こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
本日のテーマは、ワイドベース歩行です!
歩行の評価では、歩幅や歩行速度に注目しがちですが、実は歩隔(左右の足の幅)も重要な分析ポイントなんですよね。
う~ん、歩隔はあまり
気にしてないや…。
ダメダメっ!
ちゃんと観察しないと。
ということで今日は、歩行中の歩隔に焦点を当てながら、ワイドベース歩行の特徴や、原因について解説をしていきます
ワイドベースとは
ワイドベース(Wide base)は、日本語にすると「幅が広い土台」という意味で、歩行においては歩隔が広い状態を指します。
歩隔を広げるメリットは安定!
皆さんも、揺れる電車の中では、自然と足を広げて立っていますよね。
あ、たしかにそうかも。
突然のブレーキも怖いしね。
このように、バランスが悪いと感じると、人は無意識に歩隔を広げるようになっています。
ワイドベースの特徴
その理由は、支持基底面が広がると、重心のコントロールが簡単になるからです。
歩隔を広くするだけで、姿勢や動作が安定するんだから、誰だってそうしますよね。
じゃあワイドベースの方が
歩きやすいってこと?
いや、歩行に関してだけは、
デメリットもあるんだ。
ワイドベースにして歩くと、側方の動揺に対して強くなる変わりに、余計な筋活動が増えるため、めっちゃ疲れます!
試しに少し歩くだけで、すごく非効率な歩行ってことが理解できると思います。
歩隔が広がる原因
ワイドベースになりがちな人は、重心のコントロールが難しい、運動失調がある人です。
ちょっと短いですが、動画で確認しましょう。
たしかに、ワイドベースに
なっているね。
リズムもバラバラだし、
ぎこちないでしょ?
運動失調がある方は、側方へ重心が外れるないよう、ワイドベースにすることで、ふらつきを予防しているんですね。
さて、どう介入するか…。
ワイドベース歩行への介入
ワイドベース歩行に対する介入で、特に重要なことは以下の3点です。
✅ 何とか耐えさせる!
✅ 上手くごまかす!
✅ 何かで代償する!
脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、多発性硬化症など、数多くの症例を担当してきた経験から、この3つに絞り込んでみました。
では、1つずつ解説していきます。
筋力をつける
先程の動画の通り、ワイドベース歩行は、全体的に弱々しくてぎこちない印象でした。
では、踏ん張れる足を作ってあげましょう。
ワイドな土台だけじゃなく、さらに頑丈な土台を作ってあげれば、その自信が歩容を改善させることにつながります。
自信がないから歩隔が広がる?
だったら、自信を付けさせりゃ
いいじゃん!ってことね。
歩行速度を上げる
皆さんも、一度はやったことがある平均台。
あれって、ゆっくり歩けば歩くほど、バランス取るのが難しくなかったですか?
なんか、一気に進んだ方が
バランスが取りやすいかも。
そうなんだよね。
でも、なんでだと思う?
え、気持ち的なもの…?
実は、平均台じゃなくても、ゆっくり歩こうとすると、自然と左右への重心移動が大きくなっていくんですよね。
理由は、片側の脚を浮かせている時間が長くなるので、しっかりと左右に荷重を移動させながらじゃないと歩けないからです。
ということで、運動失調がある人は速く歩かせた方が歩容が良くなるってことです。
だから、その人の能力でカバーできる、最適な速度を、PTが見極めてあげましょう。
杖や歩行器を使う
最終的に、ワイドベースにしても、歩行がままならない場合には、杖や歩行器といった、歩行補助具に頼るしかありません。
ただし、転倒リスクに応じて、
T字杖 <<< 四点支持杖
片手に杖 <<< 両手に杖
といったように、安全を第一に考えます。
また、運動失調がある場合は、歩行器はどっしりと重厚感のあるもので、かつ前腕で支持できるものを選びましょう。
重さが足りなければ、左右前後に重錘を装着させて、安定性を補助すればOKです。
最適なものを選定してね。
おわりに
実際、この歩容に関わるセラピストって、そんなに多くないかもしれませんね。
でも、歩行観察の勉強には向いていると思うので、教材の動画を観たり、自分でマネして歩いてみたり、色々と試してみて下さい。
この先、どんな歩行もビシっと分析できるように、こつこつと力を養って行きましょう。
では、ワイドベース歩行が
評価できますように!
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