
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
今回のテーマは、ワイドベース歩行(歩隔が広がる歩き方)です。
歩行分析というと、歩幅や歩行速度に目がいきがちですが、実は歩隔(左右の足の幅)も重要な観察ポイントです。

ん~、確かに歩隔は、
気にしたことないかも。

え~、歩行の大切な
観察ポイントなのに…。
歩隔が広がると安定しやすくなる一方で、歩行効率が低下したり、余計な筋活動が増えたりすることがあります。
この記事では_
- ワイドベース歩行の特徴
- 歩隔が広がる原因
- 臨床で使えるリハビリ介入のポイント
この3つを、できるだけ分かりやすくテンポよく整理していきます。それではまず、ワイドベース歩行の基本から見ていきましょう。
ワイドベースとは
ワイドベース(wide base)とは、歩隔が広い状態を指す言葉で、「広い土台で身体を支えている」という意味を持ちます。

歩行においては、左右の足の間隔を普段より広く取り、横方向にどっしりとした支持基底面を作っている状態を表します。
ワイドベース歩行の特徴
ワイドベース歩行では、歩隔が広がることで歩き方そのものに、いくつかの共通した変化が現れます。
なぜワイドベース歩行になるのか
ワイドベース歩行は、主に重心をまっすぐ保つことが難しい人に多く見られます。
特に、小脳性運動失調では、歩行中に身体の揺れを細かくコントロールできず、側方へ重心がぶれやすい特徴があります。
ちょっと動画で確認してみましょう。

たしかに、足を広げて
歩いているね。

そう。転倒しないための
無意識の安全策だね。
重心が不安定な歩行では、身体は「倒れたくない → 支えを広くしたい」という反応を起こし、無意識に歩隔を拡げる選択をします。
この点が、臨床での重要な観察ポイントになります。
では、歩隔が広がることで、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
歩隔が広がる=支持基底面の拡大
歩隔を広げると、支持基底面が左右方向に広がり、重心が多少ぶれても倒れにくくなるため、バランスが取りやすくなります。
電車で身体が揺れたとき、自然と足を広げて踏ん張る!あの反応と同じメカニズムです。

足を広げると転びにくい!
ただし、安定性が高まるのはメリットですが、常に広い歩隔を保とうとすると動作が重くなりやすいという側面があります。
安定性が増す反面、効率は低下する
ワイドベース歩行では、骨盤の回旋や下肢の振り出しに、余分な筋活動が生じます。

そのため、歩幅が小さい、疲れやすい、テンポが乱れるといったデメリットがあります。

たしかに、真似して少し
歩いたらすごく疲れた…。

そう。安定を優先するため
効率を犠牲にしたんだよ。
腰から臀部あたりが、すぐに悲鳴をあげると思います。騙されたつもりで、やってみてね。
ワイドベース歩行へのリハビリ介入
紹介するリハビリは、これまで私が脊髄小脳変性症(SCD)の患者さんを担当してきた中で、実際の場面で介入効果を感じた例です。
支持性を高める(下肢・体幹の強化)
ワイドベース歩行では、下肢や体幹の支持性に不安があるため、歩隔を広げて転倒を回避しているケースがほとんどです。

まずは、横方向のふらつきに耐えられる、“踏ん張れる身体”を作っていくことが基本になります。
具体的には、高負荷・高頻度で、下肢と体幹の筋トレをバッチバチに行います。
- 股関節外転筋・殿筋群の強化
- 大腿四頭筋・下腿三頭筋の強化
- 体幹と股関節の同時強化
スクワット、ランジ、プランクといった訓練で、姿勢制御を意識しながらじっくり鍛えていくことが重要です。
最適な歩行速度への調整
歩行では、ゆっくり歩くほど重心移動が大きくなり、側方へのふらつきが強くなります。

特に小脳性運動失調では、片脚支持の時間が長いほど姿勢制御が難しくなり、結果として「歩隔を広げて安定させようとする」傾向が強くなります。
そこで、歩行練習では少しテンポを上げた“適度な速度” を見つけることが重要です。
ゆっくりすぎる歩行
⇒ 重心の揺れが増え、不安定
速すぎる歩行
⇒ 歩容が崩れ、転倒リスク増加
一緒に歩きながら、その人が重心移動しやすい歩行速度を見つけてあげましょう。
歩行器など補助具の活用
それでも歩隔が広がり、ふらつきが強い場合には、補助具による外的サポートを検討します。
ポイントは「歩隔を無理に狭める」のではなく、安全に歩ける条件を増やすことです。
👉 T字杖 → 四点支持杖 → 2本杖 → 歩行器
不安定さが強いほど、支持点と接地時間を増やす方向で選択します。

また、ふらつきの強さや体重に合わせて、どっしりとした前腕支持型を選ぶと、横揺れの影響を受けにくくするこができます。

なるほど、補助具に頼る
方が確実だもんね。

うん。無理にワイドベースを
矯正する必要なしだよ。
導入時は、自宅や屋外でも使用できるかなど、事前に確認しながら患者さんと一緒に最適解を探していきましょう。
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おわりに(まとめ)
ワイドベース歩行は、単なる“歩き方の癖”ではなく、重心制御の不安定さに対する代償手段として現れることが多い歩容です。
原因を理解したうえで_
- 支持性を高めるトレーニング
- 最適な歩行速度の調整
- 補助具による安全確保
といった介入を適切に組み合わせ、「より安全に、より効率よく歩ける状態」を目指すことが重要ですね。

それでは、歩行分析が
上達しますように!
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