失調で出現する運動分解とは?特徴や種類について簡単解説

検査・評価
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!

運動失調って、ネットや本で調べても、複雑な内容ばかりでイメージしづらいですよね。

私も多くの小脳性運動失調を診てきましたが、非常に捉えにくい徴候だと思います。

プク太
プク太

実習で失調検査をやったけど
正直、よく分からなかった。

ダイ吉
ダイ吉

うん、失調の特徴を理解して
いないと難しかもね…。

そこで今日は、失調検査で出現する運動分解について、その特徴や種類について解説をしてみたいと思います。

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運動失調とは

運動失調とは、運動を調整する小脳の障害により、正常な機能の進行に混乱が起こってしまうことです。

ちょっと動画を観て下さい。

小脳障害により、このような「ぎこちない」動作になっていますよね。

この不自然な動きは、運動失調の特徴的な症状である、運動分解が関係しています。

運動分解とは

運動分解は、文字通り1回でできる運動が、2つ以上に分解されてしまう現象です。

例えば肘を曲げる動作の時、もし正常であれば、滑らかな関節運動が起こります。

しかし運動失調があると、

 曲がる止まる曲がる

このように単純な運動が、複数に分解されてしまうことがあります。

プク太
プク太

コマ送りみたいだね…。

ダイ吉
ダイ吉

断続的な動きになってるね。

これが運動分解という現象になります。

運動分解の特徴と種類

あまり知られていませんが、実は運動分解には2つの種類があるんですよね。

では、それを指鼻指試験で紹介します。

軸性の運動分解

この検査では、被験者が自分の鼻と、検査者の指を往復させます。

その時、被験者の腕の動きは、

このように、滑らかな動きをするはずです。

しかし、軸性の運動分解があると、

このように、直線上の動きが分解され、カクカクっとした動きになります。

ダイ吉
ダイ吉

この場合だと、肘関節の
屈伸運動に失調が出てるね。

側方の運動分解

そしてもう一方は、軌道が左右・上下にジグザグになる、側方の運動分解です。

プク太
プク太

へぇ、さっきとは違うね。

ダイ吉
ダイ吉

こっちは肩関節の内外旋と
内外転に失調が出てるんだよ。

この2つの異なる現象が、指鼻指試験で観察される、運動分解になります。

一瞬の出来事なので、見逃さないように!

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下肢の運動分解

先程は上肢の運動分解でしたが、実は下肢の運動分解も失調検査で分かります。

その検査は「膝踵試験」です。

被験者の踵を、反対側の膝蓋骨の上に乗せさせて、そのまま向う脛から落ちないように滑らせるよう指示します。

正常であれば、当然、このように滑らかな動きになるはずです。

しかし、軸性の運動分解があると、

このような、膝関節の断続的な屈伸運動によって、コマ送りのような動きになるでしょう。

また、側方の運動分解がある場合は、

踵が脛の上から落下しながら、左右にジグザグ揺れながら、運動をするはずです。

このような現象が見られたら、踵が脛から落下した回数を数えておきましょう!

プク太
プク太

失調の影響で、股関節が
不安定になってるんだね。

ダイ吉
ダイ吉

主動作筋と拮抗筋の、
協調性低下が原因だね。

実習で失調検査をする機会があれば、上肢と下肢の両方で、運動分解に着目してみてね。

おわりに

失調検査で(+)とか(-)だけを結果として残しても、何の役にも立ちません。

どの関節に、どのような協調性低下があったのか?これを見極めてこその検査です。

運動失調が出る疾患は限られているので、臨床にいるセラピストでも、失調をたくさん経験している人は少ないはずです。

だからこそ、少ない機会を有意義に使おう!

ダイ吉
ダイ吉

それでは、失調検査が
上手にできますように!

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