
本日のテーマは症例発表の
スライド作りだよ!
症例発表のスライドって、何から手をつければいいか悩むことが多いと思います。
でも、作り方のコツはシンプル!
実は“型(テンプレ)に沿って組み立てる” だけで簡単にまとめることができちゃいます。
この記事では、初心者がそのまま使えるスライド構成テンプレを紹介し、作成の流れと話し方のポイントまで短く整理してみました。
症例発表スライドの作り方(初心者向け)
症例発表は、公の場で自分の学びを共有して臨床に還元する場です。
治療の工夫や得られた変化など、臨床で気づいたポイントを整理して伝え、同じ医療従事者に伝えることが目的になります。
症例発表には主に2つの形式があります。
- ポスター発表:掲示板の前で対話形式
- 口述発表:スライドを使い壇上で発表

この記事では“口述発表”を
前提に進めていくよ。
スライドのルールは学会・研究会で異なるため、必ず募集要項を確認してください。
基本の流れさえ押さえれば、初心者でも整った発表が作れます。
スライド構成テンプレ
症例発表は「型」に沿って作るだけで、内容が自然に整理されます。迷ったときは、次のテンプレに当てはめればOKです。
- タイトル
- はじめに(結論と注目ポイント)
- 患者情報(症例紹介)
- 現病歴
- 評価
- ICFでの整理
- 問題点抽出
- プログラム(優先すべき介入)
- ゴール設定
- 経過(変化の流れ)
- 考察(なぜこの結果になったか)

順番さえ決まったら、
あとは“空欄を埋めるだけ”
このテンプレが軸になるので、初心者でも迷わずスライドを作れます。
タイトルの作り方
タイトルは、発表の“入口”です。ひと言で内容を伝え、聞き手に「この発表で何が学べるのか」をイメージさせましょう。

失敗しないタイトル作成のポイントは3つ。
-
ひと目で分かる「テーマ」を決める
まずは、どんな症例か、どんな状況かを伝え、最も伝えたい軸をはっきりさせます。テーマの例_
・重度の上肢麻痺を呈する〜
・パテラ欠損症例に対する〜
・急性期でせん妄を合併した〜 -
「この発表の見どころ」を添える
次に、どこに着目した介入か、どんな工夫をしたのかという、過程の工夫を示し、その症例ならではの“ポイント”を加えます。アピールの例_
・早期介入により体温変動へ着目した
・独自の立ち上がり介入を取り入れた
・環境調整と家族指導に重点を置いた -
最後に「どんな変化があったのか」を示す
聞き手は、最終的にどう良くなったのかに最も興味を持つため、工夫の後に何が改善したのか(アウトカム)を示します。アウトカムの例_
・動作能力が改善した一例
・立ち上がり動作が安定した症例
・在宅復帰につながったケース


実際に“どうなったのか”
結末を書いてね。
「〜を目指した症例」「〜に取り組んだ症例」など、過程だけで終わると、何が良くなったのかが伝わらないため避けましょう。
「はじめに」の書き方
発表は「はじめに」で始まります。理由は、発表全体の道筋を示すパートだからです。
次の3つの要素を参考に、どこに注目すべきかを聞き手に伝えていきましょう。
- 対象(どんな症例か)
例:経過の長い中枢疾患、ADLに波がある症例など。 - 問題点(なぜ介入が必要だったか)
自宅生活が困難、介助量が増えた、など背景を簡潔に。 - 発表の目的(どんな点を報告するのか)
自宅復帰までのプロセス、症状増悪への対応など。


コツは、発表のゴールを
先に伝えること。
ここで方向性が明確になると、後のスライドが自然に理解されやすくなります。

患者情報(症例紹介)のまとめ方
症例紹介は、発表の“基本情報”を確認するパートです。
ここでは、発表テーマに関係する情報だけを、シンプルにまとめることが大切です。
また、主訴・生活背景・家族構成などは、まとめて載せるよりもスライド2枚に分けて記載すると読みやすくなります。
現病歴のまとめ方
現病歴では、発症から現在に至るまでの“変化点”だけを時系列で整理します。
情報が細かすぎると流れが分かりにくくなります。次の3つのポイントを意識し、大きな出来事に絞り込みましょう。
- 時系列を簡潔に並べる
発症 → 入退院 → 悪化 → 今回の入院、など、重要な変化点のみを拾うこと。 - 今回のテーマにつながる要素を入れる
介助量が増えた、動作が不安定になった、家族が困っていた…など、後の介入や評価に影響する要素を先に伝える。 - スライドは箇条書き、説明は口頭で補足
箇条書きは視覚的にスムーズに伝わります。必要に応じて口頭で補足しましょう。

