こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
本日のテーマは、表在覚の感覚検査です。
学校で習ったとしても、患者さんを目の前にすると、上手にできない学生が多いです。
僕も、手順が飛んじゃって
頭が真っ白に…。
この検査は、学生同士での
練習が難しいからね。
ということで今日は、緊張していても忘れてはいけない、触覚と痛覚の検査方法と、注意点をおさらいしてみましょう。
また、10回法と10点法の使い分けに関しても、解説してみたいと思います。
触覚を検査しよう
では、触覚検査のおさらいからです。
使用する道具
使用する道具は、ティッシュの切れ端です。
昔は筆を使っていましたが、不衛生ということで、使い捨てのティッシュがおすすめです。
軽く皮膚に触れる程度で、優しくなでるように刺激しましょう。
検査の注意点
なでる際は、以下の点に注意して下さい。
【触覚検査の注意点】
✅ なでる時は閉眼させる
✅ 近位から遠位方向へなでる
✅ 四肢は長軸方向へなでる
✅ 手を掴むなど余計な刺激はNG
なんで近位から遠位なの?
体毛が邪魔するからだよ。
遠位から近位になでてしまうと、表面にある体毛(うぶ毛)が、引っ掛かりやすいため、触覚とは別の感覚が入力されてしまいます。
ティッシュの刺激が、正しく伝わるように、余計な刺激は避けたいところですね。
痛覚を検査しよう
続いては、痛覚検査のおさらいです。
使用する道具
使用する道具は、つまようじや竹串です。
昔は針を使っていましたが、危険だし不衛生なので、使い捨てられるものを使用します。
刺すというより、置くって感じで、相手が不快にならない刺激を心がけましょう。
検査の注意点
痛覚の注意点も、触覚と似ています。
【痛覚検査の注意点】
✅ 最初に触ってもらい安心させる
✅ 刺激する時は閉眼させる
✅ 手を掴むなど余計な刺激は避ける
患者さんは、何をされるか不安です。
つまようじや竹串は、事前に手で触ってもらうことで、安心感を与えられます。
なるほど、心遣いだね。
緊張させると、検査結果も
変っちゃうからね。
では次に、二種類ある表在覚の検査方法を、おさらいしてみましょう。
10回法とは
この検査は、10回の刺激に対し、分かった回数を確認していきます。
使用する目的は、色々な場所を刺激して、感覚障害の有無を確認することです。
最初に検査する場所は、当てずっぽうです。
腕をなでるので、分かったら
「はい」と答えて下さい。
よし、分かったよ。
では、目を閉じて下さい。
~ ティッシュでなでる ~
はい!
~ 別の場所をなでる ~
はい!
~ さらに別の場所をなでる ~
・・・・。
あれ、ここの場所は
分からないんだ?
このように10回の刺激のうち、正しく解答できた回数を調べるのが10回法です。
10点法とは
10点法は、左右差を比べる検査です。
この検査は、片麻痺患者さんの、非麻痺側と麻痺側を比較する際に、よく使用されています。
まずは非麻痺側に刺激を入れます。
この刺激を覚えて下さい。
これを10点とします。
うん、なるほど。
覚えた!
続いて、麻痺側の同じ場所に刺激を入れます。
この刺激は、さっきと比べて
いくつくらいですか?
う~ん、半分くらいだから
5点ってとこかな…。
そっか、やはり麻痺側の
感覚は鈍麻してるな。
~ 過敏になっている場合 ~
う~ん、さっきのよりも
強いから、12点かな?
感覚過敏がある場合は、非麻痺側の10点を超えることもあります。
このように、感覚障害の強さを、左右で比較するのが10点法になります。
10回法も10点法も、
この6種類に分かれるよ。
10回法 | 10点法 | |
感覚過敏 | ー | 10点以上 |
正常 | 10回正解 | 10点 |
軽度鈍麻 | 7~9回正解 | 7~9点 |
中等度鈍麻 | 4~6回正解 | 4~6点 |
重度鈍麻 | 1~3回正解 | 1~3点 |
感覚脱失 | 0回正解 | 0点 |
軽度鈍麻~重度鈍麻の、回数や点数に関しては、適当に三等分してみました。
この基準は、自分で決めてもOKですよ。
2つを使い分けよう
さて、10回法と10点法のやり方が分かったところで、2つを使い分けてみましょう。
【脳卒中片麻痺の場合】
① 非麻痺側に対し10回法を実施
※非麻痺側に感覚障害がないかを確認
② 麻痺側に対し10点法を実施
※脳卒中で低下した度合いを知るため
いきなり麻痺側に10点法
をやるのはNGだよ!
え、なんでダメなの?
非麻痺側にも感覚低下がある場合、最初に決めた10点が、10点ではないからです。
最初に10回法で、感覚障害の有無を確認し、その後に麻痺側の検査に移りましょう。
【それ以外の疾患】
① まず当てずっぽうで10回法を実施
② 感覚障害があれば10点法を実施
このように、感覚障害がある or ないのかを確認する場合は、10回法を実施します。
その後、左右差を知りたい場合に限り、10点法に切り替えればOKです。
まずは10回法から!
って覚えておこう。
うん、分ったよ。
やってみるね。
おわりに
実習生に感覚検査をやらせてみたら、いきなり「これを10点とします」とやり出して、困ってしまった経験があります。
なんと、10点法しか習っていないと…。
片麻痺以外でも、感覚検査は実施します。だからこれを機に、10回法と10点法を使い分けられるようにしておきましょう。
それでは、感覚の検査が
上手にできますように。