
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
重症筋無力症〈MG〉は、国家試験で何度も似た選択肢が出題される疾患です。
特に、「重症筋無力症で正しいのはどれか」という問題では、問われるポイントがかなり決まっています。
この記事では、過去20年分の国家試験を確認し、1点を取るために必要な知識を3パターンに絞りました。
過去問も使いながら、「見た瞬間に選択肢を切れる状態」まで仕上げていきましょう。
まず30秒で確認!「正しいのはどれか」はここを見る
重症筋無力症の問題が出たら、まず次のキーワードを探してください。
○ 正しい選択肢
- 自己免疫疾患
- 神経筋接合部の障害
- 筋肉側のアセチルコリン受容体が障害
- 眼瞼下垂・複視
- 易疲労性
- 朝より夕方に悪化
- 胸腺腫
- コリンエステラーゼ阻害薬
- 感染などでクリーゼを起こす
- 呼吸障害は拘束性換気障害
- 過用による疲労に注意
× 切ってよい選択肢
- 脱髄性疾患
- 感覚障害がある
- 四肢遠位筋から筋力低下する
- 午前中に悪化する
- waxing現象がみられる
- アセチルコリンの放出が障害される
- 閉塞性換気障害になる
この段階で、かなりの問題が解けます。ここから「なぜそうなるのか」を、3つのパターンで理解しましょう。
【パターン1】MGは「筋肉側の受容体」が壊れる病気
重症筋無力症は、神経筋接合部にトラブルが起こる自己免疫疾患です。
通常は、神経終末から放出されたアセチルコリンが、筋肉側にあるアセチルコリン受容体に結合することで筋収縮が起こります。

ところがMGでは、この筋肉側のアセチルコリン受容体が自己免疫によって障害されます。
つまり、
神経からアセチルコリンは放出される
↓
筋肉側で受け取る受容体が少ない
↓
筋収縮が弱くなる という病態です。
自動改札でイメージしよう
満員電車が駅に到着し、大勢の人が一気に改札へ向かいます。ところが、3台ある自動改札機のうち2台が故障。
残った1台に人が集中し大渋滞が起こります。

MGもこれと同じです。
アセチルコリンは来ている。でも受け取る「改札=受容体」が足りない。
国試では、MG=悪いのは筋肉側と覚えておきましょう。
Lambert-Eaton症候群との違い
ここは国試で非常に相性のよい比較です。
重症筋無力症
→ 筋肉側のアセチルコリン受容体が障害
Lambert-Eaton症候群
→ 神経終末からのアセチルコリン放出障害
つまり、
重症筋無力症 = 筋肉側の障害
Lambert-Eaton = 神経側の障害
となります。これだけで、かなり選択肢を切れるようになります。
これだけは暗記しろ!
- MG=自己免疫疾患
- 障害部位=神経筋接合部
- 筋肉側のアセチルコリン受容体が障害
- 感覚障害は原則みられない
実践!過去問
重症筋無力症について正しいのはどれか。
(第52回 午後88)
- 起床時に症状が強い
- 悪性腫瘍の合併が多い
- 自己免疫性疾患である
- 女性よりも男性に多い
- 40歳以前の発症は稀である
答えを見る(クリックして展開)
正解:3
MGは自己免疫疾患です。
また、症状は起床時よりも、活動による疲労が蓄積する夕方に悪化しやすいのが特徴です。
【パターン2】「夕方に悪化+眼瞼下垂」を見逃さない
MGの特徴には、易疲労性と日内変動があります。朝は比較的調子がよくても、筋肉を繰り返し使うと徐々に力が入りにくくなります。
朝:比較的調子がよい
↓
夕方:症状が悪化し不調になる
これが日内変動です。もし問題文に「午前中に症状が悪化する」と書かれていたら✖です。
① 眼瞼下垂・複視
特に狙われるのが眼症状です。
- 眼瞼下垂
- 複視
- 眼球運動障害
などがみられます。「夕方になると、まぶたが下がって物が二重に見える」という患者さんをイメージしてください。

② 構音・嚥下障害
舌や咽頭の筋肉にも易疲労性が出現します。
そのため、
- 呂律が回りにくい
- 飲み込みにくい
- むせる
などの症状がみられます。
③ 四肢は「近位筋優位」
国試では「四肢遠位筋の筋力低下を生じやすい」という選択肢が出ますが、これは✖
MGでは頸部・体幹や四肢近位筋の筋力低下がみられます。
これだけは暗記しろ!
- 易疲労性
- 朝より夕方に悪化
- 眼瞼下垂・複視
- 構音・嚥下障害
- 四肢は近位筋優位に筋力低下
- 感覚障害は原則なし
実践!過去問
重症筋無力症について正しいのはどれか。2つ選べ。(第48回 午前90)
- 末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる
- 抗アセチルコリン受容体抗体陽性率は10%である
- 症状の日内変動がある
- 嚥下障害の合併はない
- 眼瞼下垂がみられる
答えを見る(クリックして展開)
正解:3、5
MGでは、日内変動と眼瞼下垂が代表的な特徴です。
また、反復刺激試験では振幅が増大するwaxingではなく、振幅が徐々に低下するwaningがみられます。
【パターン3】胸腺・クリーゼ・リハビリ禁忌で1点取る
ここからは、選択肢を切るための知識です。
MGでは、
- 胸腺腫
- 反復刺激検査
- テンシロン試験
- QMG score
- クリーゼ
- リハビリ
をセットで覚えておきましょう。
胸腺腫
国試では、重症筋無力症=胸腺腫という組み合わせが繰り返し出題されています。
重症筋無力症を合併することが多いのはどれか。 (第48回 午前 76)
- 肺癌
- 乳癌
- 中皮腫
- 胸腺腫
- 食道癌
1点を取りこぼさないためにも、まずこの組み合わせを覚えましょう。
反復刺激試験
低頻度の反復刺激では、筋活動電位の振幅が徐々に低下するwaning現象がみられます。
MG = waning です。
waxingと出てきたら、Lambert-Eaton症候群を疑いましょう。
💡 他の神経筋疾患のひっかけ問題対策なら!
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テンシロン試験
コリンエステラーゼ阻害薬を投与し、一時的に筋力や眼症状が改善するかを確認します。

