
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日は、生理学の重要項目である「自己抑制」について解説します。
教科書によって呼び方がバラバラで、混乱している人も多いのではないでしょうか?
- 自己抑制(じこよくせい)
- Ib抑制 (わんびーよくせい)
- 自原抑制(じげんよくせい)

え、これ全部同じ意味なの?

そうだよ。だから混乱する
前に整理しておこう!
今回は、特に筋紡錘との違いにスポットを当てて、腱紡錘(ゴルジ腱器官)の働きを分かりやすく解説してみるよ。
筋紡錘と腱紡錘の違い
筋は素早く伸ばされると急に縮む!これは筋紡錘の仕事です。
腱はじっくり伸ばされるとなぜか筋を緩める!これは腱紡錘の仕事です。
では、表を使って整理してみましょう。
| 項 目 | 筋紡錘 (きんぼうすい) |
腱紡錘 (けんぼうすい) |
| 場 所 | 筋 腹 | 腱 |
| 感覚神経 | Ⅰa | Ⅰb |
| 刺 激 | 素早い伸張 | 持続した伸長 |
| 反 応 | 筋肉が縮む | 筋肉が緩む |
| 別 名 | 伸張反射 | 自己抑制 |
表を見てわかる通り、同じ筋肉への刺激でも「速さ」と「場所」によって、正反対の反応が起こります。
筋紡錘は「守り」のセンサー
筋肉が急に引き伸ばされたとき、「ブチッと切れないように縮めて守れ!」と指令を出してくれるのが筋紡錘(Ia)です。
これは、皆さんもよく知る伸張反射ですね。
腱紡錘は「逃がし」のセンサー
一方で、腱紡錘(ゴルジ腱器官)は筋肉の端っこである「腱」の張力を監視しています。

じっくりと持続的に伸ばされたり、強く収縮したりして腱に負担がかかりすぎると、「これ以上は危ない!」とブレーキをかけ、強制的に筋出力(筋発揮)を低下させます。
この、自分自身の筋肉を緩めるブレーキの仕組みこそが、自己抑制(Ib抑制)の正体です。
✅ 筋紡錘 = 筋を縮めてケガを予防
✅ 腱紡錘 = 筋を緩めてケガを予防
腱紡錘(ゴルジ腱器官)による自己抑制の仕組み
自己抑制を臨床に生かすためには、まず腱紡錘の生理的な機能を理解する必要があります。

う~ん、生理学は苦手…。

大丈夫、めっちゃ簡単に
解説してみるからさ。
では、ゆっくり進んで行きましょう。
筋収縮と関節運動
まず、筋の役割を考えてみましょう。
筋が縮むと、骨が引っ張られることにより、関節運動が起こりますよね。

いわゆる、求心性収縮ってやつです。この時、筋が縮んだことによって腱が付着している骨を引っ張ることで関節運動が起きます。
関節が動かない時の筋
そこで、ちょっとイジワルをします。
両端の骨を、手で止めてしまうことで、関節運動が起こせないようにしちゃいます。

その状態でも、筋は縮もうと頑張ってます。MMTなどの抵抗に対する等尺性収縮を思い出してください。
最も負荷がかかる場所は?
このように、関節運動が起こせない状態で、筋が収縮をし続けると、とてつもなく負担が掛かる場所があるんですよね。

プク太くん、分るかな?

え、ちょっと何言ってるか…。

もう、じゃあこれを見て。

骨が動かない状態で、筋が短くなるということは、両端にある「腱」に負担が掛かります。

あ、そういうことか。

みんなは知ってたよね?
腱紡錘(ゴルジ腱器官)の役割
腱が引っ張られている感覚は、中にある受容器の、腱紡錘(ゴルジ腱器官)が察知します。
このままじゃヤバイ!切れるかも?って思った腱紡錘は、「筋が縮むのが悪い」と、筋肉が原因であることに気が付きます。

自分が腱紡錘だとしたら、何とかして筋肉の邪魔をしてやる!と思うはずです。
では、どうやって邪魔をしましょうか?
運動神経の抑制
筋肉を収縮する指令は、α運動ニューロンが伝えています。ということで、こいつの働きを邪魔してやりましょう。
では、腱が切れそうだという情報を、伝える役割が必要ですよね。そいつは、Ⅰb感覚ニューロンがやってくれるとのことです。

「いちびー」って読むの?

「ワンビー」じゃない?
お好きな方でどうぞ…。
腱紡錘からの情報は、Ⅰb感覚ニューロンが脊髄後角に伝えます。ただし、感覚神経は運動神経を相手に、強く物が言えません。

そこで出現するのが、介在ニューロンです。
介在ニューロンは、感覚神経からのお願いを、上手に運動神経に伝えてくれるのです。
Ib感覚ニューロン
「もう腱が切れちゃいそうなのさ」
介在ニューロン
「腱が切れそうだから緩めてあげて」
α運動ニューロン
「分った力を入れるのを止めるわ」
どうやら無事、α運動ニューロンが、筋に送っていた指令を取り下げてくれました。
その結果、筋が緩むメカニズムを、自己抑制またはⅠb抑制と呼ぶんですね。

ふむ、好きな方で呼んで下さい。

ふ~ん、これは腱紡錘が
筋を緩めたってことね。

そういうこと!
関連記事 神経って何なの?中枢神経と末梢神経の違いは知ってるよね
筋肉を緩ませてみよう(ホールドリラックス)
では、筋肉が緩むメカニズムが分ったところで、実際の使い方を見てみましょう。
Youtubeで、PNFストレッチやホールドリラックスで検索すれば、すぐに見つかりますよ。
手や身体で邪魔をして、筋を持続的に収縮させる。するとⅠb抑制(自己抑制)によって筋にストレッチがかかる!
そんなに難しくないため、友達や家族で試してみて下さい。※最初は軽めから
きっと、すぐに習得できると思いますので、筋を緩ませたい!って思った時は、自分の引き出しの1つとして使ってみましょう。

よし、練習してみるか!
ダイ吉、身体を貸してよ。

あ~、はいはい。
おわりに
今回は、自己抑制(Ib抑制)の仕組みと、筋紡錘との違いについて解説しました。
最後にポイントを振り返ってみましょう。
-
筋紡錘(Ia):急な伸張に反応して「縮め!」と命じる(守りのセンサー)
-
腱紡錘(Ib):強い張力に反応して「緩め!」と命じる(逃がしのセンサー)
生理学の用語は「自己抑制」「1b抑制」「自原抑制」など呼び方が多くて大変ですが、すべては「自分の筋肉のせいで(自原)、自分の筋肉が緩む(自己抑制)」というシンプルな理屈でつながっています。
このメカニズムを正しく理解しておくと、実習でのストレッチ指導やホールドリラックスの効果が、今まで以上に自信を持って説明できるようになりますよ。
「どっちがどっちだっけ?」と迷ったら、いつでもこの表に戻って確認してくださいね!

それでは、自己抑制が
上手に使えますように!



