背屈反応とは?バランス反応なのに支持基底面が小さくなる理由

不安定な岩場に立つ男性。靴を履いた足元が写されている 評価・治療・スキル
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!

この記事では、後方へのバランス障害に関係している、「背屈反応」という能力について掘り下げていきます。

 背屈反応が出ないとどうなるの?

 なんで背屈反応が出ないのかな?

 どうしたら反応が出しやすくなる?

リハビリでは、バランスを評価したり、転倒予防にアプローチすることが多いですよね。

プク太
プク太

バランス検査は難しいので、
未だに苦労しているよ…。

ダイ吉
ダイ吉

慣れるには時間が掛かるよね。

やはりバランスというのは、動作や生活に必要なスキルですので、しっかりと評価しておきたいところです。


背屈反応とは

生まれつき人間の身体には、姿勢を保持するための制御が複数備わっています。

その1つである背屈反応は、足関節を背屈させて踵だけでバランスを取る動きです。

3対のスティックピクチャーのイラスト。徐々に後方にバランスが崩れ、背屈反応が起こっている。

骨盤をゆっくり後方に引くと、ある場所を境にして無意識に出現します。

バランスに及ぼす影響

なぜ、この反応が存在するのでしょうか?

支持基底面の変化

まずは、バランスの質を決定する、支持基底面から見てみましょう。

2組の足型のいらすと、右の図には薄く支持基底面に色がついている。

通常の立位であれば、両側の足底面で荷重をしているので、支持基底面は上の図のような形になります。

そして、後方にバランスが崩れそうになると、背屈反応により、つま先が浮き上がるので、

足型のイラスト。新しい支持基底面のテキストあり。地面と設置部分だけ色が塗られている。

支持基底面は、約1/3の大きさになり、かつ後方に偏移した状態になります。

プク太
プク太

バランスが崩れたのに、
支持基底面が小さくなるの?

ダイ吉
ダイ吉

うん、そこがこの反応の、
面白いポイントなんだよね。

実は、バランスが崩れているにも関わらず、わざわざ支持基底面を小さくし、かつ身体の後ろ寄りに構えるのにはワケがあります。

それには重心の位置が関与しています。

重心のコントロール

立位姿勢で後方へ外乱が加わると、当然、重心は後方へ移動していきます。

その時点で、何も手を打たずに放置すると、重心はやがて、支持基底面よりも外に出て行ってしまいます。

2つの足型のイラスト。支持基底面が塗られている方から重心が外に出る様子。

この瞬間にバランスが崩れるので、できればその前に、何らかの反応で重心を制御しておきたいですよね。

そこで、重心が後方へ移動し始めた頃に背屈反応を出すことで、

野球少年がフライをキャッチするイラスト。先回りしてキャッチのテキスト入り。

後方に移動した支持基底面が、向かってくる重心を受け止めることができます。

要するに、支持基底面が小さくなるというデメリットよりも、先回りして準備する方が重要だということになります。

プク太
プク太

なるほど!肉を切らせて骨を
断つといったところだね。

ダイ吉
ダイ吉

ははっ、そういうこと!

