こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
学生の皆さん、評価実習や治療実習で、動作分析に苦労した経験はありませんか?
実習では、SVから「ちゃんと相分けしろ!」と怒られますが、そもそも相分けって、学校でしっかりと習いましたか?
いや~、あまり記憶に…。
じゃ、実習に行く前に、
おさらいをしようか。
ということで、今日は動作の相分けにおいて、絶対に見逃してはいけない瞬間を、紹介していきたいと思います。
相分けとは
動作は複雑なので、問題点や原因を追究する前に、特定の区間で分割する作業をします。
例えば、「食事動作で困っている」という情報があっても、一体どの部分が困っているか、見当もつきませんよね。
そこで、大まかに区切ってみましょう。
① 箸やフォークを持つ
② 食べ物を掴む・すくう
③ 口元に食べ物を運ぶ
④ 口を開いて入れる
⑤ 咀嚼して飲み込む
この作業により、指の力が無くて箸で掴めない人と、歯が無くてモノが噛めない人を、区別することができました。
ターゲットが絞れたでしょ?
なるほど、たしかに別だね。
このように、相分けをするだけでも、動作の問題点を特定する手がかりになるのです。
相分けのポイント
相分けをする際は、以下の5つのポイントを探して、動作を分割して下さい。
支持基底面の変化
まず最初に、外せないのが支持基底面です。
両足から片脚になれば、支持基底面が狭くなることで、バランスは不安定になります。
動作では、支持基底面の形・面積が、コロコロ変化していますので、変化した瞬間は相分けのチャンスです!
※支持基底面の仕組みはコチラでどうぞ!
運動の方向の変化
次は、複雑な関節運動に注目して下さい。
そこで、「あ、方向が変わった!」と思った時があれば、そこで相分けをしてみます。
例えば立ち上がり動作では、離殿直後に体幹と股関節が、屈曲から伸展に切り替わります。
運動が変化してるでしょ?
真逆の方向になってるね。
その他にも、内転から外転、屈曲から水平伸展など、運動方向の変化は要チェックですよ!
荷重する場所の変化
空中に浮かない限り、必ず身体のどこかで荷重をしているはずです。
起き上がり動作の、オンエルボーからオンハンドのように、荷重を掛ける場所が変化した瞬間は、かならず相を分割しましょう。
右足 ⇒ 左足で荷重! 足部 ⇒ 両膝で荷重!
パターンは色々ありますね。
う~ん、結構大変な作業かも。
ふふ、まだ2つ残ってるよ。
代償動作の出現
続いては、正常な動作では起こらないはずの、代償動作が出現した瞬間です。
動作中に、「あ、今ズルをした!」と思った動きがあれば、そこを抜き出します。
例えば食事動作において、
【食事動作の流れ】
1相:右手で箸を持つ
2相:食べ物を箸で掴む
3相:体幹を屈曲させ、口を近づける!
4相:食べ物を口に入れる
5相:咀嚼して飲み込む
このように相を分けることで、どこに動作の問題点があるのかが明確になります。
なるほど、その他の動作には
問題がないって分るね。
介入のターゲットが、
絞りやすくなるでしょ。
ぼ~っと眺めてたら見逃しちゃうよ!
介助が必要な時
動作の中で、部分的に介助が入る時も、必ず相を分割しておきます。
部分介助は、様々なパターンがあります。
【移乗動作の一例】
1相:車イスから立たせてもらう
2相:方向転換を手伝ってもらう
3相:座るのは自分一人でできる
このように、途中まで手伝って貰えば、残りは1人でできるパターンもあれば、
【起き上がり動作の一例】
1相:布団を剥いでもらう
2相:自分で寝返りをする
3相:手摺りを掴ませてもらう
4相:起き上がりは自分一人でできる
断続的に介助が入るパターンもあります。
このように相分けすれば、動作の問題がどこにあるのか、一目瞭然ですね。
苦手な部分がハッキリしたね。
あとは優先順位を決めて、
細かい分析に進めばOKだよ!
動作分析が苦手だ!って人は、まずはこの5つの瞬間を見極めて、相を分けることから始めてみましょう。
おわりに
今回説明した5つのポイントは、複数が同時に変化する場合がほとんどです。
何個も欲張って分析するのではなく、落ち着いて1つずつ相分けを進めましょう。
そのうち、2個 ⇒ 3個と、同時に情報を処理できるようになります。
慌てちゃダメダメ!
それでは、動作の相分けが
上手にできますように!