
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
神経伝導検査の波形を見ただけで、「あ、これは脱髄だ!」と判断できるようになりたいと思いませんか?
今回は、PT国家試験で頻出する「脱髄」を見分けるための2つのポイントを、分かりやすく解説したいと思います

え、何よ波形から、
脱髄とか分かるの?

うん、結構シンプルだよ。
用語の丸暗記ではなく、「神経のどこで何が起きているか」さえイメージできれば、電気生理への苦手意識はなくなりますよ。
脱髄を見分ける2つのポイント
脱髄とは、神経線維を覆う髄鞘が傷つき、伝導が遅くなる状態を指します。

つまり、電気は流れているけど、跳躍伝導ができないからスピードが遅いよ!という状態ということです。
では、この状態が神経伝導検査の波形にどう現れるのか、整理していきましょう。
①潜時が延長する
脱髄では信号のスピードが遅くなるため、刺激を与えてから筋肉が反応するまでの時間、つまり「潜時」が明らかに長くなります。

波形の「始まり」がグッと右側にズレていたら、神経伝導速度が遅れている(=脱髄の疑い)と判断しましょう。
②振幅は微減もしくは変わらない
もう1つの重要なポイントは、波形の大きさであるCMAPの振幅(電気の強さ)は、それほど下がらないということです。

脱髄では、ただ通り道(髄鞘)が悪くなってるだけ。だから、振幅は正常〜やや低下程度でとどまることが多いです。

振幅って何なの?

筋肉の中で発生した、
電気の強さだよ。
単位はmVなので電圧のことです。
つまり、脱髄による波形の特徴は「届くのは遅いけど、電気はちゃんと届く」。これが波形から読み取れるかどうかが勝負です。
第54回 午前7の問題
それでは、過去問で確認してみましょう。
正中神経を手首と肘部で電気刺激した運動神経伝導検査の波形を示す。この運動神経伝導検査から考えられる病態はどれか。ただし、手首と肘部の刺激部位間の距離は175mmである。(正常範囲:振幅3.5mV以上、運動神経伝導速度48m/s以上)
- 運動ニューロン変性
- 軸索変性
- 神経筋接合部異常
- 正常
- 脱髄

うへぇ、何この問題。
むっず…。

そりゃ3点問題だし
簡単には行かないよ…。
ステップ①:伝導速度を計算しよう
問題文に書いてある通り、肘と手首の刺激部位の距離は175mmですね。
潜時の差は_

【10.9ms – 5.9ms = 5.0ms】ですね。
よって_
距 離 ÷ 時間差 = 伝導速度
175mm ÷ 5ms = 35m/s
波形より運動神経伝導速度が、35m/sだということが読み取れました。
しかし、正常範囲は48m/s以上ですので、大きく下回っています!
👉 これは脱髄を強く示唆する所見です。
ステップ②:振幅のチェック
波形より確認できること!
✅ 手首刺激のCMAP振幅:11.5mV
✅ 肘部刺激のCMAP振幅:9.2mV
正常範囲(3.5mV)を余裕で超えていますね。ということは、振幅はしっかり出ており、速度以外に大きな問題はなしと判断できます。

伝導速度は遅いけど、
電気が届くから…、

うん、スピードだけ遅い
典型的な脱髄の波形だね!
✅ 正解は…⑤ 脱髄!
ということでこの問題は、伝導速度が低下しているんだけど、振幅は保たれているという、脱髄性病変の典型的な波形を見抜けるかがポイントでした。
似てるけど違う!運動ニューロン変性と軸索変性
今回の問題で「振幅が保たれていた=軸索は生きている」と判断してきました。

では、軸索が障害されていたらどうなるの?
ついでに、運動ニューロンそのものが障害される場合(ALSなど)も、一緒に整理しておきましょう!
軸索変性の場合
軸索障害では、信号を送る本数が減るため、振幅がガクッと下がるのが特徴です。

ただし、障害されていない神経では跳躍伝導が可能なため、潜時は正常〜軽度低下にとどまることが多いです。
運動ニューロン変性の場合
ALSなどでは、神経の根本(細胞体)が減ってしまうため、伝導できる軸索の本数自体が最初から少ない状態です。

そのため、波形上は軸索変性と似ていて、 振幅は小さいが速度はほぼ正常となります。

あれ、軸索変性との
違いは何なの?

神経伝導検査だけじゃ
区別は難しいみたい…。
ただし、運動ニューロン疾患では、感覚神経は正常に保たれるため、他の検査結果など合わせた上で鑑別します。
関連記事 【触覚/痛覚】感覚検査!10回法と10点法を使い分けよう
まとめ
神経伝導検査で脱髄を見分けるときは、以下の2つがポイントです。
✅ 脱髄の見分け方(ポイント)
- 潜時が延長する(電気信号の伝達速度が遅くなる)
- 振幅は大きく下がらない(軸索は生きているからちゃんと届く)
今回の過去問では、伝導速度は35m/sと明らかに低下、振幅は9.2mVと保たれている。
つまり、遅いけど量は届いている=脱髄性病変でした。
✅ 電気ケーブルでイメージ
・脱髄:絶縁体が傷んでスピードが低下
・軸索変性:何本か断線したから電気が減る
・運動ニューロン変性:元々、本数が少ない
以上、今回は神経伝導検査から脱髄を見分ける2つのポイントを解説しました。少しでも「なるほど」と思ったら、他の記事もぜひチェックしてね。

それでは、国試の点数が
上がりますように!


