こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
理学療法士や作業療法士を目指す人であれば、筋の起始停止、骨の名称、支配神経など、膨大な量を勉強していると思います。
うん、単語帳を使って
必死に覚えているよ。
お、プク太くん偉い!
でも、球関節や平面関節といった、関節の形状ってあまり勉強しないんですよね。
そこで今日は、関節の構造で1番の謎である、らせん関節について、模型を使いながら解説していきたいと思います。
国家試験にも出題されるので、これを機会に覚えてしまいましょう!
らせん(螺旋)とは
では、「螺旋」を辞書で調べてみましょう。
螺旋【らせん】名詞
① 巻貝のからのように渦巻形になっていること。また、そのもの。「 -状に巻く」 「 -形」 「 -運動」② ねじ。
辞典では、このように解説されていますね。
その他にも、車のサスペンションだったり、階段やノートの金具にも利用されていますね。
蚊取り線香もそうだね。
らせん状の物って、
身近にたくさんあるんだね。
螺旋関節の構造
それでは、肘関節を使いながら、らせん関節の構造を解説していきます。
肘関節の構造
まず、解剖学と運動学のおさらいから!
肘関節は、上腕骨と尺骨からなる腕尺関節と、上腕骨と橈骨からなる腕橈関節、そして橈骨と尺骨からなる上橈尺関節で構成されています。
この中では、腕尺関節だけがらせん関節です。
上腕骨の遠位部にある上腕骨滑車が、尺骨の滑車切痕にはまり込み、蝶番のように屈曲と伸展運動を行います。
じゃあ、らせん関節じゃなくて
蝶番関節じゃないの?
うん、間違いじゃないけど、
1つだけ大きな違いがあるんだ。
では、らせん関節の秘密に迫りますね。
肘角の影響
腕尺関節は、肘の屈曲と伸展運動に関与しますが、その動きには特徴があります。
それは、肘を曲げると左側の図のように、上腕と前腕がピッタリと重なるのではなく、右側の図のように少しズレてしまうことです。
実際、前腕回外位で肘を曲げると、手掌面は上腕骨よりも外側に運動していくはずです。
これは、肘角と呼ばれる上腕骨の軸と、尺骨の軸のズレによるものです。
約10°の肘角により、前腕は上腕骨に対し、生理的に外反しています。
このように、関節運動よってズレが生じるものをらせん関節、ズレが生じないものを蝶番関節と分類しています。
螺旋の正体
では、その渦巻き状のとぐろが、なぜ関節の形状に結びついているのでしょうか?
ちょっと、こんな模型を用意しました。
らせん関節は、単体だと分かりづらいので、もう1つ関節を追加しました。①~③の全部の関節が、らせん関節だと思って下さい。
と説明している内に、既にこの状態が、らせん状になっているのに気づきましたか?
ん、らせん状になってる?
ちょっと、これを見てみて!
関節が増えていくことで、徐々にらせん階段のように、渦巻き状になっていきます。
単体だとイメージできないけど、
これなら分かりやすいでしょ。
おー、らせん状になってる。
これが、らせん関節の名前の正体です。
螺旋関節の運動
人間の関節で、螺旋形状を呈するものは3つ!
①腕尺関節 ②膝関節 ③距腿関節
国家試験で出題されますので、この3つは必ず覚えておきましょう。
関節運動は1軸性になりますので、腕尺関節や膝関節では屈曲か伸展のみ。
そして距腿関節では背屈か底屈のみです。
蝶番関節との違い
蝶番関節も螺旋関節と同様に一軸性の運動をしますので、構造も運動もほぼ同じと考えても問題ないと思います。
しかし、指節間関節だけは蝶番関節に分類されていますので、腕尺関節・膝関節・距腿関節とは一線引いておいた方が吉でしょう。
国家試験では、この2つの違いを問うような問題は見当たりませんでした。
よって、それほど神経質にならなくてもいいのかもしれませんね。
おわりに
個人的に関節の形状を理解することは、臨床的にも大事だと思います。
だって、自分が動かす関節の中は肉眼では見えないんだから、せめて頭の中でイメージしながら操作してあげたいじゃないですか。
だから皆さんも、ROM-exやストレッチを提供する際は、関節包の中で骨の運動を意識してみましょう。
きっと、効果も違ってくると思いますよ!
それでは、国家試験問題に
らせん関節が出ますように。