こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
動作の評価を進めていく上で、動作観察と動作分析をちゃんと使い分けてますか?
正直、違いがよく分からないまま、何となくで進めている人も多いかと思います。
え、同じじゃなかったの?
いや、名前からして違うじゃん。
私も新人の時は、2つの違いを疑問に思いながらも、適当に使っていました。
そこで今日は、しゃがみ動作を使って、皆さんのモヤモヤを晴らしたいと思います。
動作観察と動作分析の違い
この2つの明確な違いは、実際に検証作業をするかしないかです。
検証作業って何?
根拠を裏付ける作業だよ。
いきなり言われても混乱しますよね。まずは、評価の基本的な流れを確認しましょう。
【評価の流れ】
① 現象を捉える
おかしいと思うこと、気になることなど、評価したいターゲットを絞る。
② 仮説を立てる
なぜこうなっているのか、どうしたら改善するのか、考えられることを挙げる。
③ 検証作業をする
その仮説が本当に正しいのか、全てのパターンを試しながら確認していく。
途中で忘れたら、ここに戻ってきてね。
動作観察の領域
動作観察で行う作業は、動作を眺めることと、予測をすることです。
動作観察の領域
そして動作分析になると、その仮説が現象と関係しているのか、証明する作業をしていくことになります。
よって動作の評価というのは、どちらか一方だけで済ませるのではなく、つなげて考えていく必要があるということになります。
しゃがみ動作を分析する
観察と分析の違いが分かったところで、実際に動作を評価してみましょう。
現象を捉える
お題は、しゃがみ動作です。
今回は、しゃがもうとすると、後ろに転んでしまう!という現象で進めていきましょう。
仮説を立てる
この現象に対し、仮説を立て下さい。
う~ん、もしかして足関節が
背屈できないんじゃない?
なるほど、ではその仮説を
検証して行こうか!
下肢の筋力や足底感覚など、考えられる原因はたくさんありますが、ここでは、足関節の可動域が関係していると仮説を立てました。
検証作業をする
どうやって検証しようか。
とりあえず、ROMから…。
関節可動域測定の結果はこうでした。
ROM – t | R t | L t |
足関節背屈 | 5° | 10° |
どう、検証はできた?
う~ん、低下はしているけど
ちょっと微妙な数値だな…。
足関節の背屈角度が微妙なので、この数値を操作してみましょう。
とりあえず当てずっぽうですが、足関節の底屈筋をストレッチしてみましょう。
ストレッチ方法はこちらをどうぞ!
関連記事 下腿三頭筋のストレッチ!効果を上げる手の位置と体重の掛け方
さて、十分に筋が伸びたようです。
じゃあ、しゃがんでもらうか。
ちょっと待って、その前に
もう一度ROM測定だよ。
面倒臭いかもしれませんが、先ほどの数値に変化があったのか確認します。
ROM – t | R t | L t |
足関節背屈 | 15° | 15° |
アキレス腱を伸ばしたことで、右が10°、左が5°の可動域が改善しました。では、しゃがみ動作にも変化したのか確認しましょう。
はい、これで検証作業が終わりです!
2回目の可動域測定をサボると、慣れたんじゃない?とか、たまたま成功したんじゃない?といった、ヤジが飛んできます。
だから、やっておいて正解でしたね。
さっきの仮説は当たってたね。
プク太くん、すごいじゃん。
いや~、ちょっと本気を
出しちゃったって感じかな。
では、動作分析で解った点をまとめます。
※しゃがみ動作の検証結果
【しがみ動作ができない原因】
足関節の背屈制限
【しゃがみ動作へのアプローチ】
下腿三頭筋のストレッチ
【その他に分かったこと】
足関節の可動域が改善したことで、しゃがみ動作が可能になったため、下肢の筋力や感覚は低下していない。
これで、動作観察から動作分析へ、動作分析から治療といった、評価の流れがイメージできたのではないでしょうか。
こんな感じで、上手く評価が
進められるといいね。
おわりに
動作分析って、意外と地味でしたね。
もしかして、動作をパッと観ただけで、チャチャっと原因を分析する!なんて、夢を見ていませんでしたか?
そんなスキルは人間にはありません。1つずつ仮説を立て、それを検証して行くしか、動作は分析できないんですから。
それでは、解説が長くなりましたので、最後におさらいしておきましょう。
【動作分析の進め方】
① 動作の現象を捉えろ
② 現象に対して仮説を立てろ
③ 検証では患者さんの変化を追え
④ 変化に対して考察していこう
⑤ 難しいことはするな!
この5つを軸にして、とにかく身近なものからチャレンジしてみましょう。
それでは、動作の評価が
上手に出来ますように!