こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
理学療法士の仕事には、寝返りや起き上がりを評価する、動作分析というものがあります。
そのため理学療法士は、様々な動作のメカニズムを、日々勉強しているんですね。
動作って難しそうだな…。
まぁ、運動学の知識を
たくさん使うからね。
そこで今日は、なぜ立ち上がれるのか?を知るために、この動作に必要な筋活動と、関節運動を一緒に勉強してみましょう!
立ち上がり動作のメカニズム
立ち上がり動作は、一連の動作に見えますが、実は以下の3つの相に分かれています。
それぞれの名称と、役割はこうなってます。
【 立ち上がり動作の相分け 】
① 屈曲相:お辞儀をする動作
⇒ 頭という重りを前に移動
② 離殿相:お尻を浮かせる動作
⇒ 荷重を臀部から足部へ移動
③ 伸展相:立位になる動作
⇒ 関節を伸展させて身体を起こす
この相分けは有名だから
絶対に覚えてね。
でも、なんで分けるの?
相分けの理由は、必要な筋活動・関節運動の方向などが、それぞれの場面で違うからです。
よって、この動作を評価をするために、まず各相の仕組みを理解する必要がありますね。
必要な筋活動と関節運動
では、動作を分割しながら解説していきます。
屈曲相の仕組み
立ち上がり動作は、まず最初にお辞儀の動作から始まります。
お辞儀をする理由は、重たい頭部を前方に移動させることで、臀部の荷重を足部に移動させるためです。
運動は股関節の屈曲ですが、以下の3つの筋活動によって実現可能となっています。
この3つの筋の役割は、以下の通りです。
【屈曲相の筋活動】
① 脊柱起立筋
⇒ 脊柱から骨盤に力を伝える
② 大臀筋
⇒ 骨盤から大腿部に力を伝える
③ ハムストリングス
⇒ 骨盤から下腿部に力を伝える
この筋活動が弱いと、せっかく前に移動した頭の重さが、下肢に効率よく伝わりません。
屈曲相の評価では、お辞儀をさせながら、この3つの筋活動を確認しましょう!
離殿相について
上手にお辞儀ができたら、次はお尻を浮かせる離殿相に移ります。
離殿相の動きは小さくて、動くのは足関節の背屈とわずかな膝関節の伸展のみです。
こうやって図で比較してみると、膝の位置が前に移動して、下腿が前傾していますね。
この運動を可能にしているのは、大腿四頭筋と下腿三頭筋の活動です
【離殿相の筋活動】
① 大腿四頭筋
⇒ 膝折れしないよう踏ん張る
② 下腿三頭筋
⇒ 前傾した下腿を保持させる
2つの筋活動により、臀部から移動してきた全ての荷重を、足部で受け止めてくれます。
離殿相の評価では、足関節と膝関節の支持性に着目してみましょう!
普段、簡単にやっているけど
奥が深い運動なんだね。
離殿相は一瞬で終わっちゃう
から、まばたき厳禁だよ!
伸展相について
伸展相では、文字通り全身の伸展運動により、身体を起こしながら立位になります。
屈曲相 ⇒ 離殿相で、重心を前に移動させ、そこから一気に逆方向に切り返します。
重たい頭部を上に運ぶため、頸部、体幹、下肢の各関節が協力する必要があります。
【伸展相の筋活動】
① 脊柱起立筋群 ⇒ 体幹の伸展
② 大臀筋 ⇒ 股関節の伸展
③ 大腿四頭筋 ⇒ 膝関節の伸展
④ 下腿三頭筋 ⇒ 足関節の底屈
よって伸展相では、全ての筋活動のパワーと、切り返すスピードが求めらます。
う~ん、立ち上がり動作が
こんなに複雑だとは…。
だから動作分析は、1つずつ
ゆっくり進めてね。
以上、立ち上がり動作に必要な、各相に隠されている筋活動と関節運動でした。
おわりに
動作分析に苦手意識がある人は、なぜできないのか?よりも、 なぜできるのか?を考えてみましょう。
そして、最初のうちは動画を撮影し、紙にシェーマを書くとイメージしやすいと思います。
いきなり多くのことを、同時にチャレンジするのはNG。コツコツと経験を積むのが、実は最速かもね!
それでは、立ち上がり動作が
しっかり分析できますように!