関節反力とは?物理が苦手でも分かるPT国試の計算問題を解説

黒板の物理公式を見ている子供。 国試対策
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!

本日のテーマは、関節反力です。

第46回 PT/OT国家試験では「関節反力」という言葉で、物理が苦手な学生達が泣かされた過去があります。

物理が得意!っていう人は少ないですよね。

プク太
プク太

うん、かなり苦手だよ…。

私だって苦手です…。

だから本日は、この関節反力の解説を、極限まで簡単に進めてみようと思います。


関節反力とは?

関節反力は、
関節面を介して骨同士に働く力 です。

簡単にいえば、関節の中で骨と骨が押し合う力と考えてください。

上肢の骨模型。矢印で関節の中の反力を解説。

上の図でいうと、尺骨が100Nで押せば、上腕骨も100Nで押し返してきます。

尺骨が押す力(黄)= 作用

上腕骨が押し返す力(赤)= 反作用

このように、関節面を介して
骨同士に働く力を “関節反力” と呼びます

PT第46回 午後69

Q:手で鉄球を持ち、図に示す構えを保持した場合、肘関節にかかる関節反力はどれか。

肘を曲げて鉄球を持つ図。5つの選択肢。関節反力を求める問題の図。

 1.4N
 2.20N
 3.24N
 4.410N
 5.480N

プク太
プク太

うへ、なんだこの問題…。

ダイ吉
ダイ吉

では、解いていくよ!

問題の解き方

この問題は、色々な錯覚を起こすように作られていますので、まず余計な情報を排除していくところから始めます。

関節は無視する

まだ関節反力がイメージできていないので、関節を無視して、前腕だけで考えてみましょう。

肘を曲げたイラスト。上腕骨と前腕を切り離すというヒントあり。

最後に情報が揃ってから、もう一度、関節を構成させるので、今は関節から離れましょう。

筋は紐だと考える

前腕を釣り上げている、上腕二頭筋も忘れましょう。これは筋じゃない、ただの紐だ!そう頭の中で変換して下さい。

前腕の骨イラスト。上腕二頭筋を紐に見立てるようアドバイス。

ただし、硬くて頑丈な紐ですよ。

ダイ吉
ダイ吉

この紐の位置が、支点だよ!

回転する力に着目する

問題では、前腕の重さだけじゃなく鉄球を持っていましたね。当然ですが、

前腕のイラストに鉄球を持たせる。時計回りに回転しだす。

紐の位置を軸にして、前腕に時計回りのモーメント(回転力)が発生します。

だから、この回転する力を計算しなくてはいけないと、理解をしておきましょう。

距離と重さを整理する

問題の図は見づらいので、支点の紐から各部位の距離、そして重さを入力して整理しました。

鉄球を持つ前腕のイラスト。支点からの距離を表示。

約1kgが10ニュートンなので、50Nを作り出す鉄球は、約5kgになります。

そして、ここが重要ポイント!

肘関節と上腕二頭筋が無くなったことで、支点からの距離が、ハッキリと見えてきました。

これは、関節と筋を無視したお陰ですよ。

回転力を求めてみよう

では、まずは前腕の計算から!

✅ 大事な公式
重さ[N] × 距離[m] =モーメント[Nm]

支点から0.15m離れた場所に、20Nの重さを加えると、

鉄球を持った前腕のイラスト。公式に当てはめて数字を表示。

20N × 0.15m =3Nm

前腕の重みが、3Nmの回転力を作ります。

この時点で、チンプンカンプンだという人は、こちらの記事で訓練して下さい。

関連記事 モーメントの求め方|PT・OT国家試験の計算問題を図で解説

鉄球が作り出す回転力は、支点から0.35m離れた場所で50Nの重さなので、

鉄球を持った前腕のイラスト。50Nを公式に当てはめて表示。

50N × 0.35m =17.5Nm ですね。

ということで、紐よりも右側では、2つを合わせた20.5Nmのモーメント(時計回り)が、発生していることが分りました。

鉄球を持った前腕のイラスト。鉄球と前腕の重さの合算モーメントを表示。

あとは、紐よりも左側で20.5Nmのモーメントを発生させれば、力は釣り合います。

鉄球を持つ前腕のイラスト。支点から0.05mの位置に紐。20.5Nのモーメントが必要と記載。

距離とモーメントが分かっていて、重さ(N)だけが分からない場合の計算は?

✅ 大事な公式
重さ[N] × 距離[m] =モーメント[Nm]

ダイ吉
ダイ吉

プク太くん分かる?

プク太
プク太

えっと、モーメントを
距離で割るの?

ダイ吉
ダイ吉

うん、正解!

距離は0.05m、モーメントは20.5Nm。

式に当てはめると、

重さ[N]× 0.05m = 20.5Nm

⇒ 20.5 ÷ 0.05 = 410N になります。

よって、向かって左側から、410Nの反時計回りの重さを加えると、ちょうど釣り合うという計算になります。

答えを求めよう

それじゃ、最初に分解した上腕骨を戻し、肘関節を復元していきましょうか!

前腕が時計回りに回転する力は、反対側の尺骨頭を410Nの力で持ち上げる力と一緒。

上腕と前腕のイラスト。肘関節で410Nの矢印がぶつかっている。

では、その力は誰が押さえつけているの?

それは、上腕骨の衝突で生じる「関節反力」により生み出されています。

だから、肘関節にかかる関節反力も410Nということで、4番が正解になります。


いや~、長い道のりでした。

距離に惑わされて、肘関節から計算した人は、恐らく480Nを選ぶでしょう。

関節反力の意味が分からない人は、解答を聞いてもチンプンカンプンだったでしょう。

ダイ吉
ダイ吉

本当によく作られた

良い問題だよね。

プク太
プク太

初見じゃ絶対ムリだよ…。

おわりに

はい、じゃあ最後におさらい!

① 関節なんて無視しろ!
→ 関節反力は最後に解決すりゃいい

② 上腕二頭筋を紐だと思え!
→ 筋の張力はこの問題には関係なし

③ 支点を見失うな!
→ 上腕二頭筋の停止部を支点とする

④ 2つのつり合う条件を探せ
→ 支点の左右で釣り合うこと
→ 尺骨と上腕骨でつり合うこと


▶ ここまで理解できた人は、次は実地問題の計算で3点を取りにいきましょう!

ダイ吉
ダイ吉

それでは、本番の実地問題が
しっかり解けますように!