こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
動作や歩行を評価する際、患者さんの筋力に着目することが多いですよね。
でも筋力の他にも、筋出力や筋発揮といった言葉もあるため、ごちゃ付きやすいです。
う~ん、適当に使ってるわ…。
実際、そういう人が多いよね。
そこで今日は、この3つの言葉を分類して、皆さんをスッキリさせたいと思います。
簡単に説明するため、厳密な解剖学や生理学は無視します。気軽に見て下さいな!
筋力と筋出力の違い
筋力とは
筋力とは、筋の線維の太さによって決まる、張力(パワー)のことです。
車で例えるなら、「排気量」です。
6000ccのアメ車と660ccの軽自動車であれば、当然、エンジンが大きい方がパワーが出せます。
よって、 筋肉が太いと強い力が出せる!といった、ごく単純な話ですね。
出る!のではなく、出せる!
って部分がポイントだよ。
筋出力とは
同じく車で例えるならば、筋出力はエンジンの回転数に相当します。
アクセルペダルを強く踏み込めば、エンジンの出力が上がり、その結果、スピードもパワーも上昇していきます。
スポーツカーが出す時速100kmと、軽自動車が出す時速100kmは、見た目の速度は一緒でも中身は違いますよね。
なるほど、どちらか一方が
弱くてもダメってことか。
うん、筋の張力を出力させると
筋の発揮が起こるんだよ!
よって筋力か筋出力のどちらかに、トラブルがあれば筋発揮は低下することになります。
筋発揮が低下する原因
それでは、筋発揮(パワー)が低下してしまう原因を、1つずつ確認してみましょう。
廃用症候群
人間の身体には、不要な物は捨てる!という反応があるため、筋肉を使わないと徐々に細くなっていきます。
車と一緒で、あまり乗らないのであれば、小さいくて燃費の良い車に変え換えますもんね。
よって、廃用症候群になると、筋肉が萎縮してしまい、その結果、筋発揮が低下します。
炎症
筋肉は感染や打撲といった、様々な原因で炎症を起こし、それにより筋発揮が低下します。
ちなみに筋肉痛だって炎症です。
エンジンだってオーバーヒートをすれば、本来のパワーが出せなくなりますね。
筋疲労
筋肉に同じ負荷を与え続けると、疲労により筋発揮が低下します。
車だって、何十万キロも走っていれば、エンジンはボロボロになっていきますよね。
日頃からメンテナンスをしていないと、本来のパワーは出せませんよ!
疼痛
筋肉に痛みがある場合、そこに力を入れないように、脳から指令が出ます。
アクセルを強く踏むなよ!
この指令により、わざと出力を低下させて、これ以上の損傷を防ぐのですね。
ちなみに、痛みを取ったら筋発揮が爆上がりした!というのはよくあります。
心理的不安
スピードを出して衝突したら大変だ…。
もし、スリップしたらどうしよう…。
このような不安があると、当然、アクセルは強く踏めなくなりますよね。
しかし、よく訓練されているレーサーであったり、車の性能を熟知している人だと最大能力で走行することができます。
このように筋発揮の部分には、精神面も大きく影響しているんですね。
低栄養状態
筋肉の栄養は糖質です。これが無ければ、筋の収縮ができません。
車だってガソリンが切れてしまえば、せっかくの大きなエンジンを積んでいても、全くパワーが出せない鉄の塊です。
よって、低栄養状態になった筋は、スピードやパワーが落ちてしまいます。
神経の異常
脳から筋肉への指令は、運動神経が伝えます。
でも、アクセルワイヤーが切れてしまえば、いくら頑張ってペダルを踏んでも、エンジンには伝わりませんね。
それと一緒で、神経の伝導路にトラブルがある場合は、それに沿って筋発揮も阻害されてしまうということです。
関節の角度
筋肉には力を出しやすい条件があり、その1つに筋の長さがあります。
握力計を握る時に自分がしっくりくるポジションがあるように、関節の角度というのはパワーに与える影響が大きいのです。
これは、車のシートの位置が悪くて、アクセルペダルが踏み込みづらいことで、上手に車の操作ができないのと一緒です。
まだ僕はペーパーだから、
シートは一番前にしてるよ。
それって、足が…、
うっさいな、安全主義なんだよ!
こんなちょっとしたことで、筋発揮というのは簡単に低下しちゃうんですね。
サボり癖が付いてる
人間の身体は、無駄なエネルギー消費やケガをしないために、かなりサボりながら活動をしています。
動け!って指令が来ても、普段からサボっている筋線維は仕事をしません。
だから、普段から力をこめる練習をしていないと、徐々に筋発揮は低下していきます。
だから、リハビリは大事だね。
よしっ、頑張ってPTになるぞ!
おわりに
新人セラピストのカルテや、実習生のサマリーを見ると、筋力低下ばかりが、ずら~っと並んでいて悲しくなります。
MMTでの検査だけで終わるのではなく、筋力と筋出力が低下する原因を、1つずつ細かくチェックして欲しいと思います。
筋力が低下しているから筋力訓練だ!
こんなんじゃ、国家資格を持っていても笑われてしまいますよ…。
だから、しっかり評価!しっかり訓練!
それでは、筋肉に関する評価が
充実しますように。