皆さんこんにちは、理学療法士で
教員をしているダイ吉です!
今日は歩行周期の1つの相である、ローディングレスポンスについての解説です。
個人的には、歩行周期の中でも、かなり観察と分析がやりやすい相だと思います。
そんなに簡単なの?
観察ポイントは2つだけ!
へ~、そりゃ楽でいいな!
まぁ、実際は2つだけではないんですが、新人セラピストや実習生向けということで…。
では、分かりやすく解説していきます。
ローディングレスポンスとは?
ローディングレスポンスは、歩行周期をランチョ・ロス・アミーゴ方式で分類した時の1つの相の名前になります。
英和辞典で意味を調べると、
ローディング(Loading)= 荷重
レスポンス(Response)= 応答
荷重に応答する、という意味になります。
荷重応答って何なの?
荷重が立脚側に移ったか
確認するってこと!
え? う~ん…。
まぁ、最初は仕方ありません。
片脚で立つためには、反対の足が地面をしっかりと踏みしめておく必要があります。
その確認をするってイメージですね。
遊脚側:荷重を移してもいい?
立脚側:移しても大丈夫だよ!
遊脚側:もう足を上げてもいい?
立脚側:足を上げても大丈夫だよ!
遊脚側:OK、それじゃいくよ!
立脚側:よし、ドンとこい!
このような確認作業が、ほんの一瞬の中でやりとりされています。
え、なんか複雑そうだね。
大丈夫。プク太くんでも
きっと理解できるよ!
ちょ、ヒドイなぁ…。
荷重応答に必要な筋活動
難しそうに感じるかもしれませんが、3つの筋活動を確認するだけでOKです。
では、その内容を確認していきましょう。
同側の前脛骨筋の活動
まずはヒールロッカーと呼ばれる動きです。
踵から初期接地をした場合、足関節を中心に足部は底屈運動を始めます。
底屈運動といっても腓腹筋やヒラメ筋の活動ではなく、重力に逆らいながら遠心性収縮によって、ゆっくりと底屈していく運動です。
【遠心性収縮とは】
遠心性収縮は、起始と停止が離れていくにも関わらず、筋が持続的に力を発揮している状態を指します。
反対に、起始と停止が近づきながら筋のパワーを発揮するのが求心性収縮で、起始と停止の距離が一定の状態で力を発揮するのが等尺性収縮になります。
ここではしっかりと足の裏を床面に着け、これから荷重を掛ける土台を確認していきます。
でもこの時に前脛骨筋が重力に負ると、パタン!と大きな音(フットスラップ)が鳴ってしまうので、すぐに気が付くと思いますよ。
同側の大腿四頭筋の活動
足底接地後に荷重を移し始めると、膝関節は屈曲をしながら体重を受け止めます。
ここでもまた、大腿四頭筋が遠心性収縮をしてくれるお陰で、荷重を掛けるための最終確認が可能となるんですね。
このまま体重を100%掛けても、本当に大丈夫なのかな?って感じですね。
対側の脊柱起立筋群の活動
そして、最後に忘れてはいけないのが、対側の脊柱起立筋群の活動になります。
荷重がしっかり移ったとしても、足を挙げてしまうと骨盤の下に柱が無くなるため、骨盤は遊脚側へ落下してしまいます。
その落下を予防するために、ローディングレスポンスのうちから、脊柱起立筋群を活動させて骨盤を引き上げる準備をします。
え、背中の筋肉が動くの?
ちょっと確認してみよう!
では、図の赤いライン付近にある、脊柱起立筋群に指を強く押し当てて下さい。
この状態で、一歩ずつゆっくりと足を踏みしめながら歩いてみましょう。
ね、起立筋群が活動するでしょ。
おおー、本当だ。
反対の指が筋に押された!
このようにローディングレスポンスでは、荷重を受け渡すための確認を、3つの筋活動により行っています。
飛行機が離陸する前に、何度も繰り返して確認をするのと一緒で、歩行で片足を持ち上げる前には、多くのチェックが必要なんですね。
これが「荷重応答」の秘密になります。
イニシャルコンタクトの影響
ローディングレスポンスで、観察すべき関節運動と筋活動を解説しましたが、これは、踵から足を着いた場合に限ります。
もしも、尖足位でつま先から着いてしまっていては、ヒールロッカーが生じないため非効率な歩行になるでしょう。
そのため、ローディングレスポンスの観察は単体で行うのではなく、必ずイニシャルコンタクとからの流れで行って下さい。
IC → LRの流れが観察できるようになると、歩行にグっと興味が湧いてくるはずです。
難しい内容だとは思いますが、頑張って理解しながら歩行観察を楽しんで下さい!
おわりに
これを機に、遊脚相に問題がある?と感じたら、反対のローディングレスポンスを疑ってみて下さい。
何かヒントが見つかるかもしれませんよ。
歩行観察が苦手だ…って人は、このように、相ごとの知識を1つずつ整理していくことをおすすめします。
あとは、患者さんの歩行を観察しまくるだけ。
それでは、しっかりと
荷重応答ができますように!