
こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!
突然ですが、あなたは「なぜ人はイスから立ち上がれるのか」を、誰にでもわかる言葉で説明できますか?

えっ、筋肉が頑張るから
じゃないの…?

正解だけど、う~ん…。
動作分析としては
かなり不十分じゃない?
実は、立ち上がり動作は、重心を次々と移動させ「どう運ぶか?」という、物理のゲームなんですよね。
ということで、本日は「なぜ立てるのか?」という仕組みと、そこで働く筋活動について解説をしたいと思います。
なぜイスから立ち上がれるの?
立ち上がれる理由は、筋肉が強いからではありません。最も重たい「頭部」を移動させ、その重さを効率よく下肢に伝えているからです。
① お辞儀動作で頭の重さを前方へ運ぶ
(荷重を下肢に移動させる)
② 頭が下がる反動でお尻が持ち上がる
(全荷重を下肢で受け止める)
③ 下肢の関節が一気に伸展して立つ
(重力を跳ね返す方向に力を爆発)
この「重さの移動」という物理ゲームを、下肢の筋肉がサポートすることで、人はイスから立てるのですね。
立ち上がり動作を理解する3つの相
動作分析を簡単にするために、動きを「役割」で3つに切り分けましょう。
この相ごとのミッションを知れば、評価のポイントが明確になります。
屈曲相の筋活動と関節運動
重たい頭部を前方に運び、下肢へ重さを「届ける」フェーズです。

関節運動
股関節の屈曲、胸腰椎の屈曲
主な筋肉活動
脊柱起立筋、大臀筋、ハムストリングス

脊柱起立筋が背中を支え、大臀筋とハムストリングスが、頭の重さを逃がさず足元へ伝えます。ここが崩れるとお尻が浮きません。

ほう、頭の重さをリレーの
ように伝達させるのね。

そそ、関節運動と筋活動、
同時に観察しなきゃね。
それでは、次の相に進みましょう。
離殿相の筋活動と関節運動
お尻が浮いた瞬間、すべての荷重を足裏で一気に「受け止める」フェーズです。

関節運動
足関節の背屈、わずかな膝関節の伸展
主な筋肉
大腿四頭筋、下腿三頭筋

大腿四頭筋が膝折れを防ぎ、下腿三頭筋が前方への突っ込みを抑えて、全体重を足底面でガッチリ支えます。
伸展相の筋活動と関節運動
受け止めた重さを、今度は真上に向かって「切り返す」フェーズです。

関節運動
股関節・膝関節・足関節の伸展
主な筋肉
・脊柱起立筋群 ⇒ 体幹の伸展
・大臀筋 ⇒ 股関節の伸展
・大腿四頭筋 ⇒ 膝関節の伸展
・下腿三頭筋 ⇒ 足関節の底屈
すべての伸展筋がチームワークを発揮し、重力を跳ね返して安定した立位へと導きます。

う~ん、立ち上がり動作が
こんなに複雑だとは…。

だから動作分析は、1つずつ
ゆっくり進めてね。
以上、立ち上がり動作に必要な、各相に隠されている筋活動と関節運動でした。
ここからは、立ち上がり動作ができない!そんなケースの動作分析に進みましょう。
立ち上がれない原因を「物理」で分析する

各相で起こる「物理の失敗」を、臨床あるあるとセットで紹介します。
【屈曲相】重さを「届けられない」
お辞儀が浅かったり、背中が丸まって力が逃げると、重心が足の上まで移動しません。お尻が重くて浮かない人の典型的な失敗です。
【離殿相】重さを「支えきれない」
お尻は浮くけれど、膝がガクッとなるケースです。足で体重を受け止める「支持力」が負けてしまい、物理的に崩壊しています。
【伸展相】重さを「切り返せない」
お尻は浮いたものの、そこから腰が伸びきらないケースです。前方への勢いを上への推進力に変える「切り返し」のパワー不足です。
一連の「重さの移動」として捉えることで、動作の本質が見えてくるはずです。
立ち上がれないからといって、すぐに筋肉単体に着目するのは止めましょう。
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まとめ
立ち上がりは、筋肉が頑張る前に「重さをどう運ぶか」という物理の攻略が必要です。
「届ける・受け止める・切り返す」の3ステップで動きを捉えれば、明日からの動作分析がもっとシンプルで楽しくなりますよ!
最初のうちは動画を撮影し、スロー再生しながら分析を進めてね。

それでは、立ち上がり動作が
分析できますように!



