
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
「実習指導の進め方がわからない」
「ハラスメントにならないのか心配」
「学生にどこまで関わっていいのか迷う」
臨床実習の現場で、こうした声を耳にすることが増えています。
臨床実習教育の手引きが整備され、CCS(診療参加型臨床実習)という考え方も広く知られるようになりました。
一方、見学中心の実習になったり、「パソコンで作業していていいよ」と放置されてしまったりと、指導の進め方にばらつきが生じているケースも少なくありません。

学生からは「何を学べばいいのかわからなかった」といった声が聞かれ、指導者側も「教えていないから成績がつけられない」という矛盾を抱えています。
そこで学校教員の立場から、CCSを現場でどう進めるかについて、私自身が臨床実習指導で大切にしてきた考え方を共有したいと思います。
見学や「放置」が生まれてしまう背景
見学中心の実習や学生を持て余してしまう状況は、指導者の怠慢ではありません。
・学生に強く言っていいのかわからない
・事故やトラブルが怖い
・どこまで任せていいのか判断できない
こうした不安の結果として「とりあえず見学」「何かあったら困るから関わらせない」という選択が積み重なっているのだと思います。

しかしその結果、学生は「参加できない実習」を経験し、指導者も「教えた実感のない実習」を終えることになります。
私が実習指導で大切にしてきた「順序」
CCSを特別な方法として考える必要はありません。私が行ってきたのは、以下のようなごく基本的な順序です。
まず指導者がすべて見せる
まず、指導者のリハビリを見学させます。その際、単に眺めさせるのではなく、
・なぜこの方法を選んだのか
・何を目的にしているのか
・どんな変化を期待しているのか
といった思考を言葉にして伝えます。

さっきより動くようになったでしょ?
歩幅が大きくなったの分かったよね?
このように、リハビリ後に介入前との違いを一緒に確認することで、何が成功なのかを学生に示すことができます。
指導者の身体で練習させる
次に、患者さんの前に立つ前段階として、指導者自身の身体を使って練習します。

手の当て方、体重移動、介助の加減などを、その場で指導しながら「これなら大丈夫」という基準を明確にします。
学生同士・他スタッフで反復する
一定の理解と再現性が確認できたら、学生同士や他スタッフの身体で反復します。
体型や四肢の長さ、性別などの条件が変わることで、技術の幅を学びます。
共同参加で患者さんに関わる
練習でイメージができたら、共同参加で患者さんに関わっていきます。
その際、必ず指導者がそばにつきます。

必要なときに修正し、患者さんの反応を確認します。この治療を学生に継続させるかの判断は常に指導者が行います。
共同参加の距離感について
ROM-exなどリスクが低く、学生の到達度を確認したうえで任せられる場面では、近くで記録を書いたり、他の対応をしたりしても良いと思います。
ただし重要なのは、
任せる判断をするのは指導者であること
何かあれば責任は指導者が引き取ること
CCSにおいて問われるのは、「ずっと見ているかどうか」ではなく、判断と責任の所在が明確かどうかだと考えています。
目指したのは、三者が無理をしない関係
この進め方を続ける中で、
・学生は実習に主体的に関われる
・患者さんは丁寧な関わりを受けられる
・指導者は無理なく実習を回せる
という状態が生まれました。
実習指導は、指導者の自己犠牲で成り立つものではありません。
学生にも一定の役割を担えるよう成長してもらい、指導者は全体の判断や次の展開に集中できるようになるのが理想だと思います。
学校教員として伝えたいこと
学校に戻ってきた学生を見ていると、指導者に色々と任され期待されていた学生ほど、表情や発言が明らかに変わっています。
それは実習が「楽だった」からではなく、目指す方向と役割が明確だったからだと感じています。
CCSをどう進めるかに正解はありません。
ただ、もし今、
・見学が多くなっている
・学生との距離感に迷っている
・指導している実感が持てない
と感じているなら、「任せる順序」と「責任を引き取る前提」を一度整理してみることが、実習を動かすきっかけになるかもしれません。
この文章が、そのための一つの参考になれば幸いです。

