皆さんこんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
リハビリ職のコメディカルは、患者さんの診断をすることはできません。
しかし、身体を評価することで、どこがダメージを受けているのか、どこが動作を阻害しているのかを、把握することができます。
そこで今日は、ハムストリングスを、内側と外側の筋力に分離するテストを紹介します。
なんか、難しそうだね…。
いや、全然楽勝だと思うよ!
では、簡単に解説していきますね。
ハムストリングスとは
ハムストリングスは、筋肉の名前ではなく、以下の3つの筋肉の総称になります。
内側ハムストリング
半膜様筋(はんまくようきん)
半腱様筋(はんけんようきん)
外側ハムストリング
大腿二頭筋(だいたいにとうきん)
※長頭と短頭が存在
作用は、いずれも膝関節の屈曲と、膝伸展位での股関節伸展運動になります。
太ももの裏側のストレッチをした時、痛くてつっぱる感じは、ハムストリングスの伸張によるものですね。
内側ハムストリングの検査
検査肢位は腹臥位です。膝関節を屈曲させた位置から、検査者が抵抗を掛けていきます。
以下の手順でやってみましょう!
ポイントは、① 内 → ② 内 → ③ 外 です!
内側ハムストリングスを検査するのですから、内から始まります。
内側の指差し確認
最初の「内」は指差し確認です!
今から行う検査は、内側ハムストリングスの検査なんだよ!という宣言をするものです。
面倒臭がらず、必ず指差し確認をしましょう!
指差しと同時に大きな声で
「内」と発声してね。
下腿の内旋
2番目の「内」は、下腿の捻じれです。
検査では下腿を内旋させますが、その動きは分かりづらいため、つま先が内側を向くように誘導をして下さい。
外側への抵抗
最後の「外」は、抵抗を掛ける方向です。
つま先が内側を向いている状態で、検査者は内果を押さえながら、外側に誘導するように膝関節を伸展させていきます。
この時、被験者は半膜様筋と半腱様筋を活動させ、抵抗に打ち勝とうとします。
だから内側ハムストリング
の分離検査になるのか。
うん、そういうこと!
外側ハムストリングの検査
今度は反対の、① 外 → ② 外 → ③ 内 です!
外側ハムストリングスの検査なので、先ほどとは逆で「外」から始まります。
外側ハムの指差し確認
やはり最初の「外」は、指差しから!
これは、手続き記憶やエピソード記憶として、忘れにくくするのが目的です。
だから恥ずかしがらずに、指差し確認と発声をしながら、練習して下さいね!
下腿の外旋
続いては、下腿の外旋です。
つま先が、外を向くような操作になります。
関節運動としては、足関節が外転運動をするようなイメージです。
可動性はわずかなので、
力任せにしちゃダメだよ!
内側への抵抗
最後の「内」は、抵抗を掛ける方向です。
被験者の外果を押さえ、内側へ誘導しながら、膝関節を伸展させるような抵抗を掛けます。
この時、被験者は大腿二頭筋を収縮させて抵抗します。外側の腱が浮き上がっているか、触って確認しましょう。
しっかり触知できれば、分離テスト成功!
なぜ分離検査をするのか
学校の授業で習ったけど、臨床ではどんな時に役に立つのでしょうか?
それは肉離れなどで、ハムストリングスにダメージを負った時に、内側と外側に分離してストレスを掛ける時に使用します。
急性期にはやりませんが、慢性的な痛みを確認する際、内側と外側を分けて評価できるのは、とても意義があると言えるでしょう。
また、神経の髄節にも差があります。
筋肉 | 髄節 | |
内側 | 半腱様筋 | L4~S2 |
半膜様筋 | ||
外側 | 大腿二頭筋 (長頭) | L5~S3 |
大腿二頭筋 (短頭) | L5~S2 |
もし、L4~ L5付近で神経症状がある場合、内側と外側のハムストリングスのパワーに、差が生じるはずです。
他の評価と組み合わせれば、動作観察や歩行分析の考察に役立つかもしれませんね。
知っておいて損は無いよ。
おわりに
それでは、最後におさらいしておきましょう!
内側ハムストリングスの分離検査は、
① 内 → ② 内 → ③ 外
外側ハムストリングスの分離検査は、
① 外 → ② 外 → ③ 内
練習でしっかり覚え、知識と技術を磨いて臨床に挑みましょう!
それでは、ハムストの分離検査が
上手にできますように。