
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは遠心性収縮です。
運動学で習う、筋の長さと張力の関係って、意外と難しいんですよね。

う~ん、力が出ていれば
どれも一緒でしょ?

いや、ちゃんと分けないと
リハビリできないよ…。
そこで今日は、遠心性収縮にスポットを当て、リハビリでどのように使えばいいのかを整理していこうと思います。
3つの収縮様式
筋肉の収縮には3つの種類があります。
ここでは上腕二頭筋を例に、「ビールジョッキ」を持つ動作で整理していきます。
求心性収縮
まずは、口元にジョッキを近づける動き。
上腕二頭筋の起始と停止が、近づきながら張力を発揮しています。

運動:肘関節屈曲
筋長:短くなる
張力:最も弱い

力こぶを作る動きって
実は弱いんだね。

縮んだ筋肉が密集して
太く見えるんだね。
見た目は派手なのに、パワーが弱いのが求心性収縮の特徴ですね。
等尺性収縮
次は、ゴクゴクと飲んでいる時の筋活動。
上腕筋の起始と停止の距離が固定された状態で、張力を発揮している状態です。

運動:肘関節屈曲位保持
筋長:変化しない
張力:真ん中

関節運動がないのが
等尺性収縮だよ。
遠心性収縮
最後は、飲み終わった後に、ジョッキをテーブルに戻す動きです。
上腕二頭筋の起始と停止が、離れながら張力を発揮しています。

運動:肘関節伸展
筋長:元に戻る(長くなる)
張力:最も強い
もしここで力が抜けてしまったら、ジョッキは「ガシャン!」と机に叩きつけられて割れてしまいますよね?
そうならないよう、筋肉がブレーキをかけ、引き伸ばされるのに耐えている状態です。

へぇ、ゆっくり置く動作は、
すごい力を使うんだね。

うん、そうなんだよね。
張力の強さは、
「遠心性 > 等尺性 > 求心性」
の順になります。この「火事場の馬鹿力」のような強い力を利用するのが、今回のリハビリのポイントです。
関連記事 筋力・筋出力・筋発揮って何が違うの?今さら聞けない基礎を整理
遠心性収縮を使ったリハビリ
では、この遠心性収縮を、臨床やトレーニングでどのように活用すれば良いのでしょうか?
答えは簡単、「持ち上げられないなら、下ろすだけ練習をする」です。いわゆる、ネガティブ・トレーニングという方法ですね。

え、下ろすだけの練習?

そそ、強い力が出るから
効率が良いんだよ。
それでは、具体的な部位ごとのトレーニング方法を見ていきましょう。
腕立て伏せで上肢筋強化
まずは、腕立て伏せ(プッシュアップ)です。筋力が弱い人は、体を沈めた状態から「フンッ!」と持ち上げることができませんよね。
だから、スタート位置を変えます。
① 腕を伸ばした状態からスタート
② 重力に逆らいながらゆっくり曲げる
③ ゆっくり潰れたら膝をついて戻る

これなら、自分の体重を持ち上げられない人でも、筋肉に強い刺激を入れることができます。

潰れる練習をするんだね。

そう、ゆっくり潰れる!
5秒くらいかけよう。
腹筋で体幹筋強化
次は腹筋です。これも「起き上がれない」と悩む人が多い種目ですね。
これも、逆からやりましょう。
① 座った状態からスタート
② おへそを見ながらゆっくり後ろに倒れる
③ 背中がついたら手を使って戻る

起き上がるのは無理でも、 ゆっくり寝転がるのは意外と簡単です。

これなら僕でもできる!
自信がない人は、補助の人と手をつなぎ、ゆっくり寝る練習から始めます。
重力に逆らえるようになったら、1人でゆっくり寝転がせてみて下さい。
立ち上がり動作で下肢筋強化
最後は、高齢者のリハビリで最も重要なスクワット(立ち上がり)です。
大腿四頭筋の筋力が低下すると、着座の瞬間に力が抜けて「ドスン!」と椅子に座ってしまいます。
これは、遠心性収縮のブレーキが効いていない証拠です。
① 手すりやテーブルを準備
② お辞儀をしながら手を使う
③ ゆっくり座ったら手を離す

座る練習をするだけで、
立つ筋力がつくんだね。

座る練習は圧迫骨折の
予防になるから重要だよ!
このトレーニングは、別記事で解説しています。そちらを参考にして下さい。
関連記事 ドスンと座る原因は?着座動作を改善する即効トレーニング
おわりに
さて、今回は遠心性収縮の特徴と、それを活かしたリハビリ方法を紹介しました。
✅ 持ち上げる(求心性)は弱い
✅ 下ろす・耐える(遠心性)は強い
これを理解していれば、「筋力がないから運動できない」という言い訳は通用しません。
できないなら、逆からやればいいだけ!
臨床でも、「ゆっくり下ろして」と声をかけるだけで、効果は劇的に変わりますよ。

それでは、遠心性収縮が
上手に使えますように!

