こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
理学療法士が行う姿勢の評価は、まず骨のアライメントを確認することから始めます。
その中でも、身体の中心にある骨盤は、脊柱と下肢をつなぐ重要な役割を持つため、姿勢の評価には欠かせないパーツですよね。
でも、骨盤の動きって
複雑なんだよな。
いや、実際はそうでもないよ。
姿勢観察が苦手!という人は、きっと骨盤の動きを、複雑に考えているだけだと思います。
そこで今日は、姿勢に大きな影響を与える骨盤の観察ポイントを、股関節との関連性を絡めて解説していきたいと思います。
骨盤の解剖
実は、骨盤は解剖学用語ではありません。
骨盤は、腰椎と連結する仙骨、大腿骨と連結し股関節を形成する寛骨、脊柱の終点である尾骨からなる剛体になります。
ほ~、そうだったんだ。
寛骨は、腸骨・恥骨・坐骨が
合体したものだったね。
骨盤の運動
骨盤は、構成する骨同士が、靭帯で強固に結合されているため、ほとんど動きません。
唯一可動性があるのが、仙骨と腸骨で構成されている仙腸関節になります。
形状は平面関節で、数ミリしか動きません。
え、だってさ、よく骨盤の
回旋って言うじゃん?
いや、骨盤は回旋しないよ?
骨盤は剛体なので、この塊が折れ曲がったり、捻じれたら怖いですよね…。
骨盤の運動については、後ほど解説します。
骨盤の位置について
続いては、骨盤の位置を確認する方法です。
ASISとPSISをランドマークにして、以下の基準で位置を確認してみましょう。
骨盤の中間位
骨盤の中間位は、ASISよりもPSISの方が、少し(1~2横指)だけ高い状態を指します。
横から指で触り、2つのランドマークの高さを比べてみましょう。
骨盤前傾位
腰を反り返らせるような姿勢では、骨盤が前傾しているはずです。
このような姿勢では、PSISの位置がASISよりも、かなり(3横指以上)高くなって状態になります。
腰椎を伸展させると、一緒に骨盤も前に傾くので、運動が連動しているのが分りますね。
本当だ、一緒に動いてくるね。
これを運動連鎖って呼ぶんだよ。
骨盤後傾位
最後は、ネコ背になる悪い姿勢です。
骨盤は後傾しているので、PSISがASISよりも下がっている状態になります。
もし、ASISとPSISが同じ高さなら、それは骨盤後傾位と判断してOKですよ!
骨盤と股関節の関係
骨盤の傾きは、腰椎よりも股関節の影響の方が大きく、そして重要です。
それでは、3つの面から確認していきます。
矢状面の傾き
よく、骨盤の前傾運動!と言う人がいますが、先ほども説明した通り骨盤は骨の塊です。
実際に、骨盤が前傾・後傾するのは、
このように、股関節が屈曲するか、伸展するかによって決まります。
よって姿勢を観察する際は、股関節の傾きと一緒に、股関節の可動域も評価しましょう!
なるほど、気づかんかった。
服があると分かりにくいので、
評価する時は注意しようね。
前額面の傾き
続いては、前額面上の骨盤の傾きです。
脚長差があったり、脊柱の側弯があると、立位姿勢おいて傾きが起こります。
その場合は、落下している側の股関節が外転位となり、反対側は内転位になります。
ということは、股関節の内外転に可動域制限がある場合は、前額面上の姿勢に大きな影響が出てくることになりますね。
水平面の回転
さて、最後は骨盤の回転運動です。
え、だから回旋じゃないの?
いや、回旋じゃなくて回転!
勘違いしやすいのですが、回旋しているのは骨盤ではなく、両側の股関節です。
身体を捩じる動作では、股関節が内旋、もしくは外旋しているのが分かります。
もっと厳密にいえば、股関節の内旋+屈曲、外旋+伸展の複合的な運動になります。
この動きは、様々な動作に必要になりますので、腰椎の回旋と一緒に評価をして下さいね。
そっか、骨盤は股関節に
動かされていたんだね…。
骨の塊が動いたら怖いもんね。
身体の中心から姿勢観察をしても、骨盤だけに注目していたら、視野は狭くなりますよ!
おわりに
さて、姿勢観察の苦手意識は減りましたか?
最初は難しいと思いますが、やはり隣接する関節との影響を知らなければ、姿勢も動作も評価は進まないと思います。
そのためにも、解剖学と運動学を勉強し、観察の練習を続けましょう!
それでは、骨盤の評価が
上手にできますように!
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