
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、大殿筋歩行です。
臨床で見かける頻度は高くありませんが、大殿筋の役割や歩行のメカニズムを理解するうえで、とても勉強になる異常歩行です。

あまり見たことないよ。

うん。でも、歩行の勉強に
向いているいい題材なんだ。
ちなみに、PT国家試験の実地問題でも出題される、有名な異常歩行の1つです。
ということで今回は、大殿筋歩行の原因と特徴を、画像や動画を使って分かりやすく解説していきます。
大殿筋歩行とは?
大殿筋歩行は、“大殿筋の筋力低下”によって生じる異常歩行です。
大殿筋は、人体の中で最も大きい筋肉!

主な役割は股関節の伸展ですが、実はお辞儀動作のように、体幹を前方へ傾ける場面でも重要な役割を担っています。

大殿筋が機能していれば、骨盤を適切に前傾させながら、動作をコントロールできます。
しかし、この筋肉が十分に働かないと、骨盤の前傾がうまく作れなくなり、お辞儀が難しくなるだけでなく“歩行に影響”が現れます。
大殿筋歩行が起こる原因とメカニズム
大殿筋歩行は、踵接地時に大殿筋で股関節伸展を十分に制御できないことで起こります。
その結果、床反力に対抗するため、体幹や上肢を後方へ移動させる代償動作が出現します。
踵接地での大殿筋の役割
正常歩行では、踵接地の瞬間に大殿筋が股関節を制御して、床反力による体幹の前方への倒れ込みを防ぎます。

しかし、大殿筋の筋力が低下していると、床反力に負けて骨盤を垂直位で保持できず、体幹は前傾してしまいます。

うわ、転びそうだ…。
あぶないね!

大殿筋の活動は一瞬
だけど重要なんだよ。
このままでは前に転倒してしまうため、次の段階で代償動作が必要になります。
代償動作の出現
大殿筋の筋力が十分であれば、踵接地~足底接地において、骨盤を垂直位に保ったまま、スムーズな股関節伸展運動が起こります。

しかし、大殿筋のパワーが不足していると、股関節伸展を筋力で制御できません。

そこで、骨盤が前傾しないように、頭部や上肢を身体の後ろへ移動させ、重りとして利用するんですね。
おへそを突き出すように見える歩き方になるのは、このためです。

う~ん、実習では見たこと
ない歩き方だな…。

筋ジストロフィーとかで
よく見かけるよ。
ちょっと動画で確認。※ミュートして再生
この体幹・上肢を使った代償動作が、大殿筋歩行の基本的な仕組みになります。
筋ジストロフィーの歩行
筋ジストロフィーの病型にもよりますが、大殿筋の筋力低下が著明になると、大殿筋歩行が出現します。
例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、筋力低下や変形の影響で腰椎前弯が増強することがあります。

そのため、大殿筋歩行でも、おへそを突き出すというより、胸を突き出すような歩容になる場合があります。
同じ大殿筋歩行であっても、脊柱の変形や筋力低下の程度によって歩容が異なるため、注意深く観察することが大切です。
関連記事 中殿筋と立脚中期の歩行分析|ミッドスタンスの筋活動と異常歩行
おわりに
さて、大殿筋の筋力低下で起こる、異常歩行について解説してみました。
歩容のイメージはつかめましたか?
臨床で遭遇する可能性は低いものの、歩行観察や国家試験対策として、ぜひ理解しておきたい異常歩行ですね。

それでは、歩行観察スキルが
向上しますように!


