PT国家試験の過去問解説!第47回午後44って難しくね?

過去問解説
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!

PT国家試験の第47回に、エグい問題が出ています。この問題は、毎年多くの学生から質問を受けます。

内容は、脊髄小脳変性症患者の運動療法に関する問題ですが、パーキンソン病とゴッチャになってしまうようです。

そこで今日は、この過去問を徹底解説してみたいと思います。

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問題を見てみよう

それは、理学療法士国家試験、第47回午後44の脊髄小脳変性症の問題になります。

問題内容は以下の通りです。

【PT-47 午後44】
脊髄小脳変性症患者で、運動範囲が小さく動作が緩慢な状態に対する運動療法として適切なのはどれか。

 1.Frenkel体操

 2.重錘負荷を用いたバランス練習

 3.外的リズム刺激による歩行練習

 4.弾性緊縛帯を装着した協調運動

 5.PNFを用いた同時収縮の促通

厚生省-問題と正答より

プク太
プク太

あれ、パーキンソン病と
似ているね…?

ダイ吉
ダイ吉

でも、脊髄小脳変性症って
書いてあるよね。

この矛盾に対して、大抵の人がチンプンカンプン状態になってしまいます。

そして国試本の解説でも、パーキンソン症状が出ることもある…、と何とも曖昧な文章で、スッキリしないんですよね。

本当にパーキンソン症状は出る?

結論から言うと、脊髄小脳変性症でもパーキンソン症状は出ます。

ただし、多系統萎縮症の1つである、線条体黒質変性症になりますが…。

プク太
プク太

ん、多系統萎縮症?

ダイ吉
ダイ吉

うん、脊髄小脳変性症の中
でも非遺伝性のやつね。

広義の脊髄小脳変性症では、このように様々な病名で分かれています。

受験生の中で、ここにたどり着く学生が、いったい何人いるのやら…。エグい!

プク太
プク太

何それ、ずっる~…。

ちなみに、多系統萎縮症の症状は、大まかに以下のようになります。

【3つの多系統萎縮症】

オリーブ橋小脳萎縮症
  運動失調がメイン

線条体黒質変性症
  パーキンソン症状がメイン

シャイ・ドレガー症候群
  自律神経症状がメイン

他の脊髄小脳変性症の問題だと、遺伝性の脊髄小脳失調症が多いため、問題文を読んでパッと思い浮かばないのも仕方がありません。

この問題の解き方

もし、運よく多系統萎縮症に気付いたとしても、やっかいな選択肢で困ります。

ということで、問題文を分解しながら、じっくりと選択肢を絞ってみますね。

脊髄小脳変性症だけを残す

では、問題文を少し隠してみましょう。

1のFrenkel体操は、視覚代償を用いた反復訓練で、動作の正確性を訓練する内容で失調に向いています。

そして、2・4・5の訓練も、協調性を促通するための定番メニューになります。

ということで、

適切な選択肢が複数になるのでNG。

運動範囲が小さいを残す

では次に、病名は隠しちゃって、症状を1つだけ残してみましょう。

 

この選択肢から、運動範囲を拡大させそうな訓練を絞ってみましょう。

まず、四肢に重錘を付ければ、運動範囲が余計に小さくなるためNGと判断できます。

そして、四肢近位部を弾性包帯でグルグル巻きにしたら、動きは小さくなるので×。

プク太
プク太

PNFは良さそうじゃない?

ダイ吉
ダイ吉

いや、選択肢をよく見て。

PNFは運動範囲も広がるし、術者の声掛けによってはリズミカルな運動が可能になります。

しかし、同時収縮の促通という部分が、運動範囲と無関係なため、これも除外します。

う~ん、Frenkel体操は、大きい動きを課題にすれば、運動範囲に効果がありそうですね。

プク太
プク太

それじゃ、1ってことか。

ダイ吉
ダイ吉

いや、でも3が残るんだよね。

1と3で決勝戦をしても、引き分けになってしまうため、別の条件で戦わせてみましょう。

動作が緩慢を残す

では、動作緩慢で再戦してみましょう。

Frenkel体操は、目で確認しながら(視覚代償)、同じ運動を反復させることで、四肢の協調性を上げる訓練でしたね。

課題によっては、運動範囲を大きくさせるかもしれませんが、緩慢さに有効か?と聞かれると疑問が残ります。

プク太
プク太

3の歩行って気になるな。

ダイ吉
ダイ吉

歩行に関係する、パーキンソン
症状ってなんだっけ?

では、パーキンソン病でよくみられる、歩行の特徴を思い出してみましょう。

<パーキンソン病の歩行>
 ✅ 腕の振りが消失する

 ✅ 歩幅が小さくてすり足になる

 ✅ すくみにより足が出なくなる

 ✅ 歩行速度が極端に遅くなる 

パーキンソン病のすくみ足には、メトロノームや手拍子などの聴覚刺激で、歩行中の歩幅拡大や歩調が整いやすくなります。

ということで、ベストな運動療法は

3の、「外的リズム刺激による歩行練習」が正解になります。

もし、運動範囲が小さい & 動作緩慢を、歩行時のすくみ足や、小さい歩幅と捉えなければ、絶対に解けませんよね…。

プク太
プク太

う~ん…。分かったけど
難し過ぎじゃね?

ダイ吉
ダイ吉

うん、難し過ぎだね…。

最後の1と3の決勝戦は、スッキリしない決着となりました。個人的には、不適切問題ギリギリじゃね?って感じです。

でも、厚生労働省の解答では3となっているため、納得するしかありませんね(チッ)。

おわりに

これだけ分析しても、たった1点です。この問題なら、3点くれても良さそうですよね…。

まぁ、このように問題文を隠したり、条件を変えて決勝戦をする解き方は、他の問題でも役に立つはずです。

だから、過去問はパパっと解かずに、じっくりとしっかりと吟味して解きましょう。

ダイ吉
ダイ吉

それでは、PT国家試験に
合格できますように!

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