こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
運動失調って、ネットや本で調べても、複雑な内容ばかりでイメージしづらいですよね。
私も多くの小脳性運動失調を診てきましたが、非常に捉えにくい徴候だと思います。
実習で失調検査をやったけど
正直、よく分からなかった。
うん、失調の特徴を理解して
いないと難しかもね…。
そこで今日は、失調検査で出現する運動分解について、その特徴や種類について解説をしてみたいと思います。
運動失調とは
運動失調とは、運動を調整する小脳の障害により、正常な機能の進行に混乱が起こってしまうことです。
ちょっと動画を観て下さい。
小脳障害により、このような「ぎこちない」動作になっていますよね。
この不自然な動きは、運動失調の特徴的な症状である、運動分解が関係しています。
運動分解とは
運動分解は、文字通り1回でできる運動が、2つ以上に分解されてしまう現象です。
例えば肘を曲げる動作の時、もし正常であれば、滑らかな関節運動が起こります。
しかし運動失調があると、
曲がる ⇒ 止まる ⇒ 曲がる
このように単純な運動が、複数に分解されてしまうことがあります。
コマ送りみたいだね…。
断続的な動きになってるね。
これが運動分解という現象になります。
運動分解の特徴と種類
あまり知られていませんが、実は運動分解には2つの種類があるんですよね。
では、それを指鼻指試験で紹介します。
軸性の運動分解
この検査では、被験者が自分の鼻と、検査者の指を往復させます。
その時、被験者の腕の動きは、
このように、滑らかな動きをするはずです。
しかし、軸性の運動分解があると、
このように、直線上の動きが分解され、カクカクっとした動きになります。
この場合だと、肘関節の
屈伸運動に失調が出てるね。
側方の運動分解
そしてもう一方は、軌道が左右・上下にジグザグになる、側方の運動分解です。
へぇ、さっきとは違うね。
こっちは肩関節の内外旋と
内外転に失調が出てるんだよ。
この2つの異なる現象が、指鼻指試験で観察される、運動分解になります。
一瞬の出来事なので、見逃さないように!
下肢の運動分解
先程は上肢の運動分解でしたが、実は下肢の運動分解も失調検査で分かります。
その検査は「膝踵試験」です。
被験者の踵を、反対側の膝蓋骨の上に乗せさせて、そのまま向う脛から落ちないように滑らせるよう指示します。
正常であれば、当然、このように滑らかな動きになるはずです。
しかし、軸性の運動分解があると、
このような、膝関節の断続的な屈伸運動によって、コマ送りのような動きになるでしょう。
また、側方の運動分解がある場合は、
踵が脛の上から落下しながら、左右にジグザグ揺れながら、運動をするはずです。
このような現象が見られたら、踵が脛から落下した回数を数えておきましょう!
失調の影響で、股関節が
不安定になってるんだね。
主動作筋と拮抗筋の、
協調性低下が原因だね。
実習で失調検査をする機会があれば、上肢と下肢の両方で、運動分解に着目してみてね。
おわりに
失調検査で(+)とか(-)だけを結果として残しても、何の役にも立ちません。
どの関節に、どのような協調性低下があったのか?これを見極めてこその検査です。
運動失調が出る疾患は限られているので、臨床にいるセラピストでも、失調をたくさん経験している人は少ないはずです。
だからこそ、少ない機会を有意義に使おう!
それでは、失調検査が
上手にできますように!