元の姿勢に戻れる

背屈反応には、重心が後方に外れにくくなる!という以外に、もう1つの役割があります。

それは、新しい支持基底面よりも重心が前にあることで、元の立位姿勢に戻れることです。

野球少年のイラスト。キャッチしたボールを投げ返す様子。重心は戻ろうとするのテキスト入り。

重心を受け取ったら、元に返す…。

まさに、キャッチボールそのものですね。

ダイ吉
ダイ吉

だから、背屈反応は遅れても
ダメ、弱くてもダメってこと。

プク太
プク太

よし、これで役割が分ったよ。

背屈反応が出ない原因

当然ですが、背屈反応は出せないよりも、出せる方が良いです。

3対のスティックピクチャーのイラスト。背屈反応が出ると段階的に支持基底面が小さくなる様子。

だって矢状面上において、重心の位置と支持基底面の関係を確認すれば一目瞭然です。

そこで次に、背屈反応が出ない原因について、簡単な例を挙げて行きたいと思います。

可動域が原因

足関節背屈は、約20°の可動域があります。

しかし、拘縮や強直などにより、その動き自体が制限されている場合、当然ですが、背屈反応は出せません。

座っている男性。足首を手で回しストレッチをしている様子。

長期臥床では、足関節が底屈位で保持されていることが多く、背屈制限が生じることも珍しくありません。

筋の短縮、麻痺による筋緊張異常を防ぐためにも、可動域訓練や立位保持訓練を取り入れて、足関節の可動域を確保していきましょう。

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 足関節の背屈制限と歩行の関係

筋力が原因

足関節の背屈は、前脛骨筋が主動作筋となっています。

この筋はとても力が強いため、ちょっとした運動不足が原因で、つま先が上がらなくなることは絶対にありません。

直結するのは、末梢神経障害です。

歩行時に、尖足を呈する人は、後方へのバランス反応が低下しているので、併せて評価しておくと良いでしょう。

ダイ吉
ダイ吉

こんなケースは、短下肢装具
なども視野に入れておこう!

感覚が原因

後方へバランスが崩れる際は、各関節や足底の荷重感覚などから情報が入ってきます。

その情報を頼りに、背屈反応を出すため、この辺りの深部感覚が低下している場合には、当然、バランス反応も低下していきます。

ロンベルグ徴候が出ている人など、後索障害の疑いがある場合には、バランス反応も併せて評価しましょう。

ダイ吉
ダイ吉

痛みや痺れなどの症状に

注意しながら進めよう。

やり方を忘れる

実は、このパターンが1番多いです

プク太
プク太

え~、背屈反応って忘れるの?

ダイ吉
ダイ吉

背屈反応をずっと使わないと、
反応が鈍くなるんだよね。

その証拠に、背屈反応のやり方を教えてあげると、即時的に後方へのバランス能力がUp!という方をたくさん経験してきました。

といっても、口頭で説明したって出来るようにはなりません。そこで、背屈反応を促通させるための訓練を紹介したいと思います。

背屈反応を鍛えよう

背屈反応は反射ではないので、訓練によりコントロールできるようになります。

 こうきたら、こう避ける

 こうなったら、こう動く

このような反復練習により、短期間に再獲得できる能力なんですよね。

促通させる方法は、まずセラピストが後方から支え、恐怖心を与えない程度に、ゆっくりとフォームとタイミングを学習させます。

慣れるまでは、平行棒に掴まってもOK!

とにかく患者さんに、つま先を挙げたまま保持する感覚を、身体に染み込ませて下さい。

リハビリ室の様子。セラピストが患者の骨盤を後ろに引き、背屈反応を出している様子。

また、以下の項目を意識させると効果的です。

【意識させること】
  ① 股関節を曲げること

  ② 上肢を重りとして使うこと

  ③ つま先を上げること

  ④ 踵で体重を支えること

これらを少しずつ習得させながら、背屈反応を促通していきましょう。

そうすると、

 つま先を挙げた方が楽になる!

 ここまで後ろに行っても大丈夫!

といったように、運動を学習してきます。

この動きに慣れることで、恐怖心が無くなり、バランスに自信が持てるようになります。よかったら試してみて下さい!

おわりに

さて、数多くあるバランス反応の中で、背屈反応の役割について解説してきました。

やはりどのような検査も、セラピストが理解しているのといないのでは、質が大幅に違うと思います。

これから行う検査が、何のために行うものなのか、そしてその結果をどのように考察するのか、これらは経験が左右していきます。

ただ、何となく検査や評価をするのではなく、プロフェッショナルというプライドを持って、臨んで頂きたいと思います。

【リハビリ評価】身体機能検査とバランスの正しい測定法まとめ
理学療法士が教える評価・検査マニュアル。ROM・筋緊張・深部腱反射などの基本から、バランス評価、感覚・神経系の検査をまとめてみました。
ダイ吉
ダイ吉

それでは、背屈反応の評価が
楽しく進められますように!