こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、バランス能力と評価です。
リハビリの評価関連では、動作分析やバランス評価で壁に当たる人が多いですよね。
僕もバランスの評価は苦手。
じゃあ一緒に勉強しよっか。
ということで、バランス評価ができるようになるために、人間が持ち合わせている能力と、反応について理解を深めましょう!
正常なバランス能力とは
私が考える、正常なバランス能力は、
こんな感じです。
電車が揺れた! 石につまづいた!
こんな時は、どれが最も安全かつ確実に、自分の身を守れるか判断するはずです。
当然、手持ちのカードが多いほどバランスが良く、また素早く正確に判断ができる人ほどバランスが良いといえますね。
臨床で使われるバランス検査
ところがどうでしょうか。臨床の現場では、バランスの評価がパターン化しています。
✅ Time up and go test
✅ Functional reach test
✅ Berg balance scale
このような評価バッテリーを実施し、その点数をカットオフ値と比べるだけでバランスを評価した気になっている人が多い気がします。
TUGのタイムを測り、
FRTで距離を確認し、
FBSを紙面通りに点数化する。
あとはカットオフ値を調べて比較するだけの簡単なお仕事です!
評価が分からない…、という新人PT達はこれに疑問を持つことから始めよう。
— ダイ吉@理学療法士×教員 (@pt_daikichi) November 25, 2019
この程度のことなら、国家資格なんて無くてもできるじゃん!って思います。
う~ん、だってそれ以外の
評価なんて知らないよ。
バランス能力を1つずつ
確認するだけだよ。
ん、バランス能力…?
バランスの評価をするのなら、このバランス能力をよく理解しておく必要があります。
図を使ってわかりやすく解説するので、しっかりとイメージを付けていきましょう!
評価するべきバランス能力
では、バランス評価を進めるにあたり、以下の6つの反応(能力)を理解しましょう。
それでは、1つずつ解説していきますね。
カウンターアクティビティ
カウンターアクティビティとは、運動による姿勢の変化を制御するために、拮抗筋を活動させる機能のことです。
スイス出身の理学療法士である、クラインフォーゲルバッハが開発した運動学用語ですね。
図のように、後ろに押されたり引っ張られると、背骨より前についている筋肉が無意識に活動を高め、その力に耐えようとします。
これが、カウンターアクティビティです。
カウンタームーブメント
続いては、カウンタームーブメント。
これは、外乱により移動する重心に対して、関節運動を行うことでバランスを保とうとする能力のことです。
図のように後ろにバランスを崩された時、無意識に頭を前方に残そうと、頸部・体幹・股関節が屈曲していますよね。
これは、立ち直り反応ともいいます。
当然、後方から押されて、前にバランスを崩すような場合は、頭部や体幹は伸展パターンの関節運動に切り替わります。
カウンターウェイト
カウンターウェイトは重りの移動。
バランスが崩れる方向とは反対に、上下肢を伸ばしたりすることで、てこの原理を利用して姿勢を制御する能力になります。
これは、バランスを崩した際、カウンタームーブメントやカウンターアクティビティでは、対処できない場合に出現します。
強い外乱には、この能力が活躍しますね。
ほ~、こうやってみると、
バランス反応も色々あるのね。
名前は知らなくても、
見たことはあるでしょ?
では、残りの能力も確認していきましょう。
予測的姿勢制御
この能力は、バランスが崩れてしまう前に出現します。要するに、姿勢を保持するための事前準備になります。
もし「これから押すよ!」と言われたら、
きっと、無意識に重心が前に移動するはず。
これは、後方へバランスを崩されることを予測して、前もって重心を移動させておくか!という能力なんですね。
電車で駅で止まる直前って、
身体が反対に傾かない?
たしかに、ブレーキを予測して
反対側に傾けちゃうな。
う~ん、少し地味な能力ですが、生活する上で必要な能力といえますね。
ストラテジー反応
後ろにバランスが崩れそうになると、無意識に股関節は屈曲し、足関節は背屈します。
カウンタームーブメントと似ていますね。
このストラテジーは、日本語で「戦略」という意味があるので、臨床では股関節戦略とか、足関節戦略と呼ばれています。
これについては、別の記事で詳しくまとめているので、あとで確認してみてね。
関連記事 背屈反応って何のためにあるの?バランスに及ぼす影響を解説
ステップ反応
この能力は、最も大きくバランスを崩した時に活躍します。
ご存知の通り、もう重心が安定性限界を超えると感じた瞬間、四肢の関節運動により新しい支持基底面を作り始めます。
保護伸展反応とも呼びますね。
評価としては、足を出すタイミング、歩幅の大きさ、踏ん張りの力強さなど、総合的に把握していく必要がありますね。
バランス能力のおまけ
バランスの検査といっても、リカバリー能力だけがターゲットではありません。
自分がバランスを崩さないための、注意力や判断力も評価の対象です。
転びそうな場所に近づかない、物を手に持ったまま歩かない、どいてどいて!と声を出す、どれも素晴らしいバランス能力です。
要するに、自分が苦手とする環境を作らない能力、これがバランスには必要なんです。
へぇ~、こんなことも
バランス能力に入るんだね。
転倒回避の能力だね。
おわりに
色々と解説してみたけど、やっぱり難しかったと思います。私だって学生時代は、バランスに関しては全く理解できませんでした。
きっと、多くの患者さんから学びながら、少しずつ理解を深めていったんだと思います。
イメージができたら即実践!毎日コツコツと患者さんと向き合い、評価スキルを養おう!
それでは、バランス評価が
上手にできますように。
関連記事 姿勢が安定する6つの条件!運動学的にバランスを分析