こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
動作観察や動作分析に関して、正常から逸脱した部分を比較しろ!と指導する人がいます。
じゃあ「正常」って何?
この部分を教えないまま、言いっ放しにしてしまうと、逆に混乱させるだけだと思います。
うん、実際に評価のやり方は
全然分からないよ…。
まずは「正常」の定義を
自分が理解しないとね。
ということで、本日のテーマは姿勢・動作・歩行に共通する、正常の定義にしますね。
正常な姿勢とは
では、正常な姿勢の定義です。
【正常な姿勢の定義】
どんな環境や条件でも、実用的に姿勢を保持することができること
一般的に正常な姿勢と聞くと、耳垂や肩峰などのランドマークが、一直線に並んだ姿勢を思い浮かべると思います。
しかし、それはただ良い姿勢であって、正常な姿勢とは違います。
え、右の姿勢の方が
正常なんじゃないの?
いや、左の姿勢だって
正常な姿勢になる
一見、姿勢が悪いように見えても、長時間立っている条件であれば、左の方が有利です。
よって、どちらかの姿勢しか取れない場合は、正常な姿勢とは言えず、異常姿勢となります。
正常な動作とは
続いて、正常な動作の定義です。
【正常な動作の定義】
どんな環境や条件でも、実用的に動作を遂行できること
例えば立ち上がり動作であれば、高めのイスからは立てるが、ソファから立てない…。
このような、環境や条件に左右される場合は、正常とは言えません。
ということで、
【整容動作】
歯磨きには電動歯ブラシが必要
【更衣動作】
座ってじゃないと靴下が履けない
【食事動作】
ゆっくりなら一人で食事が摂れる
これらも、全て異常動作に分類されます。
いつでも、どこでも、何回でも動作が出来る!これが正常動作の定義になります。
う~ん、なるほど…。
あとは、どうすれば条件が
外れるのかを評価すればOK!
よって動作観察や動作分析では、関節運動や筋活動よりも、動作の遂行に関係する、環境や条件を評価する必要がありますね。
正常な歩行とは
最後は、正常歩行の定義です。勘の良い人は、きっともう気が付いていますよね。
【正常な歩行の定義】
どんな環境や条件でも、実用的に歩行が遂行できること
荷重移動の量だとか、アンクルロッカーがどうとか、そんなことよりもシンプルです。
どんな環境なら歩けるの?
歩行を評価するなら、全ての環境や条件で歩かせ、何が得意で何が苦手かを分析します。
例えば、トレンデレンブルグ歩行は、中殿筋が使えない人の歩き方でしたよね。
言い方を変えれば、中殿筋を使わないでも歩ける!という考えなので、正常な歩行ができる人はこの歩き方でも歩けるはずです。
中臀筋を使わないと歩けない!
これも異常歩行なんだね。
そうそう、どっちでも出来て、
初めて正常歩行と呼べるね。
速く歩ける人の中には、ゆっくり歩けない人もいるから、色々とやってみないと分からんね!
全てに共通する定義
では、最後におさらいしておきます。
姿勢・動作・歩行に共通する「正常」の定義は、どんな環境や条件でも遂行できること。
冒頭にも書いた通り、観察や分析をする際は、この部分から逸脱したものを評価してね。
わかった、姿勢や動作の評価は
まず条件や環境からだね!
パッと見ただけで、あーだ
こーだ考えても無意味!
だから患者さんと、色々とディスカッションをして、環境や条件に応じた、その人の能力を理解するよう努めましょう。
おわりに
姿勢や動作の正常の話では、必ず関節角度や筋活動など、運動学の話になりがちです。
実際は、そんな複雑なことを考えても、混乱するばかりで評価は進みません。
なぜこの条件だと遅くなる?
こんな疑問から仮説を立て、1つずつ検証していけば、きっと素晴らしい評価になります。
頭だけで考える、偉そうなPTやOTにならないよう、しっかり汗を書いて評価してね!
それでは、姿勢や動作の評価が
上手に進みますように!