こんにちは、理学療法士で
教員をしているダイ吉です!
本日は、肩甲骨に付着する筋肉の話です。
肩甲骨は挙上と下制・外転と内転の他にも、上方回旋と下方回旋という動きをします。
肩甲骨には多くの筋が付着しており、かつ鎖骨とも関節しているため、国家試験で特に狙われやすい部分です。
う~ん、上方回旋と下方回旋が
よく分からないんだよな。
大丈夫、きっとすぐ覚えるよ!
そこで今日は、肩甲骨の下方回旋に作用する3つの筋と、その動きについて簡単に解説していきたいと思います。
肩甲骨の下方回旋とは
肩甲骨の下方回旋は前額面上の運動で、上の図のように、左右の下角同士が近づくような動きでしたよね。
思い出した!逆ハの字が
下方回旋だったわ。
動き自体はシンプルなんですが、下方回旋に作用する筋がもの凄く複雑なんです。
ちなにみに下方回旋に働く
筋肉ってパッと出る?
と、当然じゃん。やだなぁ~。
(じぃ~…)
ちょ、なんだよ。
本当に分かってるってば…。
皆さんは、パっと出てきますか?
下方回旋に作用する3つの筋
では肩甲骨に付着している筋で、下方回旋に作用する筋肉を確認していきましょう。
肩甲挙筋
まずは肩甲挙筋。
起始は第1~4頸椎の横突起結節で、停止は肩甲骨の上角から内側縁。
この筋のメインの作用は肩甲骨の挙上なので、下方回旋は補助的な運動となります。
小胸筋
続いては小胸筋。
大胸筋の直下にあるから、目立たない筋肉ですよね。小胸筋の起始は第1~3肋骨で、停止は肩甲骨の烏口突起です。
この筋の作用は3つで、肩甲骨の下制・下方回旋・外転になります。
菱形筋群
最後は小菱形筋と大菱形筋。
この2つの筋は、併せて菱形筋群と略されることがあり、作用としては肩甲骨の挙上+内転と下方回旋です。
小菱形筋の起始は、6~7番の頸椎棘突起。大菱形筋の起始は、その下の第1~4胸椎棘突起になります。
停止は内側縁で、後ろからみると、ハの字になるような走行をしています。
筋肉はハの字なのに、
運動は逆ハの字になるんだね。
お、よく気が付いたね!
そうなんです、菱形筋は上方回旋に作用する?と間違えやすいので注意して下さいね!
この運動に関しては後で解説します。
筋の作用とその動きについて
筋の起始と停止が頭でイメージできれば、骨の動きは大体分かると思います。
でも、肩甲骨の下方回旋は複雑なので、単純な暗記だけではなく、動き自体を理解していく必要があるんですよね。
では、その動きを1つずつ解説していきます。
肩甲挙筋の作用
まず、肩甲挙筋の作用ですが、骨模型の上角と下角をつまんでみますね。
まだ、上方にも下方にも回旋していません。
この状態で、肩甲骨を上方に引っ張りたいんですが、空中では難しいです…。
だから下の支えを外し、重力によって肩甲骨を上に引っ張り上げてみますね。
するとどうでしょうか、
あらら、上角を上方に吊ってみると、勝手に肩甲骨の下方回旋が起こりましたよ。
なんで真上に吊っているのに、
下方に回旋するの?
上角は肩甲骨の中心より内側にあるので、回転モーメントが発生したんだね。
ただの暗記だけじゃなく、こうやって模型を使って覚えると、記憶に残りやすいですね。
小胸筋の作用
次の小胸筋は烏口突起に注目して下さい。
小胸筋が烏口突起を引っ張る方向は、正面から見て下内側になりますよね。
そのため小胸筋が活動すると、肩甲骨は下制をしながら下方回旋することになります。
あと、外転にも作用しますが、今回は下方回旋の動きがメインのため割愛しますね。
菱形筋群の作用
最後は菱形筋群を見ていきましょう。
筋の走行を見れば、肩甲骨の内転に働くことは誰だって分かると思います。
でも、本当に下方回旋に働くの?
実は肩甲骨の形状から、菱形筋群の下側は筋腹は、少し長めになっているんです。
よって、下角は上角よりも大きく引っ張られるため、肩甲骨は自然と下方回旋します。
厳密には上内側へ移動するので
挙上の要素も入っているね。
う~ん、なるほど。
わからん!
ちょっと…プク太くん、
これ位は理解してよ。
うん、頑張る…。
以上、筋の作用と下方回旋の仕組みでした。
おわりに
さて、今回は肩甲挙筋・小胸筋・菱形筋群が、肩甲骨を下方回旋させるメカニズムを解説してみました。
このように、筋の作用は起始と停止の丸暗記よりも、骨と関節の動く方向と併せて理解していく方がが覚えやすいですよね。
この辺りは国家試験でも狙われています。
そのため、
解剖学 → 運動学
運動学 → 解剖学
これを何度も繰り返して、コツコツと学習していくしかありません。
どちらか一方の勉強だけで終わっている人は、国家試験に向けて、色々な教科をつなげる訓練もしていきましょう。
それでは、肩甲骨の下方回旋が
イメージできますように!
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