行が
改善しますように!