こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
国家試験合格の鍵は、実地問題です。
だって、配点が共通問題の三倍なんですから、是非とも取りたいところですよね。
でも実地問題苦手なんだ…。
ちゃんと対策しないと、
本番で落ちちゃうよ。
学内模試や業者模試で、どうしても実地問題が取れない人は、勉強方法に問題があるのかもしれません。
そこで今日は、実地問題に強くなる勉強方法について、過去問を使って解説していきます。
実地問題の特徴
実地という言葉の意味はこうです。
【実地】じっち
1) 物事が行われたり、行う予定になっていたりする場所。現場。「実地調査」2) 理論や説明だけでなく、実際にそのことを行うこと。また、そういう場面。「考えを実地に移す」「実地訓練」
よって国試の実地問題では、画像や絵を使用したり、問題文が長いなど、受験生に考えさせる内容が特徴となっています。
現在、出題の内訳はこうです。
AM/PM共通 | 出題の順番 | 配点 |
実地問題 | 問1~20 | 1問3点 |
専門問題 | 問21~49 | 1問1点 |
共通問題 | 問50~100 | 1問1点 |
また実地問題は、43点以上を取らなければ、残りが全て正解でも不合格になります。
う~ん、その時点で終了か…。
だから、実地問題は合否に
直接関係するんだね。
実地問題は過去問が少ない
実地問題は、毎年40問しかありません。
そのため、10年分の過去問を用意しても、たったの400問しかないんです。
400でも結構あるけど…。
いや、やってみたら分るけど
すぐ解答を覚えちゃうよ。
よって実地問題の対策というのは、数少ない過去問題を、じっくりと吟味しながら進めていく必要があります。
実地問題の勉強方法
紹介したい勉強方法は、以下の4つです。
3点の内訳を分析
まず1つ目は、実地問題を解いた後に、答え合わせをしながら、なぜ3点も貰えるのか?これを分析していく方法です。
では、この過去問題を見て下さい。
[第53回、午前-20]
この患児の股関節のエックス線単純写真を別に示す。行うべき対応として適切なのはどれか。
1.経過観察
2.ギプス固定
3.観血的整復術
4.オーバーヘッド牽引
5.リューメンビーゲル装具
解答:5
この問題に、本当に3点分の価値があるのか?これを分析してみましょう。
画像には生殖腺保護の鉛板があるな。それと骨頭が映っていないぞ!骨端核も見えないから、生後数ヵ月の子供の画像だな。
骨折や壊死などの変性所見はないな。選択肢を見てみると、どうやら先天性股関節脱臼の問題だな。
[ 3点目 ]
生後数ヵ月の子供に、いきなりギプス・手術・牽引はしないだろう。
じゃあ、経過観察か装具を選択するはずだよな…。ちょっと調べてみるか!
教科書に、経過観察は新生児だけと書いてある。だから5の装具が正解なんだ。
分析に時間が掛かりましたが、なぜ3点も貰えるのかを、解明することができました。
なるほど、ここまでやれば
かなり記憶に残るね…。
QBとかの国試本を見ちゃうと、
そうなんだ!で終わりだもんね。
3倍の点数は伊達じゃないね!
問題作成者の意図を分析
続いては、様々な条件・環境の中から、最も適した解答を選ばせる問題です。
では、この過去問題を見て下さい。
[第53回、AM-16]
脳卒中後の左片麻痺患者の生活環境を整えることとした。ベッドとポータブルトイレの位置で適切なのはどれか。
解答:1
選択肢には、左右対称に置いてあるパターンと、便座の向きが90°違うものがあります。
まず、片麻痺ということで、ベッドと便座の間が離れている②と③は除外します。
じゃあ、①④⑤はどう絞るの?
実はこの問題は、移乗よりも
起居動作が重要なんだ。
①と④と⑤で迷っている人は、左片麻痺患者が、ベッドに寝ている姿を想像して下さい。
そこから、ポータブルトイレを使う時は、どちら側に起き上がる必要がありますか?
あ、左には起き上がれない…。
うん、そういうこと!
ベッドとポータブルトイレの絵を見ただけで、移乗動作を思い浮かべてしまうと、この問題は迷宮入りしちゃいます。
このように、問題作成者が仕掛けたワナを、見破るまでじっくりと解いて下さい。
問題を作り変えてみる
次は、パッと解けてしまう問題を、自分ならこう作る!という勉強方法です。
では、この過去問題を見て下さい。
[第53回、午後、問1]
36歳の男性。交通事故による外傷性脳損傷のため3日前に入院した。病室訪問時、呼びかけても閉眼しており、大きな声で呼びかけたが開眼せず、体を揺さぶって初めて開眼したがすぐ閉眼に閉眼してしまう。
JCS(Japan coma scale)で評価した意識レベルはどれか。
1.Ⅱ-10
2.Ⅱ-20
3.Ⅱ-30
4.Ⅲ-100
5.Ⅲ-200
解答:2
文章は長めですが、36歳、男性、交通事故、外傷性脳損傷などの情報に意味はなく、とにかく今の状態を答えろ!という問題です。
JCSのスケールが完璧に頭に入っている人は、答えは2!とすぐに出ますよね。
う~ん、つまらない問題だ。
ということで、自分が問題作成者になったつもりで、作り変えてみましょう。
もし答えをⅢ-100にするなら?
こんな情報を足したらどうなる?
おもしろい引っ掛け問題や、少し悩ませる問題に生まれ変わったら、友達に試してみよう!
よ~し、作り変えてみるか!
OTの実地問題を解く
業者模試の実地問題も役に立ちますが、所詮一般企業が作った問題です。
ということで、あと400問ありますよね。
そう、作業療法士国家試験の過去問です!
ええ、OTの過去問をやるの?
そう。逆にOTの学生なら
PTの過去問をやるんだよ!
上肢に関する問題や、見慣れない精神疾患が多いですが、紛れもなく厚生労働省が作った実地問題です。
もし、PTの過去問をやり尽くしてしまい、手持ち無沙汰になってしまったら、OTの過去問にチャレンジしてみましょう。
意外と気晴らしになりますよ!
おわりに
ということで、以上が実地問題に強くなる、国家試験の勉強方法でした。
国試本やアプリを使って、パパっと解いてしまう人は、もしかしたら実地問題を解く力が育っていないかもしれません。
問題が少ないなら、1問ずつしっかりと吟味して、骨までしゃぶる位にやり込みましょう。
あと1問で…不合格なら死んでも死ねない!
それでは、国試の実地問題が
しっかり対策できますように!