う~ん、今回の症例は、
人工股関節だってさ。
ああ、そういえば今は、
実習中だったね。
どう進めて行くのか、
見当も付かないよ。
整形外科分野に実習に行くと、高確率で人工股関節の患者さんを担当しますよね。
といっても、学生にとっては未知の領域!
そこで今日は、術後の人工股関節を担当することになった時、どう進めていくのか、全体の流れを解説してみようと思います。
実施したい検査項目
明日、何やるか考えてきて。
あ、はい分かりました。
このやりとりは定番ですね。
では、明日の検査項目を決めましょう。
【急性期の検査項目】
✅ 視診・触診
浮腫・腫脹・熱感などの確認
✅ 関節可動域
術側の可動域を確認
✅ 筋力検査
非術側の筋力を確認
✅ 疼痛検査
VASやNRSを使った数値化
✅ 感覚検査
表在覚・関節覚・足底圧覚
✅ 四肢長周径
脚長差の有無・術後の腫脹を把握
その他に、バイタル、画像、血液データなど、リスク管理に関わる項目も重要です。
前日にカルテで確認できるものは、その日のうちに情報収集しておきましょう!
問題点はすでに分かってる
人工関節術後の問題点は、
痛み 恐怖心 不安感
このうちのどれか、もしくは全てです。
だから、まずは車椅子に乗るのもやっとの患者さんを、楽にしてあげましょう。
ベッドでの寝返り手順、起き上がり方法、立ち上がる際の注意点、色々とチェックです!
検査は後回しでいいの?
病棟内のADLを上げつつ
機能面の検査だね。
どうせ細かい検査をしたって、原因は先ほどの3つのうちのどれかです。
だったら、できるADLを優先するべし!
当然、人工股関節なので、リハビリ中は、脱臼肢位や荷重制限オーバーに注意ですよ。
関連記事 人工股関節のリハビリ!なぜ屈曲・内転・内旋で脱臼するの?
杖歩行までのステップ
病棟内でのADLが確立できたら、次は杖歩行まで一気にステップUpしていきます。
といっても、いきなり杖を持たせて、「はいっ歩いて」という訳にはいきません。
以下のように、小さな目標を立てて、少しずつステップUpして行きましょう。
【第1段階】
平行棒を使って立てる
【第2段階】
平行棒を使って歩ける
【第3段階】
平行棒片手把持で歩ける
【第4段階】
Q-caneを使って歩ける
【第5段階】
T-caneを使って歩ける
病棟内の移動は、途中から歩行器を使います。
病棟内での活動範囲を広げつつ、杖歩行の自信を付けさせるのが良いでしょう。
繰り返しになりますが、原因は痛み、恐怖心、不安感です。だから、何でかな…?って考える必要はありません。
安全、安心を与えつつ、杖歩行を目標に、リハビリに励んでもらいましょう!
わかった、検査もやりつつ
ADL拡大を目指すよ!
患者さんのために、
頑張ってね!
おわりに
術後の患者さんに対し、術創部の痛みとか、荷重時痛を問題点に挙げる人がいます。
いや、手術すれば痛いのは当たり前!痛いからこそ、安静にしようって思えるんですよね。
身体を切り裂いて、骨の代わりに人工物を入れたのに、痛くなかったら大問題!
だから、必要以上に痛みにこだわるな!
それでは、人工股関節の症例を
上手に担当できますように。