国試では、テンシロン試験で症状が改善と覚えておけば十分です。
QMG score
QMG scoreでは、
- 嚥下機能
- 眼球運動
などが評価されます。
細かい項目は覚えきれないため、この2つだけ暗記でOKです。
【重要】クリーゼは「急な呼吸状態の悪化」
クリーゼは、MGの症状が急激に悪化し、呼吸筋や嚥下筋まで強く障害される危険な状態です。
誘発因子として、
- 感染
- 身体的ストレス
- 疲労
- ステロイドの急激な減量
などがあります。
特に国試では、感染はクリーゼの誘発因子が重要です。
換気障害は「拘束性」
呼吸筋の筋力が低下すると、肺を十分に広げられなくなります。
したがって、
○ 拘束性換気障害=吸いにくい
× 閉塞性換気障害=吐きにくい
と整理しましょう。
「MGのクリーゼでは閉塞性換気障害をきたす」は誤りです。

【重要】重症筋無力症のリハビリ禁忌
MGのリハビリでは、易疲労性と過用への配慮が重要です。
✅ 国試で選ばない
- 高負荷の筋力増強訓練
- 疲労困憊まで続ける運動
- 十分な休憩を入れない訓練
- 急激に負荷を上げる運動
✅ 国試で選ぶ
- 低負荷から開始する
- こまめに休憩する
- 易疲労性を考慮する
- 比較的調子のよい時間帯に行う
- 過用に注意しながら段階的に負荷を上げる
実践!過去問
重症筋無力症で正しいのはどれか。(第57回 午後44)
- 過用に注意して運動は漸増負荷とする。
- 日内変動として午前中に症状が悪化する。
- 低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
- 運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
- クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性換気障害で起こる。
答えを見る(クリックして展開)
正解:1
1. 〇 過用に注意しながら、低負荷から段階的に進める。
2. × 症状は夕方に悪化する。
3. × MGではwaning。
4. × アセチルコリン放出障害はLambert-Eaton症候群。
5. × 呼吸筋麻痺による拘束性換気障害。
この問題が解ければ、MGの重要ポイントはかなり押さえられています。
最後に3問で総復習!
問1 重症筋無力症で正しいのはどれか。 (第49回 午前 89)
- 女性より男性に多く発症する
- 四肢では遠位筋の筋力低下が起きやすい
- 夕方にかけて症状は軽快する
- 末梢神経の連続刺激で振幅の増大がみられる
- コリンエステラーゼ阻害薬が用いられる
答えを見る(クリックして展開)
正解:5
1. × 女性(特に40代前後)に多い。
2. × 頸部体幹~四肢近位筋に起きやすい。
3. × 夕方に悪化する(日内変動)。
4. × 受容体が疲労するため連続刺激で振幅は減弱していく。
5. 〇 コリンエステラーゼの働きを邪魔すると症状は改善する。
問2 重症筋無力症患者のQMG score<Quantitative Myasthenia Gravis score>に含まれる評価はどれか。2つ選べ。 (第59回 午前 44)
- 意識状態
- 嚥下機能
- 感覚障害
- 眼球運動
- 排尿機能
答えを見る(クリックして展開)
正解:2、4
MGで出現する症状は、嚥下機能障害と複視などの眼球運動である。その他の選択肢は直接、出現しない症状である。
問3 重症筋無力症のクリーゼについて誤っているのはどれか。 (第53回 午前 46)
- 嚥下障害を認める。
- 咳嗽機能が低下する。
- 閉塞性換気障害をきたす。
- 発症率は20%以上である。
- ステロイドの急激な減量が原因となる。
答えを見る(クリックして展開)
正解:3
1. 〇 球症状(嚥下・構音障害)が悪化し、誤嚥のリスクが高まります。
2. 〇 呼吸筋の低下により、痰を出す力(咳嗽力)も低下します。
3. × 呼吸筋麻痺による「拘束性換気障害」をきたします(閉塞性は誤り)。
4. 〇 全経過中で約20%の患者さんがクリーゼを経験すると言われています。
5. 〇 薬(ステロイド)の急な減量や中断は、クリーゼの誘因となります。

全問正解できたかな?
30秒で総まとめ!
病態
→ 自己免疫で筋肉側のACh受容体が障害
筋力低下
→ 近位筋優位・感覚障害なし
特徴的症状
→ 眼瞼下垂・複視・嚥下障害
日内変動
→ 朝は軽く、夕方に悪化
検査
→ 反復刺激でwaning
合併症
→ 胸腺腫
治療
→ コリンエステラーゼ阻害薬
クリーゼ
→ 感染などで急性増悪
→ 拘束性換気障害
リハビリ
→ 過用に注意・低負荷から漸増
ひっかけ
→ ACh放出障害
※waxingはLambert-Eaton症候群
重症筋無力症は、パターンさえ理解してしまえば、国家試験で1点を狙える疾患です。
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上がりますように~!



