歩行のふらつきを分析!運動失調の酩酊歩行はここに着目せよ

歩行
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!

本日のテーマは、酩酊歩行です!

この歩行は、ゆらゆらと左右にふらつくため、次の動きを予測するのが難しいですよね。

プク太
プク太

そんな歩行、どうやって
分析すればいいのさ。

ダイ吉
ダイ吉

左右にふらつく仕組みを

理解すれば大丈夫!

ということで今日は、酩酊歩行の分析ポイントである、左右へのふらつきについて、解説をしてみたいと思います。

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酩酊歩行とは

酩酊歩行は、まるで酔っ払いのように、足元がおぼつかない千鳥足状態を指します。

小脳性運動失調で出現する異常歩行で、国家試験にもよく出題されています。

基線に着目せよ

酩酊歩行を語るなら、基線(きせん)というワードは、絶対に外せません。

基線は元々、領海や海岸を測量する用語でしたが、心電図の波形にも使われています。

このラインを基線と呼びます。

ダイ吉
ダイ吉

基本となる線って感じで
イメージしてね。

プク太
プク太

ふ~ん、基線ねぇ~。

これを歩行に当てはめると、こうなります。

このように、左右にばらついた歩行では、基線がジグザグに乱れます。この基線の乱れが、酩酊歩行の最大の特徴なんですね。

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基線が乱れる原因

では、なぜ基線が乱れてしまうのか?その仕組みを、解説していきますね。

上手な荷重移動

歩行分析の鍵は、左右への荷重移動がピークになる、立脚中期にあります。

正常な歩行では、適切な荷重移動により、

毎回、ほぼ同じ場所に足を着くため、基線との距離が常に一定です。

そのため、歩幅も歩調も乱れることなく、良いリズムで歩くことができるんですね。

荷重が乗り過ぎた場合

ただし、立脚中期での荷重移動が、予定よりも多くなってしまった場合、

立脚側の股関節が過内転するため、次のステップが内側に寄ってしまいます。

基線に近づいた場所に足を着くため、さらに次のステップは、基線から離れてしまいます。

プク太
プク太

う~ん…、たしかに

ふらついてる。

ダイ吉
ダイ吉

酷い時は、足が交差する
場合もあるんだよ。

クロスステップってやつですね!

荷重が乗らなかった場合

反対に、立脚中期での荷重移動が、予定よりも少なかった場合には、

荷重が乗り切れていないため、次のステップでは、基線から大きく離れてしまいます。

そして、その次のステップが基線に近づくことで、ふらつきが起こってしまうんですね。

ダイ吉
ダイ吉

これが、酩酊歩行の特徴なんだ。

プク太
プク太

なるほど、ふらつきの原因は

荷重移動だったんだ。

運動失調では、適正 or 過剰 or 不足のいずれかが、ランダムに出現するため、左右へのふらつきが制御できないんですね。

ふらつきに対するリハビリ

酩酊歩行に対するリハビリでは、完璧に改善させることよりも、転ばないことを優先して考えるべきだと思います。

【介入ポイント】

 ・杖の持ち方、突く場所の検討

 ・基線が乱れた時に踏ん張れる筋力

 ・前腕支持型の歩行器の導入

まず、転倒予防の対策をした上で、バランス訓練や荷重訓練を実施しましょう。

ダイ吉
ダイ吉

転んでリハビリが出来ない!
これが一番勿体ない…。

プク太
プク太

なるほど、まずは転倒予防ね。

個人的には、下肢と体幹の筋トレが、1番効果があると思います。だから、失調に負けない身体を作ってあげてみて下さいね。

おわりに

歩行中にふらつきを認めた!

これは、ただ見たことを、見たまま伝えただけですよね。「ふらつき」は曖昧なため、歩行分析にはあまりそぐわない言葉です。

運動学用語を使って、しっかりと表現できるよう、まずは立脚中期の荷重移動を観察し、基線の乱れに注目してみましょう!

歩行中の荷重移動は、中臀筋が鍵を握っています。骨盤の傾きや、体幹筋との関連性はこちらの記事で解説しています。

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ダイ吉
ダイ吉

それでは、酩酊歩行の分析が
しっかりできますように!