触圧覚と温痛覚の伝導路!ブラウン・セカール症候群の国試対策

国家試験
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは。リハビリ専門学校で
教員をしているダイ吉です。

本日は、感覚の伝導路のお勉強です。

感覚の情報がどこから入ってどこを通り、最後はどこに辿り着くの?って話です。

プク太
プク太

あ~、僕が苦手なやつだ。

あと、国家試験で狙われる、ブラウン・セカール症候群についても触れていきます。

苦手な人でも大丈夫。

感覚の伝導路がイメージできるように、簡単なイラストを使って説明していきますね。

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感覚の伝導路

感覚の伝導路は複雑なので、今回は円柱のタワーとエレベーターで例えてみます。

円筒状の建物を、「脊髄」だと思い込んで下さい。そして、上にいくためのエレベーターが、左右に一基ずつ設置されています。

また、建物に入るには、東口か西口のドアを通らないと入れません。

この設定で進めて行きますよ!

触圧覚と深部感覚

ではまず、何かに触れている、押されて圧迫を受けているといった、触圧覚の伝導路について解説していきます。

ちなみに、動かされている・この場所に腕があるといった、深部感覚も同じ経路です。

伝導路の名称は、後索-内側毛帯路(こうさくないそくもうたいろ)といい、識別可能なしっかりとした情報を伝えてくれます。

例えば、右手で触った!右手を動かされた!という情報は、右から脊髄に入りそのまま右のエレベーターで上行します。

下部延髄でエレベーターを降りた後は、反対側へ移動し、その後は視床を通って大脳の中心後回に向かうんですね。

ダイ吉
ダイ吉

触圧覚は、同側から入って、
そのまま上に移動するんだね。

プク太
プク太

触圧覚と深部感覚は、
意外とシンプルなんだね。

温痛覚の伝導路

続いては、痛みだったり熱さを伝える、温痛覚の伝導路です。

伝導路の名称は、外側脊髄視床路(がいそくせきずいししょうろ)といいます。

温痛覚は触圧覚とは違い、右側のドアから入ったら、左側のエレベーターに乗ります。

ダイ吉
ダイ吉

脊髄後角から入った情報は、
まず反対側に移動するんだよ。

右側の温痛覚の情報は、左の側索を上行し、視床を経て中心後回に伝わります。

ということは、右側から入る感覚は、どちらも左の視床を通って感覚野に届くけど、脊髄の通り道は左右バラバラってことですね。

プク太
プク太

こうやって考えると
理解しやすいな。

本来であれば、意識にのぼらない感覚だったり、姿勢制御に関与する部分もあるけど、ここでは割愛しております。

ダイ吉
ダイ吉

もっと勉強したい人は、
生理学の本を読み直そう!

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ブラウン・セカール症候群

では、本日の本題である、ブラウン・セカール症候群についての解説に移りますね。

まずは、概要をみてみましょう。

ブラウン・セカール症候群(英: Brown–Séquard syndrome)あるいは脊髄半側切断症候群とは、脊髄のある部位の半側が障害されたときに障害部位以下でおこる運動麻痺や感覚麻痺などの症状をいう。

Wiki ブラウン・セカール症候群

さっきの建物で解説すると、上と下の階をつなぐエレベーターのどちらかが、途中で通せんぼされてしまう状況ですね。

ダイ吉
ダイ吉

Bのエレベーターが使えないと
どんな影響があるのかな?

障害と反対側の影響

では、障害されていない、右側から入る感覚の情報をみてみましょう。

右側からの触圧覚・深部感覚は、Aのエレベーターを使うので、何も影響を受けません。

プク太
プク太

まぁ、当然そうなるよね。

ダイ吉
ダイ吉

じゃあ、温痛覚をみてみよう。

温痛覚は、反対側のエレベーターを使うので、これ以上は上に行けなくなりました。

ということで、ブラウン・セカール症候群では、障害とは反対側の温痛覚に影響がでる!っていうことになりますね。

障害と同側の影響

では次に、障害されてしまった、左側の感覚情報を確認してみましょう。

さっきとは反対になるので、

触覚は、Bのエレベーターを使うのでダメ。

でも、痛覚だったらAのエレベーターを使うので、問題なく上に移動が可能です。

ということは、ブラウン・セカール症候群では、障害と同側の触圧覚深部感覚に影響が出る!ってことなんですね。

プク太

おおー、OK!
完璧に把握したよ!

ダイ吉
ダイ吉

よし、んじゃ運動の伝導路は?

プク太
プク太

え、運動…。ズルイよ、
そんなのやってないじゃん!

障害と運動の関係

では、最後に運動の伝導路についても軽く触れておきますね。

脊髄を下行する運動路は、延髄での錐体交叉以降は、同側の運動を支配しています。

要するに、右の側索を下行する運動線維は、右の手足の運動を司るってことです。

ということで、図をみてみると、

当然、障害されている側の伝導路は通行止めになっているので、運動の情報が伝わらずに麻痺が出現することになります。

この場合、中枢神経が障害されているので、それより下の部分には、錐体路徴候が出現することになります(痙縮や反射の亢進など)。

では、おさらいです!

【ブラウン・セカール症候群の症状】

 ① 同側の触圧覚・深部感覚の低下

 ② 反対側の温痛覚の低下

 ③ 同側の運動麻痺と錐体路徴候

ゆっくり落ち着いて考えれば、国試の過去問も簡単に解けますよ!

ダイ吉
ダイ吉

これでもう大丈夫だね。

過去問にチャレンジ

では、最後に理学療法士国家試験の過去問にチャレンジしてみましょう。

問題は、第46回の午後88です。

第5胸髄レベルの脊髄横断面の模式図に損傷部位を斜線で示す。右下肢にみられる症状はどれか。

 1 運動麻痺
 2 痛覚鈍麻
 3 位置覚異常
 4 振動覚低下
 5 腱反射亢進

厚生労働省より

先ほどの知識を使って問いてみましょう。

解答は、一番最後に載せておきますね!

おわりに

さて学生の皆も、これで感覚の伝導路のイメージはできましたか?

この知識があれば、きっと実習で行う感覚検査も、相当レベルアップするはずです。

知ってて損はない知識です!

だから国家試験が終わっても、臨床の場で役に立ててくれたら嬉しいです。

ダイ吉
ダイ吉

それじゃ、答え合わせだよ!

解答は2の痛覚鈍麻 】
※右の痛覚は、脊髄の左側を通るため。

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