現病歴は、症例の歴史を簡潔に伝えるパートです。ここが整理されていると、後の評価や介入の流れが非常に理解しやすくなります。
関連記事 X年Y月Z日を使った現病歴!症例報告で最も多い使われ方は?
評価スライドの作り方
評価のスライドは、どうしても情報量が多くなりがちです。

聞き手にストレスなく伝えるには、発表テーマに関係する情報だけに絞る必要があります。
次の2段階でまとめるとスッキリします。
- 全体像を伝える評価(1〜2枚)
疾患の特徴や現在の状態がイメージできる程度でOK。
・麻痺・筋緊張・反射
・基本動作の概要
・神経・感覚所見の要点細かい数値は不要で、「どんな患者か」が分かれば十分です。
- テーマに沿った評価(3〜4枚)
発表の結論につながる部分を強調します。
・パフォーマンスを左右する要素
・生活上のリスク
・介助方法との相性評価項目が増えると、情報が散漫になりがちです。発表の目的に関係ない情報は削ることで、テーマが明確に伝わります。

ICFの見せ方
症例の情報整理に役立つICFですが、情報を詰め込み過ぎると逆効果です。
テーマに関係する部分だけを、以下の2つに絞って聞き手の理解を深めましょう。
- 生活機能(心身機能・活動・参加)
・動作がどの程度できるか
・体調や環境で能力がどう変動するか
・ADLの自立度
- 背景因子(環境因子・個人因子)
・家族の介護負担
・住宅環境や支援体制
・症例の性格・生活習慣など
ICFでは、何が“ボトルネック”になっているかを、一目で伝えられるようにしましょう。

細かい分類なんて、
気にしないでOKだよ!
問題点抽出のコツ
問題点抽出は、評価結果をもとに“問題の本質”を整理する重要パートです。
難しく考える必要はなく、2つの問いに答えるだけで、簡潔に整理できます。
- 症例が最大限の能力を発揮できない理由は何か?
- その問題を改善するために必要な条件は何か?
評価で得た情報をすべて並べるのではなく、“介入に直結する要因を”1〜2つに絞ることがポイントです。
問題点抽出の例_
・筋スパズムによる動作能力低下
・過介助が自立支援の妨げになっている
・疼痛管理不足による回復遅延
単なるまとめではなく、発表者の臨床推論を示す重要な場所です。

ここが明確になると、後のプログラム・ゴール設定・考察まで自然につながり、発表の軸がしっかり通ります。
プログラムの書き方
プログラムでは、問題点抽出で明らかになった課題に対して、どんな介入を、なぜ選んだのか を短く示します。

新人がやりがちなのは「実施した内容を全部書く」ことですが、発表では3〜4項目に絞るのが最も伝わりやすい形です。
まとめる際のポイントは次の3つです。
- 課題に直結する介入だけを選ぶ
例:体温管理(自己クーリング指導)、立ち上がり動作(自立度向上)、移乗(家族の介護負担軽減) - 優先した理由を一言添える
パフォーマンス向上(自立度向上)、介助量の軽減(家族負担の軽減)など、発表のテーマに直結する理由を簡潔に示す。 - 実施内容はキーワード中心に書く
実施内容は簡潔なキーワードで書く。詳細な方法や技術的な部分は、発表時に口頭で補足する。
プログラムは作業の羅列ではなく、“問題をどう解決するか”の道筋を示すパートです。
結論までの流れが自然に通るよう、必要な介入だけに絞って整理しましょう。

