遊脚相の歩行分析|慣性の法則と筋活動で読み解く3つのメカニズム

土手を歩く女性。Swing phaseの文字あり。 動作・歩行分析
ダイ吉
ダイ吉

こんにちは、専門学校教員で
理学療法士のダイ吉です!

遊脚相は足が地面から離れ、前方に振り出している相でしたね。

本記事では、遊脚相を以下の3つのフェーズに分けて解説します。

  • 加速期:腸腰筋の爆発的収縮と、下腿の慣性による受動的な膝屈曲

  • 中期:大腿の減速に伴う、下腿の振り子運動の加速

  • 減速期:踵接地に向けた、ハムストリングスによる制動(ブレーキ)

この通り、遊脚相のメカニズムは、筋活動と慣性の法則の連鎖です。

プク太
プク太

慣性の法則?

う~ん、難しいな。

ダイ吉
ダイ吉

大丈夫、分かりやすいように

イラストで説明してくよ。


前遊脚期(立脚相)

PSw→ISw→MSw→TSwの4スライド。PSwが目立つ配列になっている。

前遊脚期(Pre Swing)は、遊脚相に入る直前の準備の相です。

立脚相に分類され、地面を蹴りだすために踵を浮かし、股関節をしっかり伸展しておくことでパワーを蓄積する役割があります。

前遊脚期のイラスト。股関節をしっかり伸展させること、ヒラメ筋の遠心性収縮などの重要ポイントを解説。

ダイ吉
ダイ吉

この後、遊脚相に入っていくよ。

遊脚初期(加速期)

PSw→ISw→MSw→TSwの4スライド。ISwが目立つ配列になっている。

遊脚初期は、股関節の伸展によって蓄えられた力が解放され、慣性の法則による受動的な膝関節の屈曲が生じるフェーズです。

立脚後期のエネルギー蓄積

立脚後期において、股関節は十分な伸展位をとります。

この時、屈筋群である腸腰筋が引き伸ばされ、ゴムのように弾性エネルギーが蓄えられます。

この十分な伸展による「タメ」が、続く加速の必須条件となります。

腸腰筋のパワー開放

加速期へ移行した瞬間、引き伸ばされた腸腰筋が爆発的に短縮します。

遊脚初期のイラスト。腸腰筋の求心性収縮で股関節を屈曲させる重要性を解説。

蓄積されたエネルギーが一気に解放され、大腿部が強力に前方へ振り出されます。

筋力による能動的な運動は、この大腿部に対する引き込みに集約されます。

膝関節の屈曲

股関節が急激に屈曲すると、下腿には「その場に留まろうとする」慣性の法則が働きます。

大腿骨だけが前方に進み、下腿が置いてけぼりを食らうことで、膝関節に屈曲モーメントが発生します。

この膝の屈曲はハムストリングスの収縮によるものではなく、完全な受動的現象です。

ダイ吉
ダイ吉

膝の屈曲がトウクリアランス

に関係しているんだよ。

プク太
プク太

へ、意識して曲げている

ワケじゃないんだね。

遊脚中期|下腿の振り子運動

PSw→ISw→MSw→TSwの4スライド。MSwが目立つ配列になっている。

遊脚中期は、大腿部の運動にブレーキがかかることで、運動エネルギーが末梢の下腿へと伝達されるフェーズです。

大腿骨の減速

前方へ振り出された大腿骨に対し、腸腰筋の出力が緩むことでブレーキがかかります。

能動的な収縮を意図的に弱めることで、股関節の屈曲運動が減速します。

慣性の法則と振り子運動

大腿部が急減速することで、後方に取り残されていた下腿に慣性が強く働きます。

遊脚中期のイラスト。腸腰筋の求心性収縮が活動を止めることで股関節を屈曲モーメントが減弱することを解説している。

ブレーキのかかった大腿部から下腿へと運動エネルギーが移動し、下腿の振り子運動が一気に加速します。

膝関節の伸展

加速した下腿が前方へ放り出されることで、膝関節は受動的に伸展へと向かいます。

この膝の伸展も大腿四頭筋の筋力に頼るものではなく、力学的なエネルギー連鎖による受動的な現象です。

ダイ吉
ダイ吉

最後は、この振り子運動を

ビタっと止めていくよ!

遊脚終期(減速期)

PSw→ISw→MSw→TSwの4スライド。TSwが目立つ配列になっている。

遊脚終期は、加速した下腿を適切に制動し、安全な踵接地(ヒールコンタクト)のための姿勢を整えるフェーズです。

ハムストリングスの遠心性収縮

遊脚中期で加速した下腿の振り子運動は、そのまま放置すると過剰な勢いとなります。

膝が完全に伸展しきる直前に、ハムストリングスが遠心性収縮を行います。

遊脚後期のイラスト。ハムストの遠心性収縮で股関節と膝の運動を制御していることを解説。

この筋活動が強力なブレーキとなり、下腿の過剰な前方への振り出しをコントロールします。

踵接地の準備完了

下腿の制動が遅れると、足関節が底屈モーメントに負け、つま先が下がるリスクが生じます。

ハムストリングスによる的確なブレーキによって、前脛骨筋が効率よく働き、つま先を引き上げることで次の踵接地(IC)につなげます。

まとめ

遊脚相の歩行分析において、確認すべき要点は以下の3つです。

  • 遊脚初期:立脚後期で溜めたパワーを一気に開放→股関節を素早く屈曲する。

  • 遊脚中期:股関節屈曲にブレーキをかけ、下腿の振り子運動に変換する。

  • 遊脚後期:これまで運動をハムストリングスの遠心性収縮でブレーキ。踵接地の準備をする。

安定した遊脚相は、反対の立脚相にかかっています。ぜひ、歩行全体が観察できるように訓練を続けてみて下さい。

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ダイ吉
ダイ吉

それでは、歩行分析が

上手く進みますように!