こんにちは、理学療法士で
専門学校教員のダイ吉です!
本日のテーマは、トレンデレンブルグ歩行と、ドュシェンヌ歩行です。
この2つの異常歩行は、様々な場面で見かける出現頻度が高い現象です。
う~ん、実は2つの違いが
よく分からない。
いや、それはマズいよ…。
異常が出現するのは、立脚中期です。
骨盤の傾きと、頭の位置に注目すれば、それほど難しくはありません。歩行観察の練習に向いているので、ここで理解しちゃいましょう!
身体と重りの関係
この2つの異常歩行を理解するには、まずは少しだけ物理の知識が必要です。
え~、物理はキライ!
いや、絶対に分かるはず。
まずは、この図を見て下さい。
手で重りを持つ時に、身体から離れる位置にすると、余計に重く感じるはずです。
そんな時、身体を反らせて高く上げると、
頭の重さが助けになると同時に、重りが身体に近づくことで少し軽く感じるはずです。
また、筋力が負けてしまっても、
重りの位置が下がっていき、やっぱり身体に近づく場所で、耐えられるようになります。
たしかに、水平に持つのが
最も重くなるよね。
それが理解できれば十分!
では、この物理の知識を歩行に当てはめて、さっそく考えていきましょう!
正常歩行での中殿筋
立脚中期では、片脚で体重を支持します。
その時、骨盤の傾きや、立脚側の股関節を制御するのは中臀筋になります。
中臀筋がギュっ!と収縮することで、遊脚側の重さに負けずに、姿勢が保持できます。
試しに、中殿筋を触りながら
片脚で立ってごらん。
うわ、すごい硬くなった!
このタイミングでの、中殿筋の力強い筋の活動は、歩行に必要不可欠なんですよね。
トレンデレンブルグ歩行
では、もし中殿筋がパワー不足で負けた場合、どのような不都合があるのでしょうか。
立脚中期で中殿筋が負けてしまうと、
まず、足を挙げた瞬間に、下肢の重みで骨盤ごと遊脚側に傾いてしまいます。
また、立脚側の股関節が過内転してしまい、姿勢のアライメントが崩れてしまうでしょう。
うわ~、変な姿勢だね。
重りに負けた代償が、
全身に出ちゃうね。
これが、トレンデレンブルグ歩行の原因です。
ドュシェンヌ歩行
中臀筋のパワー不足があると、立脚中期で、遊脚側に傾いてしまうことが分りました。
だったら、最初から頭を移動させておけばいいじゃん!ということで、
このように、骨盤は大きく立脚側に傾き、股関節は外転位となります。
頭の位置が違うだけで、トレンデレンブルグ歩行とは、逆の現象が起こっていますね。
頭の重さで、バランスを
保っているんだね。
そういうことだね。
出現する原因は、どちらも中殿筋なのに、見た目は全然違う歩容になるんですね。
2つの違い
ということで、中殿筋が重りを支えられず、力負けしそうになった時に、
重りを下げながら歩くのが、トレンデレンブルグ歩行で、重りを上げながら歩くのが、ドュシェンヌ歩行ということになります。
そっか、観察する時は
注意しなきゃね。
骨盤の傾きと頭の位置で
違いを見極めてね!
どちらも、中殿筋のパワー不足や、痛みやスパズムによる出力低下で出現しやすいです。
しかし原因は同じでも、どちらに力を逃がすかで、歩容は全く別物になりますね。
おわりに
歩行における中殿筋の役割は超重要です。
実際、健常者でもトレンデレンブルグ歩行や、ドュシェンヌ歩行が出ちゃう人も多いです。
こちらの記事は、これらの異常歩行に対する治療の成功例です。よかったら、チェックしてみて下さいな。
それでは、歩行観察が
上達しますように!