こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
本日のテーマは、肩手症候群です。
実は先日、肩手症候群についての国試本の解説が変だと、学生から相談がありました。
解説が意味不明なんだけど。
これは、ちょっと変だね。
ということで今日は、第51回に出てきた過去問を使い、肩手症候群の問題の解き方を紹介してみたいと思います。
第51回午後25の問題
それでは、対象の問題を確認しましょう。
【第51回 午後25】
SteinbrockerによるステージⅠの肩手症候群に対する理学療法として適切でないのはどれか。1. 交代浴の実施
2. ホットパックの実施
3. 他動的伸張運動の実施
4. 自己による介助運動の指導
5. 臥床時の上肢ポジショニングの指導正答:3
答えは3の他動運動の実施なんですが、かなり難易度が高い問題ですよね…。
国試本の解説
国試本の種類は伏せますが、関節リウマチで使用する、スタインブロッカー分類で解く!と書かれていました。
外部リンク スタインブロッカーの分類
いや、これ関係ないから…。
この問題の意味は、
ステインブロッカーさんが報告した、肩手症候群ってあるよね?そのステージ1の人に、やっちゃいけないのってどれ?
このように、関節リウマチは無関係。
Steinbrocker違いですので、国試本の解説で混乱しないよう注意です。
なんだ、そうだったんだ。
う~ん、紛らわしいね。
この問題の解き方
では、この問題を解くポイントについて、解説していきます。
臨床経過のステージ
まずは、問題文の冒頭にあるステージⅠについて、知っておく必要があります。
肩手症候群の臨床経過は、以下のように大まかに分けられています。
ステージ | 病態 |
Ⅰ期 | 疼痛・腫脹・発赤・灼熱感 |
Ⅱ期 | 皮膚や筋の萎縮、手掌腱膜の肥厚など |
Ⅲ期 | 拘縮が出来上がり回復困難 |
イメージ的には、急性期の時はパンパンに腫れ上がって、少しでも動かすと、メチャクチャ痛いって感じですね。
それ以降は、痛みが和らぎつつも、萎縮や拘縮などが起こってくるようです。
炎症による疼痛ではない
では、痛みに対する物理療法を精査していきますが、選択肢の1と2はどうでしょう?
1の交代浴は温めてから冷やしますが、2のホットパックでは温めるだけです。
どっちも温めるんだね。
そういうことになるね。
もし炎症症状であれば、どちらも禁忌となるので、1か2のどちらか一方だけが、間違いということはなさそうですね。
しかし、肩手症候群は灼熱性の疼痛があるものの、炎症が起きているわけではありません。
よって疼痛緩和目的での、温熱療法の実施は大歓迎となるので、1も2も正しくなります。
ポジショニングは大歓迎
続いて選択肢5を解決しておきましょう。
臥位時に上肢のポジショニングを指導するとありますが、ぶっちゃけ、この対応が禁忌な疾患や障害って見当たらないんですよね。
ポジショニングがダメって状況はありえないので、5は正しい対応だということが分ります。
自動と他動のどちらが適切か
となると、残りは3か4になります。
2つを比べると、関節運動を実施する際に、自分で動かすか、他人が動かすかの違いですね。
では、どちらが正しいのでしょうか?
肩手症候群は、痛みで不動になりやすいので、少しでも関節運動を実施したいところです。
しかし、強烈な灼熱疼痛がある中で、果たして他人が動かせるものなのでしょうか。
もし自分だったら、痛みの様子を見ながら、反対の手を使って自分で動かしたいです。
他人にやられるのは怖い…。
喧嘩になっちゃうかもね。
よって、3の他動伸張運動がワースト1となるため、こちらの選択肢が答えになります。
実習などで、肩手症候群の患者さんを見学した経験があれば、なんとなくこの答えに辿り着きそうな問題ですね。
おわりに
炎症ではない灼熱性の疼痛がある!という部分を把握していれば、何とか解ける問題です。
他にも○○の分類や、△△のスケールといったものがたくさんあります。
全部は覚えられないので、最低限のキーワードだけを頭に入れ、過去問題を解きながら慣れていくのが効率が良いかと思います。
それでは、国試の問題が
解けますように。