こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
本日のテーマは、階段昇降です。
片麻痺患者のリハビリでは、先に杖を出しましょう、こっちの足を出しましょうなど、移動に関して細かく指導をすることがあります。
あれ、麻痺側が先だっけ?
非麻痺側だっけ?
う~ん、手順の暗記だけじゃ、
指導なんてできないよ…。
特に階段昇降においては、手順のミスが、転落事故につながるリスクが高いですよね。
そこで今日は、正しい階段昇降の手順が理解できるよう、この動作の仕組みについて、解説をしてみたいと思います。
片麻痺患者の階段昇降
理学療法士は、片麻痺患者さんが階段昇降にチャレンジする際に、
昇段:非麻痺側からお願いします
降段:麻痺側からお願いします
このような指導をするはずです。
うん、教科書に書いてあるね。
なぜ、この方法なんだろう?
え~、単純にそういう物
なんじゃんないの?
いや、答えになってねーし!!
皆さんも勉強する際は、へぇ~そうなんだ!で終わるのではなく、何事にも「なぜ?」と疑問に思う事が大切ですね。
非麻痺側で昇る理由
まず、昇段時に使う筋肉を考えてみましょう。
この動作で主に働く筋は、大臀筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋の求心性収縮です。
よって、上の段に置いた足は、この3つの筋活動により、体重を上の段に運びます。
麻痺側から降りる理由
次は、降段時の筋活動です。
降段時は、上の段に残った側の大臀筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋が遠心性収縮をします。
あれ、使う筋は同じなんだ。
収縮の形態が違うだけだね。
よって昇段時も降段時も、上の段にある足が、頑張る必要があるという共通点があります。
だから、片麻痺患者さんが階段昇降をする時は、非麻痺側から昇って、麻痺側から降りる方が安全なんですね。
得意な足は、いつでも上にあるといいね!
リハビリの介入目的
階段昇降は片麻痺患者さんにとって、かなりハードルが高い動作になります。
そこで理学療法士は、段階的な目標を設定して、リハビリを提供すると良いと思います。
安全な手順を覚える
まずは、先ほどの解説の通り、運動学的に安全な手順を提供することです。
患者さんが安全な手順を理解し、転倒リスクを最小限にしてあげましょう。
無意識にできるようになる
手順を覚え、しっかりと意識すれば、大抵の人は階段昇降が獲得できるでしょう。
ただし「できるADL」を獲得しただけで、満足してはいけません。「しているADL」として、階段昇降を獲得させてあげましょう。
質よりも、数をこなす方が
大事な時もあるよね。
どちらの足でもできる
片麻痺患者さんに対する、最終目標は、どちら側の足でも昇降できることです。
だって、そっちの方が自然ですよね。
安全な手順を覚えた!
なんとか階段が昇れた!
これだけで満足するのではなく、一足一段を目指して、リハビリの介入を続けましょう。
そっか、どっちの足でも
できる方が良いもんね。
そういうこと!
おわりに
さて、階段昇降における、下肢の筋活動について解説をしてみました。
といっても、階段の途中で力尽きたり、いきなり膝折れをしたりと、緊張する内容です。
そこで、平行棒で安全にできる、段差を使ったステップ訓練がおすすめです。
関連記事 下肢の支持性を鍛える!平行棒で出来るステップ訓練を紹介
私もよくリハビリに使っており、かなり有効な訓練ですので、ぜひ試してみて下さい。
それでは、階段昇降の指導が
上手にできますように!