ゴール設定の書き方
ゴール設定は、介入の方向性と成果を示す重要なパートです。ここが曖昧だと、発表全体の印象も弱くなってしまいます。

よって、STG(短期ゴール)、LTG(長期ゴール)に分け、具体的に示すことが大切です。
押さえるポイントは次の3つです。
- 具体的な動作がイメージできる
「片側介助で移乗ができる」「立位保持が30秒安定する」など、介助量や時間を入れましょう。 - 変化が追える形で書く
STG「立位保持30秒」、LTG「立位保持自立」など、“段階的な変化”が説明できると、この後の経過に移りやすくなります。 - 症例の実情に合った目標にする
普段、車いす移動が基本であれば、たとえ平行棒内で介助歩行が可能でも、車いす自走自立をゴールにすることで、介入の意図が聞き手に伝わります。


症例の実情に合った、
現実的な目標に設定してね。
ゴールは“大きな成果”を書く場所ではなく、なぜその目標を設定したのか?これを事実ベースで説明できることが大切です。
経過スライドの作り方
経過スライドでは、介入によってどんな変化が起きたのかを、時系列で簡潔に示すことが目的です。
細かい経過をすべて載せる必要はなく、“大きな変化点だけ” を拾うのが最も伝わりやすい形です。
まとめる際のポイントは次の3つです。
- 変化のあった週だけ記載する
例:クーリングで動作が安定、立位保持が向上、介助量が減った など。 - 主観より客観を優先する
「〜が可能となった」「〜を安定して行えた」など、事実ベースで。 - ゴール設定とつながる記載にする
STG・LTGがどの程度達成できたのかが分かる内容を中心にまとめる。
経過は、介入と結果のつながりを示すパートです。良くなった点だけでなく、悪化や停滞も正直に記載すると、発表に厚みが出ますよ。
考察スライドの作り方
考察では、「なぜその結果になったのか」「どの要因が影響したのか」を短く整理します。

難しい理論を詰め込む必要はなく、結論 → 根拠 → 文献(または理論) → 示唆 の4つを簡潔に並べるだけで十分です。
まとめ方の流れはこうです。
- 結論(今回の結果を一言で)
例:体温管理と介助方法の見直しが、動作能力の向上につながった。 - 根拠(経過や評価から得られた事実)
例:クーリングで動作が安定した、適切な介助でパフォーマンスが出せた、など。 - 文献・理論の裏付け※短くてOK
症状増悪と体温、介護負担と在宅復帰など関連するものを1〜2個。 - 示唆(今回得られた考え)
例:生活環境や家族教育が能力発揮に影響する、など。

考察は「きれいな答えを書く場所」ではありません。症例から“自分が何を学んだか”を言語化することです。
シンプルに、カッコつけず、正直にまとめる方が、きっと聞き手に伝わりますよ。
関連記事 考察の書き方!リハビリの実習レポートで悩む学生専用
発表のコツ(話し方・時間・質疑)
スライドの準備が整いました。初心者でも“安定した発表”ができるよう、話し方・時間管理・質疑応答の基本ポイントをまとめます。
難しいテクニックは不要!ちょっとのコツを意識するだけで、大きな失敗を防げます。
時間管理のコツ
症例発表で多い失敗は、“時間オーバー”です。相手の時間を奪うため印象は最悪です。
そうならないよう、必殺技 「スライド別タイムランドマーク法」を紹介したいと思います。
■ ランドマーク式とは?
あらかじめ台本に スライド番号 × 理想の通過時間 を書いておく方法です。
- 現病歴 ……[1’45]
- 評価まとめ ……[3’30]
- 統合と解釈 ……[4’30]
- プログラム ……[5’30]
- 経過 ……[6’15]
- 考察 ……[7’00]
- まとめ ……[7’45]
※終了予定 8’00
発表中は、ストップウォッチと自分の読み上げ位置を確認し、現在の経過時間を照合しながらペースを配分します。
■ ランドマーク法のメリット

● 迷わない
「あと何分でゴールか」を常に把握できるため、途中で焦らない。
● 時間オーバーが起きない
例えば 3分で通過すべきスライドを 3’15で通過したら、次のスライドを少しテンポよく話し帳尻を合わせます。
● “飛ばし連打”を防げる
初心者がやりがちな「時間が足りずスライドを飛ばす」が起こらなくなる。
■ 作り方のコツ
- 全体の持ち時間を区切る(例:8分発表)
- 重要度の高いスライドに時間を割く
- 台本に[◯’◯◯]をすべて書く
- 本番では時間と照合するだけでOK

