
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、バランス戦略です。
リハビリの評価関連では、動作分析やバランス評価で壁に当たる人が多いですよね。

僕もバランスの評価は苦手。

じゃあ一緒に勉強しよっか。
ということで、バランス評価ができるようになるために、バランス戦略についてカードゲームを例にして整理していきます。
バランス戦略とは
私が考える正常なバランス能力とは、「その環境で最適なカードを選択し、重心を制御できる能力」です。たとえば、
・電車が揺れた!
・石につまづいた!
こんな時は、どれが最も安全かつ確実に、自分の身を守れるか判断するはずです。

手札(反応の種類)がどれだけあるか。
そして、状況に合わせてどのカードを切るか。この「戦略」こそが評価の本質です。

UNOやトランプの大富豪
カードを切る戦略で
強さが決まるよね。

カード切るのがヘタだから
僕はいつも負けてる…。
3つのバランス反応
では、クラインフォーゲルバッハより、有名な3つのバランス反応を整理します。
カウンターアクティビティ
運動による姿勢変化を、拮抗筋の活動で制御する「省エネカード」です。

・押されたら力を入れて耐える
・引っ張られたら踏ん張る
最小限の筋活動で姿勢を保つ、最も低エネルギーで効率的な戦略ですね。
カウンタームーブメント
外乱に対し、関節を動かして重心を残す「立ち直りカード」です。

・押されたら力を逃がす
・引っ張られたら逆らわない
筋活動ではなく、関節運動で外乱と喧嘩をせずに、粘り強く耐える反応です。
カウンターウェイト
手足を重りとして投げ出し、てこの原理で耐える「最強の切り札」です。

・頸部を屈曲させて頭を前に出す
・上下肢を持ち上げて重りを移動
他の反応では対処できない強い外乱に対し、力技で転倒を防ぎます。

軽い外乱を加えると
最初に出る反応は?

カウンターアクティビティ。

さらに外乱を強くすると
次に出る反応は?

カウンタームーブメント。

その2つじゃ耐えられない
くらい力を加えると
最後に出てくる反応は?

カウンターウェイト。

OKばっちり!
ということで、軽い外乱なのにカウンターウェイトが出る、強い外乱なのにカウンターアクティビティが出ない。
こんな反応があれば、バランス戦略に異常あり!と疑ってよいでしょう。
その他のバランス反応
では、せっかくなので、その他のバランス反応も紹介したいと思います。
予測的姿勢制御
「これから押すよ!」と言われた時の「事前準備カード」。 電車が止まる直前に体を傾けるような、先読みの能力です。

これは、後方へバランスを崩されることを予測して、前もって重心を移動させておくか!という能力なんですね。
ストラテジー反応
股関節や足関節を使い分ける「定番コンボ」。 少しカウンタームーブメントと似ていますね。

状況に応じて足関節戦略か股関節戦略かを選択します。これについては、別の記事で詳しくまとめているので、確認してみて下さい。
関連記事 背屈反応とは?バランス反応なのに支持基底面が小さくなる理由
ステップ反応
重心が限界を超えた時の「リセットカード」。 新しい支持基底面を作り、転倒を防ぐ最終手段です。

保護伸展反応とも呼びますね。
評価としては、足を出すタイミング、歩幅の大きさ、踏ん張りの力強さなど、総合的に把握していく必要があります。
リスク回避への判断力
バランスの検査といっても、リカバリー能力だけがターゲットではありません。
自分がバランスを崩さないための、注意力や判断力も評価の対象です。

転びそうな場所に近づかない、物を手に持ったまま歩かない、どいてどいて!と声を出す、どれも素晴らしいバランス能力です。
要するに、自分が苦手とする環境を作らない能力、これがバランスには必要なんです。

へぇ~、こんなことも
バランス能力に入るんだね。

転倒しないための反応は
全部、バランス戦略だね。
関連記事 外乱テストでバランスを評価!4種類の刺激で反応を見極めろ
「バランス戦略」の評価法
臨床で私たちが評価すべきなのは、「反応が出るか・出ないか」という2パターンだけではありません。
重要なのは、患者さんがその場面で「どのカード(反応)を切ったか」、そしてそれは「その場に最適だったか」を分析することです。
・戦略の成功率(倒れなかったか?)
・エネルギー効率(最小限の動きだったか?)
・選択の速さ(瞬時に判断できたか?)
ただ数値を測るだけの評価を卒業し、「なぜその戦略を選んだのか?」という視点を持つことで、臨床での分析は劇的に深まります。
おわりに
さて、もうそろそろ、
TUGでカットオフ値が…
FRTでカットオフ値が…
こんなバランス評価からは卒業しましょう。
「その場面で、そのカードを切ったのは適切か?」 この視点を持つだけで、あなたの臨床は劇的に変わりますよ。

それでは、バランス評価が
上手にできますように。


