こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です。
理学療法士国家試験の過去問をみると分かりますが、実地問題の1問目は、ROM測定に関する絵問題が出る確率が高いです。
個人的にこの分野は、基本に沿って注意深く観察すれば、まず3点取れる「おいしい問題」だと思います。
おお~、3点は嬉しい!
この3点が、国家試験の
合否を分けるかもね。
また、最初の1問目で3点が取れれば、その後も勢いに乗れると思います。
ということで今日は、ROM測定の国家試験対策について、解説をしていきたいと思います。
実地問題の特徴
理学療法士国家試験は、280点満点(200問)となっており、6割の168点で合格です。
その中でも実地問題は、深い知識や分析が必要な問題なため、3点の配分になっています。
<問題による配点の違い>
【1点問題】
日本の首都はどこか?
【3点問題】
日本の首都はなぜ東京なのか?
そして、もう1つの特徴は、絵や画像が入っていることが多く、注意深い観察力も求められるという点ですね。
そんなに甘くなさそうだね…。
いや、覚えるパターンは
そんなに多くないよ。
ROMの国試対策
それでは、ROM測定でよく問題にされるパターンを、いくつか紹介していきます。
絵と軸のズレ
まず最初は、絵問題らしい内容です。
絵の人間と線を見てみると、身体の形と軸の線がズレている場合があります。
プク太くん、移動軸と
基本軸は覚えたよね?
うん、一応ね…。
では、覚えた内容と絵を比べてみましょう。
× 基本軸:体幹と平行な線
× 移動軸:大腿骨
う~ん、全然違いますね…。
このパターンは、基本軸や移動軸を忘れても解ける場合があるので、諦めずにしっかりと観察してみましょう。
代償動作の出現
続いては、代償動作の出現です。
例えば、肩関節外転の計測の絵で、体幹側屈が出現している場合があります。
この場合、たとえ正しい移動軸の線が描かれていても、不正解になるので注意しましょう。
このくらい大胆な代償なら
見落とさないっしょ。
小さい代償動作もあるから、
よく目をこらして見てね!
う~ん、虫メガネを持参したい!
二関節筋への影響
次は、ハムストリングスや腓腹筋など、二関節筋に影響が出ている場合です。
ちなみに、足関節の背屈では、被験者の膝は軽度屈曲させます。これは、日本整形外科学会が規定する測定方法にも書かれていますね。
正しい基本軸と移動軸を見て、ああ大丈夫!と、気を抜かないように注意しましょう。
手の向き足の向き
パッと見て気づかないのですが、手や足の向きがおかしい場合があります。
例えば、肘関節屈曲の測定では、移動軸が橈骨なんですが、絵をよく見てみると…、
手掌面が上を向いていませんね。
前腕を回外していないため、移動軸が橈骨にしっかりと当たっていません!
あちゃ~、これは際どいね…。
うん、見落としやすいね。
迷ったら、手や足の向きに注目しよう。
90°ズレた基本軸
最後は、参考可動域を絡めた問題です。
例えば、肩関節の外旋であれば、基本軸が肘を通る前額面への垂直線ですが、
図のように、勝手に基本軸に、90°が足されている場合があります。
でも、よく考えれば、肩関節が135°も外旋するはずはありませんね。
頭の中で身体を動かせば、
異変に気付けるはずだよ!
わかった、頭の中で1回
動かしてみるよ!
ROM測定の絵問題を見たら、まずはこの5つの項目をチェックしてみましょう!
基本軸の水平移動はOK
実は、もう1つだけ注意点があります。
それは、ゴニオメーターの特性上、基本軸と移動軸を同時に当てられない場合です。
前腕の回内外や、足関節の内がえし・外がえしでは、基本軸をそのまま水平移動させます。
これはやむを得ないケースなので、この選択肢は後回しにして、他の絵からおかしい場所を見つけて下さい。
これを選ぶのは、本当に
最後の最後の時だけだよ!
おわりに
評価学の授業を、真面目にやっていた人なら、こんなの簡単!って思うかもしれません。
しかし、国家試験という大舞台で、しかも1発目となると、萎縮してしまい実力が発揮できない可能性もあります。
午前、午後に分けて、スタートダッシュが切れるよう、ROM測定の肢位や参考可動域は、しっかりと押さえておきましょう。
それでは、無事に3点が
ゲットできますように!