こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です。
実習中の学生にとって、バランス検査って未知の領域ですよね。
何をしたら良いのか分からない
転倒が怖くて上手に誘導できない
きっと、手応えは無かったと思います。
たしかに実習に行った時も
バランス検査で手こずった…。
まぁ、誰もが通る道だよ。
そこで今日は、比較的簡単な「外乱テスト」を使って、色々なバランス反応を紹介していきたいと思います。
バランスの評価が苦手な、新人セラピストや実習生に向け、外乱刺激の種類や、反応の違いについて触れていきますね!
外乱テストとは
まず、外乱を辞書で引いてみましょう。
【外乱】がいらん
通信系などに外から加わる不要な信号。雑音あるいは妨害ともいう。
これをバランス検査に当てはめると、被験者を押したり引いたりすることで、重心を支持基底面から外させてみる検査になります。
要するに、突き飛ばしたらどうなるの?
外乱テストは、シンプルな検査です。
大抵の人は、色々なバランス反応を使って転ばないようにしますね。この検査では、その反応を観ていきます。
押された時の反応って、
そんなに種類があったけ?
実は、外乱刺激を変えると
色々と違う反応が出るんだ。
4種類の外乱刺激
それでは、外乱刺激の違いが与える、バランス反応の違いを紹介します。
外乱の場所
もし、立っている人の骨盤を、後ろに引っ張れば、きっと身体を前に折り曲げます。
しかし、肩甲帯を引っ張ると、力を逃がすために、身体は伸展するんですよね。
へぇ、真逆の動きなんだね。
後ろから押した場合も、
真逆の動きになるんだよ。
ちょっと、試してみてね!
外乱の方向
次は外乱刺激の方向です。
前後の外乱では、屈曲/伸展、前屈/後屈、背屈/底屈といった、矢状面上の関節運動でバランスを取ります。
反対に側方への外乱では、側屈や外転などの、前額面上の動きが主となります。
よって、ターゲットとする反応により、外乱刺激の方向は変化させる必要がありますね。
外乱の強さ
次は、外乱刺激の強さです。
軽く誘導された人間は、無意識に外乱に打ち勝とうと力を込めます。
しかし、強く引っ張られると、早々に負けを認めて力を抜きます。
なんでわざと力を抜くの?
受け流した方が安全って
判断するからだよ。
外乱の速度
最後は外乱の速度です。
ゆっくり引っ張られると、身体は「まだ耐えられる」と、力を入れたり手を前に挙げたりと、色々な反応をしてもがきます。
しかし、素早い外乱に対しては、すぐにステップ反応が出現し、新しい支持基底面を作ることが優先されます。
ふ~ん、似たような外乱でも
実は目的が違ったんだね。
どの反応が見たいかのか?
これによって変化させるんだよ。
外乱テストの際は、この4種類の刺激を使い分けて、バランス反応を見極めましょう!
外乱テストの注意点
外乱テストをやるなら、以下の3つに注意しながら実施しましょう。
信頼関係の構築
外乱テストを実施するには、まず患者さんと信頼関係を構築することが先決です。
いきなり初対面で突き飛ばされたら、そりゃ誰だって怒りますもんね。
だから、介入後すぐに実施するのではなく、ある程度経過してから実施しましょう。
患者さんを怒らせちゃうと、
検査どころじゃなくなるよ。
患者さんへの説明
外乱テストが失敗する原因は、患者さんとのコミュニケーション不足です。
押された患者さんは、耐えた方が良いのか、受け流した方が良いのか分からず、勝手な動きをし始めてしまうのです。
だから、検査の前に「踏ん張って下さい」とか、「押し返して下さい」など、どうして欲しいのかを伝えておきましょう。
検査なのに先に伝えていいの?
うん、大丈夫だよ!
バランスの多くは、反射ではなく反応です。
反応は反射と違い、その時の条件や気分で、結果が毎回変わってしまいます。
だから、無言で外乱を加えてしまうと、自分が見たい反応が出ず、お互いがよく分からない結果になってしまうのです。
だから患者さんには、
✔ 危ないと思ったら掴まってね
✔ 右足を出して止まってね
✔ 諦めずにその場で耐えてね
外乱を加える直前に、このような明確な指示を出しておきましょう。
転倒リスク管理
この検査は、転倒するリスクが高いため、安全をしっかり確保してから実施します。
平行棒の中で実施したり、人員を多めに配置することで、転倒回避に努めましょう。
自信がない場合は、
このような介助ベルトを使用すると、いざという時に支えやすいです。
リハビリ室に無い場合は、帯やタオルなど、代用できるものを探してみましょう!
よし OK ! 外乱テストが、
出来そうな気がしてきたぞ。
ぜひ、実習で使ってみてね。
おわりに
バランス能力や反応は多岐に渡るため、新人セラピストや実習生が、すぐに評価ができるようにはなりません。
患者さんを色々と操作し、その度に変わる反応を観察しながら、あーだこーだと考えている内に、少しずつスキルが付いてきます。
だから教科書を見るだけじゃなく、友達同士で押し合いっこをして下さい。
外乱の場所、方向、強さ、スピード、色々な変化を組み合わせ、バランスについて研究してみて下さいな。
それでは、上手に外乱刺激が
加えられますように!