こんにちは、理学療法士で
教員をしているダイ吉です!
本日は、セラピストのお仕事のひとつ、リハビリ添書の書き方を紹介します。
添書は患者さんの情報を書くだけじゃなく、封筒や宛名などにも気を遣うので、かなり手間が掛かる大変な業務ですね。
僕は作成が遅いので、
つい残業しちゃいます…。
最初は時間が掛かるけど、
コツを掴めば早く書けるよ。
では、短時間で相手に伝わる文章の書き方について、色々と紹介していきますね!
リハビリ添書とは
リハビリ添書は情報提供書と呼ばれる書類で、1人の患者さんの情報について、他者に申し送りをするためのものです。
作成するのは担当PT・OT・STで、転帰先で関わるスタッフに向けて作成します。
うちの病院は転院が多いので、
かなり依頼があります…。
ありゃりゃ、そりゃ大変だ。
大変ですが、添書のお陰でリハビリの再開がスムーズになるので、セラピストにとってもありがたい存在となっています。
添書で申し送る情報
添書は、この5つに沿って書くと楽です。
それでは、1つずつ解説していきますね。
初期評価の情報
まずは、自分が介入した初期の情報からです。
本人の主訴やHope、筋力や麻痺といった機能面の情報、基本動作や、その他のADLに関する介助量などの情報を記載していきましょう。
ROMテストやMMT、周径の結果などは数値で書いてあげると、次の担当セラピストも共有できるので、喜ばれると思いますよ。
ここの項目は、できるだけ
客観的な情報を書こう!
好みや性格の情報
新しい場所でリハビリする際、患者さんのキャラクターを掴むまでに時間が掛かります。
だから、患者さんのキャラクターについて、情報を提供してあげましょうか。
✅ こんなリハビリをすると喜ぶ!
✅ 痛がるのでマッサージは軽めで!
✅ 家族と不仲なので会話に注意!
怒りっぽいとか楽観的だとか、性格に関する情報があれば、新しいセラピストも初日から介入しやすくなりますね。
性格面やNGワードの情報は
本当にありがたいです。
うん、この項目は大事だね。
リハビリ介入の内容
次は、治療方針やゴール設定など、リハビリの内容を具体的に書いていきましょう。
よって、こんな書き方はダメですよ!
#1:リラクゼーション
#2:抗重力運動
#3:ADL訓練
#4:歩行訓練
このようにプログラム名だけが書いてあるだけだと、そんなんで分かるか!ってなります。
さらに、こんなのもヤメましょう。
【悪いゴールの書き方】
STG:体力の維持・増強
LTG:歩行能力の向上
こんな目標では、もらった方も困ります。
リハビリの環境や条件、回数やセット数など、分かりやすく具体的に書いてあげましょう。
自分が貰っても嬉しい
情報が添書の基本!
現在の状況について
次は、退院時の最終評価の記載です。
入院時や初期介入時と比較して、健康状態を含めて、向上したもの、悪化したものを挙げておきましょう。
【最終評価と現在の状況】
現在は血圧も安定し、40分のリハビリをこなせる体力がつきました。
入院時は平行棒で見守り歩行でしたが、現在は前腕支持型の歩行器を使用して院内フリーです。
着座や立ち上がりは習得済みですが、ベッド周りのADLでは更衣動作に時間が掛かります。
どの位の能力があるのか、どこがどう良くなったのか、最終評価と現在の状況について、具体的に記載してあげましょう。
また、介助量の変化や、歩行器・車椅子など、補装具の導入などがあれば、それも記載しておくと伝わりやすいです。
今後の課題について
最後は、続けて欲しいプログラムや、達成させて欲しいゴールの記載になります。
たとえば、
抗重力筋に対するアプローチの継続
手すりを使用した階段昇降の獲得
この2つを、そちらでお願いします!といった、こちら側の希望を書いておきます。
これにより、ウチではここまで達成したが、今後はそちらで支援して頂きたい!という、切れ目のないバトンタッチが実現します。
そして添書の文末に、
リハビリの継続をお願いします
御高診お願い申し上げます
今後の連携をよろしくお願い致します
こんな定型文で〆ることで、「後は任せた!」というメッセージが強まりますよ。
添書の注意点について
本文も大切ですが、その他にも色々と注意点があるので、そちらも解説しておきます。
宛先の書き方
宛名は略さずに書きます。名前が分からない場合には、担当者様と書いて下さい。
住所や郵便番号にミスが無いか、誤字や脱字については、必ずチェックしておきましょう。
また、医療業界で通例となっている、名前の後に「御机下」や「御侍史」を、付け加えるのをお忘れなく!
例)山田 太郎 先生 御机下
御机下(ごきか)は、直接渡すほどの立派なものではありません、恐れ多いので机の下にそっと忍ばせておきます…。という意味です。
例)鈴木 一郎 先生 御侍史
御侍史(ごじし)は、先生に直接お送りするなんて、滅相も御座いません。お付きの人に送るのが精一杯です…。という意味になります。
先生と御を使用すると、二重敬語となり一般的ではありません。しかし、医療業界ではなぜかOKとなっている使い方なんですよね。
「越後屋、お主も悪よのぅ~」
「いやいや、御代官様ほどでは…」
定番のやり取りでも、二重敬語は使用されているので、OKなんでしょうかね?
ちょっと抵抗がある人は、「〇〇様 机下」と記載して「御」を抜いておけばOKです。
う~ん、日本らしい…。
ホント、めんどくさいね。
最後に、リハビリ添書在中と赤で書いておくと、特別な書類だと気づいてもらえます。
専門用語は控える
相手がケアマネージャーさんの場合や、訪問で関わる看護師さんの場合には、専門用語の乱用は控えましょう(バイタルなどはOK)。
例えば、筋緊張を、MASでグレード1+です!と書いても、他部門の人には伝わりません。
ドヤって専門用語を使わない!
だったらそれよりも、筋肉が少しだけ突っ張ります、という言い方にしてあげましょう。
添書は、知識をひけらかすためにあるのではないので、できるだけ噛み砕いて説明し、相手に伝えることだけを優先して下さいね。
中身を見られるリスク
添書は次の施設や病院、担当ケアマネージャーに郵送することが多いが、仕方なく患者さんに渡すこともあります。
そのような場合、患者さんやそのご家族に、中身を見られる可能性を考えておきましょう。
「クレームが多くて大変だった」
「これ以上の改善は望めない」
「進行が早いので在宅継続は難しい」
このような内容は、ダイレクトに書かず、できるだけ遠回しの文章にして伝えましょう。
うわ~、この中身を見られたら
確実に問題になりますね…。
うん、だから気を付けてね。
また、患者さんが紛失してしまう可能性もあるので、匿名化の徹底など、病院の指針に従って個人報漏洩予防に努めて下さいね。
おわりに
リハ添書作成は、結構エネルギーが必要な業務だと思います。最初のうちは、上司や先輩からアドバイスを受けてみて下さい。
そして、何度も書き直すうちに、徐々にコツが掴めてくると思います。
それまでは、前述したポイントと、注意点を参考にして頂ければ幸いです。
それでは、リハビリ添書が
相手に伝わりますように!