こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
本日のテーマは、大殿筋歩行です!
臨床で見かける頻度は少ないのですが、運動学の勉強には向いている異常歩行です。
うん、見たことないかも。
第56回のPT国家試験で
出題されたんだよ!
ということで、まだ未経験な新人セラピストや、国家試験を控える学生さんに向け解説してみようと思います。
大殿筋歩行とは?
大殿筋歩行は、文字通り大殿筋が弱い人の歩き方で、主に筋ジストロフィー患者でみられる異常歩行になります。
大殿筋は人体で最も大きい筋肉です。
役割は股関節の伸展ですが、実はお辞儀動作でも重要な役割をします。
この筋肉が機能しないと、骨盤を前傾させられなくなるため、お辞儀動作が出来なくなっちゃうんですよね。
これが、歩行にも大きく影響します。
大殿筋歩行の歩容について
それでは、大殿筋が効かない人の歩容を、画像を使って解説していきます。
踵接地での役割
正常歩行では、踵が接地する際には骨盤を垂直に保ち、大殿筋のパワーで踵を床に押し付けて衝撃を吸収します。
ただし、大殿筋が床反力に負けてしまうと、骨盤は垂直位で保持できず前傾しちゃいます。
これでは前に転んでしまいますね…。
んじゃ、どうするの?
代償動作を活用して
乗り切るんだよ。
代償動作の出現
踵接地(IC)~足底接地(LR)において、大殿筋の筋力が正常であれば、
骨盤を垂直に保ったまま、スムーズな股関節の伸展運動が起こるはずです。
しかし、大殿筋のパワー不足があると、
骨盤が前傾しないよう、頭部や上肢を身体の後ろに移動させ、おへそを突き出すようにして歩く必要があります。
大殿筋のパワーに自信がないから、頭や腕の重りを活用して歩くしかない!
この代償動作が大殿筋歩行の仕組みです。
う~ん、見慣れない歩行だ。
筋ジストロフィーとかで
よく見かけるよ。
筋ジストロフィーの歩行
筋ジストロフィーの病型にもよりますが、大殿筋の筋力低下が著明な場合だと、大殿筋歩行が出現します。
ドュシェンヌ型の場合だと、変形により腰椎の前弯が増強するため、おへそを出すというより胸を突き出して歩く感じですね。
同じ大殿筋歩行でも、脊柱の変形によって歩容が変わるので、注意深く観察しましょう!
おわりに
さて、大殿筋の筋力低下で起こる、異常歩行について解説してみました。
臨床で遭遇する可能性は低いのですが、国家試験で出題されますので、学生さん達がイメージできたら幸いです。
それでは、歩行観察のスキルが
向上しますように!