
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
遊脚相は足が地面から離れ、前方に振り出している相でしたね。
本記事では、遊脚相を以下の3つのフェーズに分けて解説します。
-
加速期:腸腰筋の爆発的収縮と、下腿の慣性による受動的な膝屈曲
-
中期:大腿の減速に伴う、下腿の振り子運動の加速
-
減速期:踵接地に向けた、ハムストリングスによる制動(ブレーキ)
この通り、遊脚相のメカニズムは、筋活動と慣性の法則の連鎖です。

慣性の法則?
う~ん、難しいな。

大丈夫、分かりやすいように
イラストで説明してくよ。
前遊脚期(立脚相)

前遊脚期(Pre Swing)は、遊脚相に入る直前の準備の相です。
立脚相に分類され、地面を蹴りだすために踵を浮かし、股関節をしっかり伸展しておくことでパワーを蓄積する役割があります。


この後、遊脚相に入っていくよ。
遊脚初期(加速期)

遊脚初期は、股関節の伸展によって蓄えられた力が解放され、慣性の法則による受動的な膝関節の屈曲が生じるフェーズです。
立脚後期のエネルギー蓄積
立脚後期において、股関節は十分な伸展位をとります。
この時、屈筋群である腸腰筋が引き伸ばされ、ゴムのように弾性エネルギーが蓄えられます。
この十分な伸展による「タメ」が、続く加速の必須条件となります。
腸腰筋のパワー開放
加速期へ移行した瞬間、引き伸ばされた腸腰筋が爆発的に短縮します。

蓄積されたエネルギーが一気に解放され、大腿部が強力に前方へ振り出されます。
筋力による能動的な運動は、この大腿部に対する引き込みに集約されます。
膝関節の屈曲
股関節が急激に屈曲すると、下腿には「その場に留まろうとする」慣性の法則が働きます。
大腿骨だけが前方に進み、下腿が置いてけぼりを食らうことで、膝関節に屈曲モーメントが発生します。
この膝の屈曲はハムストリングスの収縮によるものではなく、完全な受動的現象です。

膝の屈曲がトウクリアランス
に関係しているんだよ。

へ、意識して曲げている
ワケじゃないんだね。
遊脚中期|下腿の振り子運動

遊脚中期は、大腿部の運動にブレーキがかかることで、運動エネルギーが末梢の下腿へと伝達されるフェーズです。
大腿骨の減速
前方へ振り出された大腿骨に対し、腸腰筋の出力が緩むことでブレーキがかかります。
能動的な収縮を意図的に弱めることで、股関節の屈曲運動が減速します。
慣性の法則と振り子運動
大腿部が急減速することで、後方に取り残されていた下腿に慣性が強く働きます。

ブレーキのかかった大腿部から下腿へと運動エネルギーが移動し、下腿の振り子運動が一気に加速します。
膝関節の伸展
加速した下腿が前方へ放り出されることで、膝関節は受動的に伸展へと向かいます。
この膝の伸展も大腿四頭筋の筋力に頼るものではなく、力学的なエネルギー連鎖による受動的な現象です。

最後は、この振り子運動を
ビタっと止めていくよ!
遊脚終期(減速期)

遊脚終期は、加速した下腿を適切に制動し、安全な踵接地(ヒールコンタクト)のための姿勢を整えるフェーズです。
ハムストリングスの遠心性収縮
遊脚中期で加速した下腿の振り子運動は、そのまま放置すると過剰な勢いとなります。
膝が完全に伸展しきる直前に、ハムストリングスが遠心性収縮を行います。

この筋活動が強力なブレーキとなり、下腿の過剰な前方への振り出しをコントロールします。
踵接地の準備完了
下腿の制動が遅れると、足関節が底屈モーメントに負け、つま先が下がるリスクが生じます。
ハムストリングスによる的確なブレーキによって、前脛骨筋が効率よく働き、つま先を引き上げることで次の踵接地(IC)につなげます。
まとめ
遊脚相の歩行分析において、確認すべき要点は以下の3つです。
-
遊脚初期:立脚後期で溜めたパワーを一気に開放→股関節を素早く屈曲する。
-
遊脚中期:股関節屈曲にブレーキをかけ、下腿の振り子運動に変換する。
-
遊脚後期:これまで運動をハムストリングスの遠心性収縮でブレーキ。踵接地の準備をする。
安定した遊脚相は、反対の立脚相にかかっています。ぜひ、歩行全体が観察できるように訓練を続けてみて下さい。
💡 歩行周期を確認したい人はこちら!


それでは、歩行分析が
上手く進みますように!