ランドマークで発表も安心!
時間管理は準備で決まる
話し方のポイント
症例発表は「内容」だけでなく「伝え方」で印象が大きく変わります。

初心者でも安定して聞きやすくなるポイントは、次の3つです。
1. 結論を先に言うクセをつける
評価や考察の説明では、先に結論を示すと聞き手が迷子になりません。
2. 一文を短くする(10〜12秒以内)
専門用語が続くと理解が追いつかなくなります。区切って話すだけで“整理されて聞こえる”効果があります。
3. スライドの文字を読まない
スライドはキーワードだけ。発表者は“補足説明をする”イメージで話すと伝わりやすいです。

発表は読み上げるよりも、
“会話する”感覚を大切に!
専門用語の説明も、一言添えるだけで一気に優しくなります。
質疑応答のコツ
症例発表で最も緊張する質疑応答。
上手く答えることよりも、“誠実で一貫性のある姿勢” を示すことが大切です。
1. 最初は質問のお礼から
どんな質問にも、必ず「ご質問ありがとうございます」と礼を述べて、印象を良くしてから答えに移りましょう。
2. 質問は“箇条書きでメモ”する
一度に複数の質問をされることが多いため、聞き返さずに済むようメモを取りましょう。
3. 分からないことは無理に答えない
曖昧な答えは、かえって評価を下げます。
「すみません、現段階では判断できませんが今後の課題とします」と誠意を伝えましょう。
4. 結論 → 補足説明 の順で答える
長い説明から入ると質問に答えていない印象になります。まず一言で答え、その後に根拠を短く添えましょう。
質疑応答は、内容理解を深めるチャンスです。丁寧な姿勢で向き合えば、初心者でも十分に乗り切れます。
よくある失敗(新人に多い発表NG集)
症例発表では、内容以前に“やらなくていいミス”で評価を落とすケースが多いです。

ここでは、新人が特にやりがちなNGをまとめました。
● NG① 情報の詰め込みすぎ
すべての評価結果を載せようとして、文字が小さくなってしまう。
→ テーマに関係ない情報は削る勇気を!
● NG② スライドの統一感がない
フォント、行間、英数字の半角/全角がバラバラで見づらくなっている。
→ 最初にテンプレを作れば一瞬で解決!
● NG③ 読み上げ発表になってしまう
スライドを見ずに台本を読むだけだと、説明というよりは“朗読会”となる。
→ スライドはキーワード、説明は口頭で!
● NG④ 現病歴・評価が“ただの羅列”
時系列が曖昧で、聞き手が迷子になる。
→ “結論→理由→補足” の順で話そう!
● NG⑤ 時間オーバー
新人の最大の失点ポイント。
→ 事前に準備した「タイムランドマーク式」を台本に記載して防ごう!
● NG⑥ 質問の意図を取り違える
焦って早口で答え、結論がブレる。
→ まず落ち着いて「ご質問ありがとうございます」で1秒を稼ごう!

ほとんどが“準備の仕方”で
解消する内容だね。
発表の経験を重ねないと失敗は防げない!と思われがちですが、準備の徹底で発表を成功させてくださいね!
まとめ
症例発表はセンスではなく、型に沿って作れば誰でも完成度を上げられる作業です。
タイトル → 患者情報 → 評価 → ICF → 問題点抽出 → プログラム → ゴール → 経過 → 考察
この流れを守れば、迷わずスライドを作れます。
・スライドは“キーワードだけ”
・話す内容は“結論 → 理由 → 補足”
・時間管理はランドマーク方式
・質疑応答は落ち着いて一言添える
この4つを押さえるだけで、初心者でも安定した発表になります。
症例発表は、臨床の気づきや工夫を共有できる貴重なチャンスです。今回のテンプレを使って“伝わるスライド”を作てみて下さい。

最初は勇気がいるけど、
ぜひ挑戦してみてね!


