こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
国家試験を受ける皆さん、筋紡錘に関する解剖学と生理学は、完全に理解していますか?
このメカニズムを勉強すると、深部腱反射だけではなく、痙縮やストレッチなどの問題も、同時に解けるのでかなりお得です。
え~、そうなんだ。
やっておけば良かった…。
いやいや、まだ間に合うよ。
国試までに、絶対完璧にしておこうね。
国家試験の出題傾向
過去10年分の国家試験問題を「筋紡錘」で検索すると、10問ほど出題されていました。
全て1点問題でしたので、完璧に理解している人は、平均点が1点Upする計算になります。
平均点で1点は、かなり
デカイんじゃない?
完璧に理解してればね。
ということで、器官の名称と神経の組み合わせについて、しっかり解説していきますね。
筋紡錘の役割
筋紡錘は、身体が壊れないために存在します。
例えば、車の追突事故でも頸椎が脱臼しないのは、周囲の筋肉が瞬間的に、ギュっと収縮してくれるお陰です。
なんで収縮するの?
筋紡錘が出す危険信号で、
勝手に筋が収縮するんだよ。
筋が引っ張られてヤバい!
このままだと千切れちゃう!
筋紡錘がこの信号を出すことで、筋は脊髄レベルで収縮をしてくれます。
この仕組みが、正常に働いているかを検査するのが、深部腱反射のテストです。
腱を叩いて筋を伸張させた時に、防御的に収縮が起こるかを確かめる検査でしたね。
ここに異常があれば、簡単に筋断裂や脱臼などを起こすので、重要な検査といえます。
筋紡錘の解剖
では、筋紡錘の全体像を解説していきます。
錘内筋と錘外筋
骨格筋の中には、すごく小さい楕円形の隙間があり、それを錘(すい)と名付けたとします。
その隙間には、ミリ単位の筋肉が入っているんですが、「錘」の中にある筋なので、
錘内筋(すいないきん)と呼びます。
周りの筋と並行して存在し、錘内筋の起始と停止は「錘」の両端となっています。
じゃ、隙間の外にある筋は?
錘外筋(すいがいきん)だね。
よって、骨格筋 - 錘内筋 = 錘外筋 という式が成り立ちます。
錘内筋の細かい線維
錘内筋は、さらに2つの線維に分類できます。
太い方の線維で、錘内筋が伸ばされた時の「速度」を検出する。
細い方の線維で、錘内筋が伸ばされた時の「長さ」を検出する。
この小さい錘内筋線維は、過去問にも結構出てくるので、必ずチェックしよう!
錘内筋の運動神経
錘内筋を収縮させる筋は、たった1つ。
γ(ガンマ)運動ニューロンです。
この神経が興奮すると、錘内筋が収縮するので、より感度が上昇します。
あれ、α運動ニューロンは?
αは錘外筋を収縮させる神経。
よく似てるから注意ね。
錘内筋の感覚神経
錘内筋が「伸ばされた」という情報は、2つの感覚神経によって伝えられます。
筋紡錘の情報を伝える神経
【速さを伝える神経】
核袋線維 ⇒ Ⅰa感覚線維
※別名:一次終末
【長さを伝える神経】
核鎖線維 ⇒ Ⅱ群線維
※別名:二次終末
ちなみにⅡ群線維と比べて、
Ⅰa線維の方が太いから。
速さを伝えるから、太い線維で
素早く伝達するんだね。
うん、そういうこと!
ということで、錘内筋は1つの運動神経と、2つの感覚神経によって構成されています。
長くなりましたが、この錘内筋と神経を合わせた器官が、筋紡錘(きんぼうすい)です。
全身の骨格筋に存在し、細かい運動をする筋に多く存在しています。
へ~そうだったんだね。
これらの名称や役割は、必ず覚えてから次に進みましょう。うろ覚えはダメダメ!
理解度確認テスト
それじゃ、腕試し!
