こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、歩行分析です。
学生さんや新人セラピストが難渋する歩行の評価。とても大変ですよね。
いまだに、何をすれば良い
のか分からないよ…。
観察してから分析に
進めていけばイイじゃん。
とよく言われますが、そもそも歩行観察と歩行分析の違いを知らないと進められません。
では、その違いを解説していきます。
歩行観察の進め方
まず、順番としては歩行観察があっての分析です。先に歩行分析をしてから観察をするということはありません。
まず、歩行を眺めてみよう!
歩行を観察していると、何か気になる部分が出てくるはずです。
例えば、前額面から歩行を観察した時に、身体の傾きが気になったとしましょう。
そこから的を絞っていくと、何らかの仮説が立つはずです。
今回は、右股関節に着目してみます。
トレンデレンブルグ歩行
ってやつじゃない?
その可能性が高いけど、
ちゃんと分析しないとね。
え、どういうこと?
まだ観察の段階ですので、何かを断定的に話すことはできません。
立脚中期でみられる現象で、中殿筋の筋力低下により片脚時に、遊脚側への骨盤落下が生じる異常歩行のこと。
確かに中殿筋の筋力低下かもしれません。
でも、関節可動域かもしれないし、内転筋の筋緊張が原因かもしれない。
この数ある可能性から、何が原因なのかを調べていくのが分析になります。
とりあえず筋力低下の疑い
がある中殿筋をcheck!
MMTを使って中殿筋を検査したところ、やはり筋力低下が確認されました。
ほら、やっぱりトレンデレン
ブルグ歩行だったじゃん。
慌てないで!分析するまで
断定はできないの。
え、だって中殿筋が弱いって…
中殿筋の筋力低下が原因の可能性が高いですが、それ以外の可能性を否定していないので、もうひと作業が必要なのです。
そして、ここから歩行分析の出番です。
歩行分析の進め方
中殿筋の筋力低下が原因だった!
これを言い切りたいのであれば、先ほども書いた通りそれ以外の可能性を、全て否定しなくてはいけません。
そんなの大変じゃん…。
簡単な方法があるじゃん。
それは、低下している中殿筋のパワーを即時的に強くしてあげることです。
先ほどはMMTが3レベルでした。
これを何とか4以上に引き上げて、先ほど観察した歩行に変化があるのかを評価します。
ここで、即時的に筋力に変化を与えることが、歩行分析を進める上での重要ポイントになります。
では、中殿筋に何らかのアプローチをしたら、MMTを実施して効果を確認してみます。
今度は抵抗に耐えることができました。先ほどよりも中殿筋の発揮が向上したといえます。
アプローチが上手くいったら
もう1回、歩行をCheck!
今回は、歩行に変化がありました。
観察の段階では、中殿筋の弱さが原因ではないか?と仮説を立てましたね。
そして、中殿筋が強くなったら歩行が改善したということで、先ほどの仮説は正しかったという分析結果になります。
もう、トレンデレンブルグ
歩行って言ってもいい?
もちろん!だって分析は
終わったっしょ。
歩行観察と歩行分析の違い
歩行分析は、歩行中に起こっている気になる部分(現象)に対し、仮説を立てて検証することです。
その情報を集めるのが歩行観察です。
歩行観察の段階で、より可能性の高い仮説を立てることができれば、その後の歩行分析をシンプルにすることができます。
え~難しいよ…それ
うん、経験あるのみ!
難しくて大変だけど、良いこともあります。
分析の段階で、歩行改善に効果があったアプローチは、そのまま治療プログラムに組み込むことができます。
方法、回数、時間など、そのままでOK!改善したという実績が、そのままエビデンスになりますよ。
おわりに
さて、歩行観察と歩行分析の違いを、トレンデレンブルグという異常歩行を使って解説してみました。
途中、何らかの治療的なアプローチが必要となるため、学生さんには厳しい部分があると思います。
そんな時は、しっかりと運動学的な視点で観察から始めてみましょう。道は険しいですが、得られるものは大きいと思いますよ。
それでは、歩行の評価が
捗りますように!