
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、筋力・筋出力・筋発揮です。
この3つの違い、パっと答えられますか?

うん、正直よく分からん。

まぁ、適当に使っちゃうよね。
ということで、なんとなく使っていた用語をきっちりと理解したい人に向けて、筋力・筋出力・筋発揮の違いを整理します。
筋力とは
筋力とは、筋肉そのものが持っている力の大きさのことです。ざっくり言えば、筋の太さ・量で決まる能力ですね。

ポイントは「出る力」ではなく「出せる力」。
筋肉が太ければ、理論上は大きな力を出せるポテンシャルがあります。ただし、筋力がある=実際に力が出ているとは限りません。

条件がそろった時にだけ
出せる最大値のことだよ。
筋出力とは
筋出力は、筋力を“どれくらい使おうとしているか”を決めるボリュームのことです。

当然、スピーカーの大きさによって、音の大きさは違いますが、どちらも「それぞれの中で」出力最大になっているのがポイントですね。

もし筋出力が同じなら
大きい筋肉の方が、
強い力が出るってことね。

うん、そういうこと。
スピーカーの出す音の大きさは、ボリュームで調整します。筋の出力は、脳からの指令が神経を通り筋肉に力の大きさを伝えます。
筋発揮とは
筋発揮は、その時に“どのくらいの力が出たのか”を示すメーターのことです。

排気量3000ccの車、アクセルを2センチくらい踏み込んだら、時速100kmのスピードが出た。
本当はもっとスピード出せるが、今回の条件で発揮されたのは、時速100kmだったということ。
つまり筋発揮とは、その条件下で実際に外に出た力の結果です。
筋力・筋出力・筋発揮の基礎を整理
整理しやすいよう公式にすると、
(使い方を含む)
(理論上の最大筋発揮)
こうなります。
まとめると、筋出力を最大まで使えた場合に発揮できる、理論上の上限値が筋力です。

じゃ、MMTなんかはどうなの?

MMTは、筋力というより
「その時の筋発揮」を
見ている検査だね。
厳密に使い分けると疲れるので、ざっくりと筋力で使っても良いと思いますよ。
筋発揮が低下する原因

ここまでで、以下のように整理できました。
筋力 = 力の上限
筋出力 = 使う量の調整
筋発揮 = 実際に出た力
では次に、なぜ筋発揮は低下してしまうのか?を考えてみましょう。
疼痛・炎症による出力低下
痛みや炎症があると、筋出力は自動的に抑えられます。これは筋力低下ではなく、身体を守るための防御反応です。

そのため、痛みが軽減した後に力が回復することも珍しくありません。この場合、問題は筋力ではなく、疼痛・炎症による出力低下です。
神経・恐怖による出力抑制
動きに対する恐怖や不安がある場合、脳が筋出力にブレーキをかけ、筋発揮が意図的に下げられることがあります。
転びそう、また痛めそう、そんな感覚があるだけで、力は一気に出なくなります。

リハビリ場面において、平行棒だと立てるんだけど、何もないと全く立ち上がれない。
この場合も、筋力が落ちているというよりは、神経レベルで出力が抑制されているという考え方がしっくりきますね。

そっか、筋力低下で片付けず
筋出力で考えるんだね。

恐怖で出力が上げられない、
それで筋トレをやっても
動作には結びつかないよね。
廃用・筋量低下
使われない筋肉は、実際に細くなっていきます。これは出力の問題ではなく、筋量そのものが減っている状態です。

筋量が減れば、どれだけ出力を上げても、発揮できる力の上限自体が下がります。
この場合は、 本当の意味での筋力低下。リハビリでは、筋量を回復させるための介入が必要になります。
栄養・疲労など内部環境
筋肉は、エネルギーがなければ力を出せません。栄養不足や強い疲労があると、筋量が保たれていても、筋出力は下がります。

ガソリンが足りない状態で、アクセルを踏んでも加速しないのと同じです。
この場合も、筋力低下ではなく、内部環境の問題による出力低下という整理になります。
関節角度・条件不良
筋肉には、力を出しやすい角度があります。

関節の位置が悪いと、筋量も出力も十分でも、筋発揮は低下します。
姿勢が崩れていたり、支えが不安定だったりするだけで、力は思ったほど出ません。
この場合も、筋力の問題ではなく、条件設定による筋発揮低下という整理になります。

なるほど、筋力低下は
筋発揮低下の原因を
探してみると良いんだね!

筋トレもいいけど、
その人が筋発揮しやすい
条件を見つけてね。
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おわりに
力が出ないからといって、すぐに筋力低下と決めつけるのは危険です。
筋力・筋出力・筋発揮を分けて考えるだけで、「何が問題なのか」は一気に整理しやすくなります。
まずは、上限なのか、使い方なのか、条件なのか。この視点を持つだけで、評価もトレーニングも、無駄が減っていきます。

今さら聞けない基礎こそ、
整理しておきましょう!