何も見ないで、解答できるかな?
Q1:錘内筋と錘外筋を足すと何になる?
[ ① ]
Q2:筋紡錘の求心性線維を2つ挙げよ
[ ② ] [ ③ ]
Q3:錘内筋を構成する2つの筋線維は?
[ ④ ] [ ⑤ ]
Q4:素早い筋の伸張を伝えるのは?
一次終末 or 二次終末
[ ⑥ ]
Q5:錘内筋を支配する運動神経は?
α 運動神経 or γ 運動神経
[ ⑦ ]
よし、か、簡単にできた。
う~ん、本当かな…。
① 骨格筋
② Ⅰa感覚線維
③ Ⅱ群線維
④ 核袋線維
⑤ 核鎖線維
⑥ 一次終末
⑦ γ 運動神経
みんなも全問正解できたかな?
反射弓(はんしゃきゅう)
筋紡錘がきっかけとなる、伸張反射のメカニズムは、以下の登場人物が関与しています。
【反射弓】の構成
① 筋紡錘:伸ばされた!という信号発信
② Ⅰa 感覚線維:その信号を脊髄に伝える
③ α 運動線維:その信号を錘外筋に伝える
④ 錘外筋:信号を受け取ると収縮する
それと、錘内筋を縮める γ 運動線維!
この伸張反射を起こす登場人物と、その流れを総称したものが反射弓です。
特に重要なのは②と③の、脊髄の中で感覚線維が運動線維に情報を伝える部分です。
伸張反射の情報は脳に行かず、脊髄の中で神経同士がやり取りをするため、脊髄反射とも呼ばれるんですね。
やっぱり各器官の名称と役割は
しっかり覚えてないとね!
う~ん、反射弓か。
ま、なんとかなるか…。
過去問にチャレンジ
ここまで理解できていれば、もう大丈夫!次は、過去問を解いてみましょう。
第48回 午後 63
Q1:筋紡錘について正しいのはどれか
1. 二次終末は核鎖線維に比べ核袋線維との結合が強い
2. 手の虫様筋に比べ上腕二頭筋で高密度に存在する
3. II群線維は筋紡錘の動的感受性を調整している
4. Ia群線維は核袋線維からの求心線維である
5. 錘内筋はα運動ニューロンに支配される
第42回 午後 23
Q2:筋紡錘で誤っているのはどれか
1. 伸張反射の受容器である
2. Ib群線維は核袋線維に終末をもつ
3. II群線維は核鎖線維に終末をもつ
4. γ線維は感度を調整する
5. 錘外線維と並列に配置している
第46回 午後 62
Q3:筋紡錘で正しいのはどれか
1. 錘外筋の筋線維と平行に存在する
2. 求心性線維はIb群に属する
3. α運動ニューロンの支配を受ける
4. 一次終末は主に核鎖線維に終止する
5. 二次終末は主に伸張の速度を検知する
第41回 午後 22
Q4:伸張反射の反射弓を構成しないのはどれか
1. 筋紡錘
2. 錘外筋線維
3. Ia群線維
4. Ib群線維
5. α線維
筋紡錘の仕組みを知っていれば
簡単に解けるはずだよ。
では、答えは1番下に書いておきます!
お疲れ様でした~。
おわりに
いや~、たくさんの名称が出てきたので、頭が混乱しますよね。
でも、筋紡錘の役割って、国家試験だけではなく、臨床でも絶対に必要な知識ですよ。
このメカニズムを理解していないと、筋緊張検査やストレッチのスキルも頭打ちになってしまいます。
だから、たとえ生理学が苦手でも、筋紡錘だけはキッチリやっておきましょう!
それでは、国家試験の問題に
筋紡錘が出ますように!
それでは、過去問の答えだよ!
Q1:答え4
Q2:答え2
Q3:答え1
Q4:答え4
当然、全問正解できたよね!